「そんなことしたら、自分まで罪になるじゃないですか! 出来ませんよ~~」
配送業者の届久太郎(トドク タロウ)は思い切り断った。
「これ俺宛じゃないのに俺がこれ持ってるのもおかしいだろう!」
半ば逆ギレをする町替良得(マチガエ ラエル)。
「確かにおかしいし良くないですけど~~」
届久も困りながら、考えた結果。
「だったら本人に届けたらいいじゃないですか! そうしたら全てクリアですよ、ねっ」
届久は至極当たり前のことを言ってきた!
「確かに! そうだよな! 最初からそうすりゃあ良かったんだよな、何で思い付かなかったんだろう?」
途端に表情が一気に明るくなる町替。
「投函出来ないことに固執し過ぎたんじゃあないですか?」
またもや的を当てていた。
「……まあ、いいや! さっそく直接届けようぜ」
町替は向かおうとすると、
「あの……」と届久。
「何だよ」と町替。
「多分居ないんじゃないですかね? 留守っぽいです」
「あ……」
考えたら、何回も投函していて何の音沙汰もないことに気づく。
そうすると、確実に居ないことになる。
「考えたら思い切り平日ですしね……」
今日はまだ水曜日のしかも午後3時頃。
常勤ならば今は仕事中だろう。
「えーと、町替さんはサービス業か何かですか?」
思わず届久は尋ねた。
「え、あ、まーそ、そんなもんだ……て、いいから! 行くぞ!」
町替は何とか話題をそらして、隣の棟の102号室へ届久と向かった。
そして2棟の102号室のインターホンも押すものの……やはり何の音沙汰もなかった。
「留守ですね~」と届久。
「じゃあ、後は頼んだ!」
そう言うと、即座に町替は封書を無理矢理届久に押し付けると逃げ出した。
「あ! ちょっと町替さん!」
完全に逃げていく町替の背中を見て、ため息をつくものの……
届久は瞬時に思い付いた。
このままこの封書を持っているわけにも行かないので、なんと届久はまたそこの102号室の部屋ポスに投函した。
そして仕事を続ける為に配送車に慌てて乗り込むことになる。
もちろん、町替は自分の部屋まで戻ると、
「あーくそーっ!」
と叫んだのは言うまでもない。
続き
