(前号からのつづき)
大判焼き屋の前に陣取り、おばさま方は若い女性店員に矢継ぎ早に注文した。
「大判焼き、5個入りお願いします」
「5分かかりますが」と店員。
「私も5個入り」
「15分かかります」と店員。
「私はタイ焼きを二つ」
「30分かかります」と店員。
どんどん話が悪くなる。
目の前の焼けたタイ焼きを指さし、
「あの~、ここに・・・」
「それは、予約の分です」と店員。
店員のつれない態度におばさま方の怒りが募る。
おばさま四天王は店員を睨み続け、プレッシャーをかける。
不穏な空気を察した添乗員の僕は恐る恐る進言した。
「あの~、和食器のお店があちらにございますので、そちらの方をご覧になりませんか?タイ焼きはあとで取りにくればよろしいかと」
おばさま方は渋々タイ焼き屋の前から離れた。
山積みの器は3個8ドルか3個5ドルだった。
おばさま方はこれを大層気に入られ、全員かなりの量の器を購入。
僕もつられてお皿を6枚、小鉢を6個買ってしまった。
どういう訳か店内には寿司のクッションが陳列してあった。
「みなさん、そろそろ・・・」と言いかけると、2名ほどいない。迷子になると大変なので、探しに行く。二人とも隣の店を覗いていた。
このお店はおみやげ屋みたいだった。日本人形、日本の文房具、漢字の入ったTシャツ。日本のおもちゃ。そして、
持って帰るのが大変そうだ。
大判焼きとタイ焼きができたので、それをもらって車へと戻った。
愛車シビックはトランクにビッシリ物を詰め込められて苦しそう。
10分走らせ、ようやく豆腐チゲの店に着いた。
と、言いたいところだが、おばさま方が、
「ねえ、この近くに日本の古本屋があるから、寄ってってぇ~ん」と頼んだので、
「かしこまりました」
ここでも店員さんに、
「あの~、題名がよくわからないんですが、ダイブとか何とか言う本はありますか?」
「え~、どういったジャンルの?」
「読んだことがないのでわかりません」と堂々と答えるおばさま。
店員さんは事務所に入って、コンピューターで検索している。
「ない~!」と叫ぶ店員の声を僕はしっかりと聞いてしまった。
「さあ、そろそろ行かないと子供の御迎えに間に合わなくなってしまいますよ」
すっかり読書に耽るおばさま。
一人、一人にお声を掛けて、何とかレジに引っ張って行った。
「さあさあ急ぎましょう」とおばさま方を急かした。
そして、集合場所を出てから3時間後、遂に豆腐チゲの店に到着した。
ジョージワシントン橋を渡ってすぐのフォートリーという街にある。この町は韓国人が大勢住んでいる。
空いているように見えるが、実は7,8人、入口のところで並んでいた。夕食時は長蛇の列ができるそうだ。
メニュー。チゲは9種類、値段は8ドル均一。他に食べるものはカルビだけ。値段は12ドルで8枚くらい。
辛さは5段階あって、これは辛い方から2番目。量はかなりある。ご飯は石の釜で焚かれて、そのまま出てくる。それがまたうまい。
もちろんカルビもうまかった。
「今日の晩御飯、どうしよう」
「お腹一杯になったら考える気しないわよね」とおばさま方。
「あの~、ここの店はお持ち帰りができますので、家族の皆様にはそれでよろしいのでは?」と進言した。
「あら、それいいわね~。私は今日買ったお惣菜でも食べればいいんだし」
おばさま方はウェイターを捕まえ、口ぐちにお持ち帰りの注文をした。
集合場所には予定より1時間近く遅れて到着。しかし、誰からも文句は出なかった。
「いや~、本当においしかったわ~」
「あっちこっちに行けてよかったわよね~」
皆さん、ご満足の様子で、添乗員としてはほっと一息。
「ねえ、タカヤさん、また連れてってよ」
気が付けば、僕は四天王に包囲されていた。
「はあ。まあ、皆さんの都合が合えば」
「そう。じゃあ、私達で決めておくわ。じゃあ、またね」
僕は深々とおじぎをして、帰途に着いた。
Takaya
今日もお越しいただき、ありがとうございました。
頑張って仕事をした添乗員に下のボタンを押して御褒美をあげてくださいな。
おおきに!















