今、リオのクラスでジェルペンと呼ばれる、カラフルなペンを集めるのが流行っている。担任の先生が、その日頑張った人に御褒美としてこのジェルペンを上げたのが事の始まり。
色により人気の差があり、誰もが欲しがる色はあまり流通ぜず、珍重される。一番人気は赤色のペンだそうだ。
人気の差に従い、交換レートが確立された。例えば、赤ペン一本は青五本の価値がある。また、ペンは他の物品とも交換されるようになった。先週、リオは学校でもらった安い電卓をジェルペン5本と交換してきた。
ジェルペンはリオの教室においてはもはや貨幣として流通している。
このペンを近所の店で売っているという情報を得たリオは、昼寝を予定していた僕に何度も懇願し、そこへ連れて行くように頼みこんだ。
あった、あった。ジェルペン100本入りセット。ジーニィも全く同じ物を購入した。
お値段は20ドル。
「自分のお金で買うから」と子供達が言ったので、よしとした。
緑だけでもこんなに種類がある。蛍光のもの、インクの中に光る小粒が入っているのもある。
このセットを買ったお陰で初めて幻の赤のペンを見たリオは、ジーニィにそれを見せながら、
「これは、絶対に学校に持っていかないように。最もレアな色だから、盗まれるぞ」と話した。まるで、金塊でも掘り当てたような興奮ぶりだ。
彼女のクラスには、まだジェルペンの流行の波が押し寄せていない。
そう言えば、僕が小学校の頃も、ふとしたきっかけで何かが学校で流行った。
例えば、日本酒一升瓶のふた。僕らは「酒蓋」と呼んでいた。
コルクのでっぱった所を切断し、おはじきにして遊んだ。栓のところがプラスティックの物より、本物のコルクの方が価値があり、その中でも特急酒の蓋はロゴが立体的なレリーフで、格好良かった。
たまたま誰かがそれを持っていたら、みな10カラットのダイヤの指輪でも見るように眺めていた。
僕は、酒屋の傍を通るたびに、店の傍に積み上げてある空ビンに蓋が残っていないかとチェックしていた。
いいなあ、子供の世界は。
ペン一本に興奮できる生活は、きっと楽しいに違いない。
Takaya
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