アメリカの学校は9月に学年が始まり、6月末に終わる。
うちの小学校では、秋に親と先生の個人懇談があり、春に児童を含めた三者懇談がある。
ここの学区は小学校が幼稚園年長から2年生まで、別の小学校で3年から5年生、中学校が6年生から9年生とやや変則的で、高校は普通通りの10年生から12年生に別れている。
アメリカは高校も義務教育で、しかもこの地区の学校は学区内の子供達すべてを収容できる大きさなので、引っ越しをしなければ、友達と幼稚園から高校卒業までずっと同じ学校にいることになる。
彼らが通う小学校は5年前に建設されたばかりで、校舎のデザインがとても粋だ。
まるでどこかの博物館かリゾートホテルのように見える。
これは天窓をあしらった廊下。半円形のメインの廊下から学年ごとに別々のウィングが円の中心から放射線状に広がっている。
懇談の時間通りに到着したが、前の人がまだやっていた。廊下には待っている子供達が退屈しないようにとパズルやゲームが置いてあった。
今、三年生は社会科で中国の事を勉強している。パンダを中国語で「熊猫」と書くのを、アメリカの小学校で知るとは予想していなかった。
さて、ジーニィの懇談が始まった。
左が担任のウォルター先生。非常に厳しく、アメリカの先生にしては冗談を言わない。クラスにいる4,5人のうるさい男子にいつも怒鳴っているそうで、ジーニィはそれが嫌でたまらない。
「先生が怒るのに忙しく授業に集中しずらい」とは娘の弁。
ジーニィは先生に促されて自分が書いた作文の一節を読んだ。
「それでは、このプリントに質問が5つ書いてありますから、それを彼女に言ってください」と、先生はプリントを我々に渡した。
「どうして、その作文を選んだの?」とベッツィーがさも自分で考えた質問のようにわざとらしく「自然に」読んだ。
ジーニィが、「予行演習やりました~!」と言わんばかりのぎこちなさで、その質問に答える。
質問も答えも練習するなら、お芝居でも見せてくれた方が面白いのにと僕は思った。
ジーニィは緊張しているのがよくわかり、何だか不憫に思えた。
「来年の先生はどんな先生が良いですか?」とウォルター先生が聞き、
「リラックスした先生」と、僕とベッツィーが同時に即答したので、僕は思わず笑ってしまった。ベッツィーは常日頃そう言っていたので、この時こそと急きこんだわけ。
ウォルター先生は、さすがプロ。嫌な顔ひとつ見せず、しかしいつもと同じ張りつめた顔でメモを取っていた。
おみやげに、ジーニィがクラスで育てた草のカップをもらった。
待ちくたびれたリオがドアののぞき窓から覗いている。
「はいはい、あんたの番やで」と、僕は彼の手を引き、リオの教室へ入った。
男の人が担任のライト先生。超ベテランで、この学校一番の人気教師。子供も父兄も彼を絶賛する。ジーニィも彼が大好きで、短い朝の始業前の準備時間にいつもこのクラスに遊びに来ている程。今日も彼をひしとハグしていた。
「リオ、今年一年でどんなところが良くなった?」と先生がにこやかに聞いた。
「え~っと、前よりも読むのが早くなったし~、スペルも正しくできるようになったと思う」などと、言葉を探しながら、ゆっくりと答えた。
「一番好きだったプロジェクトは?」
「太陽系の研究」と答えると、リオはスタスタと教室の前に行き、自分が作った太陽系の図を説明しだした。
幼稚園や1年の時は、ジーニィに成績の悪さを馬鹿にされていたリオだが、去年あたりから徐々に上昇し、今では彼女に迫る勢いがある。今年一年の伸びは、ライト先生に負うところが大きい。
リオは、集中すると他の事が見えなくなるタイプで、ジーニィのように器用に要領よく勉強できない。ライト先生は子供の興味、自発性を大切にする先生で本当に幸運だった。彼のクラスはいつも冗談が飛び交い、笑いが絶えない。懇談の時も、終始にぎやかだった。
こう言ってはジーニィに申し訳ないのだが、彼女はどんな先生でもしっかり勉強できるが、リオはそうではないので、ライト先生がリオに当たって良かったと思っている。
今学年も残すところあと二か月。マンハッタンにある自然史博物館への遠足、2泊の林間学校と、まだまだビッグイベントが残っている。
子供が楽しく学校に行ってくれる。親としてこれに勝るものはない。
Takaya
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