「ああ、やっぱり!」と、ベッツィーが吐き捨てるように言った。
ここで何かを言うと喧嘩になるので、僕は無言でいた。
ノックの音がした。
窓を開けて、警官と目を合わせた。
「どうして止められたかわかるか?」
「スピード違反」と僕は即答した。
「何マイルで走っていた?」
「70」と僕。この高速道路の制限速度は時速55マイル。
「うん、71マイルだった。どこに行くんだ?」
「ジムニーピーク・スキー場」と答えながら、
僕は免許証と登録証明書を素直に警官に渡した。
「ちょっとここで待っていなさい」
今から彼は車載コンピューターで僕の身元を洗うのだ。
「どうしてうちだけが止められるの?お父さん、何したの?」とジーニィが僕を尋問する。
「スピード違反や」
「あ~あ」と、落胆の声を上げる娘。
警官が戻って来た。
「お前の正直な態度には感心した。スピード違反よりもっと軽い違反にしておいたから、減点されない。では、よい一日を」
警官は後ろに停めたパトカーに引き上げた。
「リオ、お父さんのジャケットを早く貸せ!」と私は小声で叫んだ。
「何?どうしたの?」とベッツィーがいぶかしげに僕を見る。
「早く、早く」
ジャケットをリオの手からすくい取った僕は、ポケットからカメラを取り出した。
「ちょっと、何してるのよ?」とベッツィーが語気を強めた。
パシャッ。
「よっしゃ、これで今日のブログのネタができた!」
運転席で小躍りする僕をベッツィーは心底さげすむ目つきで睨んだ。
ここで何かを言うと喧嘩になるので、僕は本日二度目の無言の行(ぎょう)に入った。
むこう30分、車内には双子のヘッドホンから漏れる曇った映画の音だけが響いた。
無言の行に入っていたのは僕だけではなかったのだ。
Takaya
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