主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

一週間前に大雪が降った。

「お父さん、雪だるまを作ろ」

ジーニィとリオは、まとまった降雪のあとには、必ずそう言う。

その日は気温が低すぎて、雪がひっつかず、だるまどころか、雪玉さえできなかった。


二日後に気温が上がり、雪が丁度良い具合になった。

ジーニィはプレーデートで家にいなかったので、リオと二人でせっせと作った。


雪玉を転がすだけで、面白いように膨れ上がる。

調子に乗り過ぎて、持ち上げられないほど大きくなった。

外側を少しけずって、何とか二つ目を乗せ、最後に頭となる三つ目を乗せた。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

雪だるまができた後、リオがシャベルを持ってきて、雪だるまに持たせた。

子供の成長に合わせて、雪だるまもどんどん背が高くなる。


夕方、ジーニィが帰って来て、大きな雪だるまを見るなり、怒った。

「どうしてジーニィを待ってくれなかったの」

「あんたはプレーデートがあったから、ええやろ。リオは何もなかったから、お父さんと二人で遊んだんや」

正論である。

それがわかっているので、ジーニィはウ~と唸りながら僕を睨んだ。

「じゃあ、今から作る。お父さん、手伝って」

「手伝うけど、もう時間ないから、リオみたいに大きいのでけへんで」と言うと、

また、ウ~と睨む。

「いちいち睨むな。小さいの作るんと何も作らんのと、どっちがええんや?」

「ウ~、作るっ!」と、ジーニィは吠えながら答えた。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

気温がどんどん下がって、なかなか雪玉を大きくできない。

途中、となりの女の子がやってきて、手伝ってくれた。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

もうすっかり夜になった頃、やっと完成。つま先がしびれてきた。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

「ずいぶん体の大きさの違う兄弟だねぇ~」と、ジーニィがコメントした。

作っている内に、小さい雪だるまにも愛着が出たようで、「可愛い」とそれなりに満足していた。


ここ2,3日は気温が高く、雪だるまはどんどん融けて行った。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

あ~あ~。

ジーニィのはもう雪玉がひとつしか残っていない。

これは昨日の状態で、今日は気温が非常に高く、雪だるまはもう雪の小山にすぎない。


実は、ジーニィとリオと三人で雪だるまを作らなかったのは今回が初めて。

お稽古ごとがあったり、プレーデートがあったりで、雪の丁度良い状態の時に三人がそろわなかったからだ。雪だるま作りだけでなく、他の事に関しても、三人が同時に暇になる事が非常に少なくなってきた気がする。


雪だるまの無残な残骸を見ていたら、

「ひょっとして、もう三人で雪だるまを作る事がないかも知れない」という思いが頭に浮かんだ。


「これを最後の雪だるまにしてはいけない」


雪だるまひとつに切実な決意を固めている自分に驚いた。



主夫と双子とアメリカンワイフ by  山崎 卓也

(5年前に一緒に作った雪だるま)



Takaya


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