「リオ、ちゃんと座って読め」
「ふ~ん」とリオは生返事をした。
リビングに下りる階段に寝そべって本を読んでいる。
今日、彼には大の苦手の読書感想文の宿題がある。いつもはベッツィーと夜寝る前に読んだ本について書くのだが、今週は彼女の帰宅が遅く、まだ一冊も読んでいない。今から本を読みだして明日の提出に間に合うのか非常に疑問である。
一方、ジーニィは・・・
絵の具を混ぜ合わせている。白い紙皿に好きなレストランで食べた一品を絵に描くという宿題。今日、出て、明日、提出。彼女の先生はとても厳しい。
ふと、リオを見ると・・・
「こら~、リオ。読んでんのか、お前」
「うん、ちゃんと座って読んでるよ~」
あ、ホンマや。
「ちゃんと椅子に座って読め」
「ふ~ん」とまた生返事のリオ。生返事をされても、本を読んでいる時は、責めにくい。まあ、ええやろ、と許してやる。
この椅子、LaZ Boy(レイジーと発音。つまり怠け者の意)という会社のリクライニング・チェアーで、背もたれが後ろに倒れ、横に付いているレバーを引くと、足元の部分が前にせり出してきて足置きになる。アメリカでは非常に人気が高く、うたた寝をするにはもってこいの椅子。
「おと~さ~ん」とジーニィの情けない声が聞こえた。
「最初に間違えて、その上からペイントを一杯塗ったら、ぺタぺタになっちゃって」と、半泣きのジーニィ。大量の絵の具が海のように波打っている。
「あと、何を描かなあかんの?」
「この黄色の上にマカロニを書いて、こっちの白いアイスクリームの上にチェリーを描くの。ねえ、これ、いつになったら乾く?」
「そら明日の朝まではかかるで~」
「え~っ!」
「しゃあないやろ。明日の朝、早よ起きて、やり。他に宿題は?」
「スペル」
「じゃあ、それやって」
さて、リオはちゃんとやってるか?
「こらっ、目ぇ近い」
「ふ~ん」
ジーニィはスペルを始めたか?
「ジーニィ。いつまでもしょげてんと、次の事やりや」
「は~い」と死にそうな声で答えるジーニィ。
時計を見ると、5時半。晩飯まであと1時間。
え~っと、リオは?
「あ~、ちゃんと座れや、お前」
「ふ~ん」
6時になって、やっとリオが読み終えた。
「どんな話やった?」
「よくわかんなかった」
「わからんて、何か起こったやろ?」
「何も起こらなかった」
「お前、やる気あんのか?」
実際、この本は心理描写が多く、リオの好きなアクション物ではなかったと後に判明した。
「書く気ないんやったら、明日、先生にできませんでしたて言うて、謝れ」と、言ったら、途端にリオが泣き出した。宿題をせずに学校に行くと、割りと深刻な問題となり、3回で校長室に呼び出しを食らうことになる。
「僕、みんなの前で先生に怒られたら泣いちゃう」と泣きながら言うリオ。
「ほんなら、泣いてんと書けや!」
「みんなの前で泣くのが嫌だから、泣いてんの!」と、奇妙に筋の通ったことをわめきながら、彼は苦悩で床の上をのたうちまわった。
「リオ、よう聞け。さっきの本で何か書くか、そのまま泣き続けて明日も学校で泣くか、別の本を今から読んで明日の朝までに仕上げるか、その三つや。さっさと選べ!」と、厳しく言った。
「じゃあ、別の本を読む」と、涙を拭きながら、彼は新しい本を手に取った。
先程までとは打って変わって真剣に本を読むリオ。
さあ、こんな状態で彼の宿題は明日の朝までに終わるのだろうか?
そして、ジーニィの絵の具は朝には乾き、彼女は宿題を仕上げる事ができるのだろうか?
双子の宿題地獄は続く
Takaya
今日もお越しいただきありがとうございます。
この記事を書いている段階では、まだ、宿題地獄がどのように終わるのか見通しが立っておりません。イライラ、ハラハラ。
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