まずは、これをご覧あれ。



ロケットの家。

この絵を見て、物語を書くという現地校の宿題。

月曜(明日)、草稿を提出。最低1ページ。

当然の事ながら、今日までリオは全く手をつけていない。



朝からやれやれ、と言い続けて、やっと書きだしたのが2時。

頬にはふざけて書いた線が入っている。


5行ばかり書いたところで・・・



早くも行き詰った。


いや~、その気持ち、よくわかる。

リオは僕からの同情で5分程猶予を得た。


「さあ、いつまでも悩んでんと、さっさと書け」




「お父さん、舌のここんとこ、昨日噛んで痛いの。だから、書けない」と、無駄な抵抗をするリオ。


「舌なんか無くても字は書ける。早よせな日ぃ暮れるぞ」


「お父さん、外で野球しよ」と、脈絡もなくリオが言う。

「作文が終わったらな」

「ええっ!だって、これ10時間はかかるよ」

「集中したら1時間で終わる。喋ってんと、早よ書け!」


あ~だ、こ~だと言った末、やっとリオが再開した。

2行ほど書いたら・・・




「ああ、腕がだるい」と、ストレッチを始めた。


「ええ加減にせ~よ、お前は!」


この後、リオはふざけまくったので、僕は大いに怒った。

愛想が尽きたので、泣いているリオに、

「お前、一人で勝手にやれ」と言って、二階に上がった。


しばらくすると、ベッツィーがリオに怒鳴っている声が二階にまで聞こえてきた。

続いて、リオの泣き叫ぶ声。あっちで怒られ、こっちで怒られ。忙しい事である。


5時頃。

リオに起こされた。どうやら昼寝をしていたらしい。


「お父さん、野球しよ」とリオが懇願する。

「作文、終わったんか?」

「まだ。でも、終わってからにしたら野球ができないから」

「あかん。野球がしたかったら集中して書け」


リオは肩を落として部屋を出て行った。


それから僕は自分の作文をした。

リオのせいで、こちらも行き詰る。

頭を抱えている内に時間が無為に過ぎて行く。


ふと外を見ると夕焼け。

日照時間はあと1時間くらいか。

リオの様子を見に行った。


彼はテレビを見ていた。どうやらベッツィーにも愛想を尽かされたようだ。


「リオ、今から頑張って作文やったらまだ野球できるぞ。ほら、一緒にやろ」

「うん」


ようやくリオのエンジンが掛かった。




外は夕闇が迫る。

頑張れリオ、あと少し。




今日一番の集中力を見せるリオ。

昼にふざけて顔に書いた線がまだ残っている。

外がどんどん暗くなり、もう野球は無理かと僕の方が焦って来た。


遂にリオが最後の行まで書いた。

「よし、野球やろ」とすかさず僕が言うと、

「ちょっと待って。もう少し」と言って、リオは裏のページにも書きだした。


2行ほど書いて、「The End」と入った。




「僕、集中してたでしょ」と嬉しそうなリオ。

時計を見ると7時半。

5時間半に及んだ作文地獄がやっと終わった。


それから暗くなるまでの30分、庭でピッチングの練習をした。

その後、ガレージ前で電灯をつけて、ゴロの練習を15分。


「思ったより沢山野球できたね」と無邪気にリオが言った。

何度泣いても、野球の後はいつも笑顔。



Takaya


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