昨日、劇が終わった後、ジーニィは仲良しのカホちゃん宅でプレーデートを行った。
9時半に迎えに行くと言ったので、9時に家を出た。カホちゃんの家までは車で15分くらい。早めに家を出たのは、おみやげに近所のベーカリーでケーキを買いたかったから。
ケーキを買って、予定通り9時15分に高速に乗った。彼女の家には3度ばかり行った事があり、道順も紙に書いてある。
高速の出口を探すがなかなか出て来ない。おかしいなあ、と思いながらもしばらく運転を続けた。確か、高速は5分くらいしか乗らないと思っていたのに。
15分くらい高速を走り続けると、見覚えのある出口の標識が見えた。問題は、その標識は目的地の随分先にあるべきものなのだ。
一旦、高速を降りようとしたが、こういう時に限ってなかなか出口がない。
ここはニューヨーク市の北、50キロ位の場所だが、アメリカの郊外は日本みたいに住宅や商店が密集していない。ちょっと離れれば、もう山の中である。あたりは真っ暗で、段々不安になってくる。
やっと見つけた出口で下りる。カホちゃんのお母さんに電話し、出口の確認。僕が持っていた道順が間違っていたと判明。高速を元に戻る。しかし、目指す出口は出て来なかった。アメリカの高速は、ひとつの出口に上りと下りの両方の出口が必ずしもあらず、目指す出口もそうだった。結局、家から一番近い出口までもどってしまい、そこから再度トライ。今度は5分で正しい出口に着いた。
さて、出口を出たら、すぐ右折。二つ目の信号を左折とある。そのようにしたら、違う道に出た。う~ん、おかしい。信号を見逃すとは思えないが。もとへ戻って信号で曲がったら、これまた全然違うところ。仕方なく、再度、カホちゃんのお母さんに電話。
「ああ、二つめの信号じゃなくて、二つめの道で、なのよ」
またもや持ってきた道順が違う。一体、この道順を書いた時、自分は何をしていたのか?
さて、もう一度、高速の出口まで戻って、Uターン。今度こそ、とアクセルを踏む。
ひとつ目の交差点を通過、二つめが近付く。ところが、左へ行く道が二つある。当然の事ながら、間違った方へ。小さな袋小路に入ってUターン。そして、そこから出てきたらすぐ後ろにパトカーが。
パトカーは急にライトを一杯点滅させた。捕まったのである。おかしいと思いながらも、すぐ路肩に停まって、ポリスを待つ。
「お前は一方通行の道から反対に出てきた」
もう、言い訳無用である。現行犯なので、逃げようがない。暗くて僕は一方通行の標識など見えなかった。この切符、おそらく100ドル前後すると思う。
ポリスから切符をもらい、道順を聞いた。
「最初の道を右折、それから四つ目の道を右折。大丈夫か?」
「う~ん」と自信無げに僕はうなずいた。どうも行けそうにない。
カホちゃんのお母さんに事情を連絡し、もうすぐ行くと伝えた。
さて、車を進める。
「最初の道だ。そこで右折」
あたりは暗くてどこに道があるのかがよくわからない。
「あった。ここだ」
ハンドルを切って、その道を進む。やがて、それは全く違うところに向かう道だと判明した。
「ああ、もうだめだ~」
一度、車を停めて、窓を開ける。新鮮な空気が吸いたかった。車から出て、トランクから水の入ったペットボトルを出した。
シートでぐったりとしながら水を飲む。
もう、諦めようかな。
ジーニィは明日の朝、迎えに行く事にしようか?
どうもこのまま探し続けると何か事故を起こしそうな気がする。
一分ほど休み、気を取り直す。
もうちょっとだけやってみよう。
僕は車をゆっくりスタートさせ、何度目かになるUターンを行った。
街の中心部っぽいちらほらと商店の並ぶところに出てきた。しかし、すぐに店の灯もまばらになってくる。ピザハットが道の反対にある所で車を停めた。
「もう、止めた。今日は帰ろう」
時計を見ると、10時45分。9時半に着くはずだったのにもう1時間15分も道探しをしている。こんなところでうろうろしていたら、家にも帰れなくなってしまう。
アメリカは家がまばらなので、変なところに行ってしまうと、店はおろか人家も全くない無人島みたいなところに行ってしまう事がある。
「ごめん。今日、明日の朝、迎えに行っても良い?」
カホちゃんのお母さんに電話した。ピザハットが見えると告げると、
「ああ、もう家までほんの少しなのに。あっ、じゃあ、私が今からそっちに行くから、ピアザハットで待ってて」
あ~、助かった~。
僕は、閉店し、中で従業員が掃除をしているピザハットの駐車場でカホちゃんのお母さんを待った。
仕事を終わって出てくるピザ屋の従業員が不審な目で僕を見ながら帰って行く。
「頼むから警察なんぞを呼んでくれるなよ」
頭の中で、不審者の通報を受けて飛んできた警官とのやりとりを考えてしまう。
「あ~、早く来い!」
十分後、カホちゃんとジーニィを乗せてカホちゃんのお母さんがやって来た。彼女に後光が射して見えた。今度こそ助かったのだ。
助手席で長い間座っていたケーキの入った箱をカホちゃんのお母さんに渡した。彼女は劇でジーニィの素敵なつばめのコスチュームを作ってくれたのだ。
かくして、謎の袋小路からようやく脱出し、娘と僕は家路についた。もちろん、ピザ屋から高速の乗り場まで、カホちゃんのお母さんに先導してもらった。
一旦、高速に乗ったら、家まで10分もかからなかった。
あ~、疲れた~!
と、いう事でした。
読んでくれてありがとう。
じゃ、またね。
Takaya
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