ナリゾウは天使界の天空社 羽衣工房の工房長、天藍に勝手に逃げられないように見えない枷(カセ)で拘束されてしまいとうとう観念します。
そして、言われるままナリゾウは天藍の後ろをついて行きました。
すると、はた織りの工房の中を行こうとするので、
「まさかおいらに、はた織りをさせる気じゃあ…!」
ナリゾウは後ずさりします。
「そんなわけなかろうが!」
天藍はキレ気味で返しました。
「そなた…ナリゾウごときにそんなことは端(ハナ)から期待などしておぬわ。
大方、メチャクチャにしてしまうであろうな」
さすが工房長だけありナリゾウは見切られています。
「じゃあ、おいらは何を手伝うんだよ~?」
ナリゾウは言いました。
「ナリゾウ、そなたは夜の仕事をしてもらう」
天藍の言葉でついナリゾウは、
「ええ~~!? 夜の仕事!? 夜の蝶ってこと!?」
小鬼のくせに水商売的な冗談を言います。
「そんないかがわしい仕事ではないわ! 最後までしっかり聞き通せぬか!」
やっぱりですが、天藍はキレながら工房を出ました。
「ナリゾウ、夜になったらば月を磨いて貰うぞ」
「はあ? 月を磨くって? あの月~~っ!?」
「そうだ、あの月じゃ、皆は夜空に星を散らばせるゆえ、しっかりやり通すのだぞ」
「ええ~~!? おいらも星を散らばせるやつがやりたいけど」
そちらの方が楽そうに感じたナリゾウです。
「聞かねば、そなた達の住む下へ報告だな」
「あ、やります! やります!」
ナリゾウは意外に単純でした。
「そして昼間は、わたくしの妹の相手をせよ」
「はあ? 妹!?」
ナリゾウは驚きます。
「こちらにおいで星蘭(セイラン)」
天藍が呼ぶと、工房の角からこちらをチラッ見る者がいました。
ナリゾウと同じくらいの背丈の女の子天使が、物怖じしながらやってきて天藍の後ろに隠れます。
「妹の星蘭ははた織りの仕事や夜の星や月の仕事がなかなかうまく出来なくてな…
こうやってもて余しておるのだ。
性格も内向的な上、大人しいゆえあまりしゃべらない、話し相手になっておくれ」
「はあ~~!? 何でおいらがっ! 昼も夜もやることばっかりなんだよ~! やだよ~!」
「ではお叱り隊(下への報告)を呼ぶか? それとも両手両足の拘束が良いかの?」
「あ、はい! 喜んでー! やらさせて頂きます!」
やはりナリゾウは単純でした。
天藍はなかなかナリゾウの扱いが上手いです。
ということでナリゾウは言われた通りな仕事? と言いつけ通りにすることになり……
次回へ続く
