ちょっとここら辺で、雲の上ばかりの話ではなく地上の話をしようと思います。
あの雷神風神が移動で使う雲がありますが、あれは雷神風神の術のひとつだといいます。
なので雷神風神のみしか乗れない雲なのですが、どういうわけかナリゾウはなんといとも簡単に乗れてしまうのでした。
黒鬼カミナリ親方の風来坊をこっそりナリゾウは、
「風来坊ー!」
と呼ぶとまさかのナリゾウのところまでやってきてしまいます。
親方しか乗れない風来坊なはずなのに、ナリゾウは躊躇することなくストッと乗れてしまいました。
「これはいいや」
ナリゾウは喜びます。
そこで調子にのって風来坊に乗ってしまったら、すぐバレると思ったナリゾウはまさかの風来坊の端をちぎりました。
「ちょっとごめんよ~」
ナリゾウは風来坊の端を取ると、他の雲を一生懸命付けていきます。
ナリゾウが乗れるぐらいの雲が出来上がりました。
恐る恐る乗ってみると、
「おおー! 乗れる乗れるぞ~すげえ!」
風来坊と同じく雲に乗ることが出来ました。
そして、ナリゾウはそのまま地上に降りてみることにしました。
「地上に降りれば、まーバレることはないだろう」
とあさはかな考えなナリゾウ。
その日の夕方は雨が降っていました。
他の雷神さんが降らしているのでしょう。
さっそく地上へ降りると、そこはある自動車整備工場でした。
誰もいないと思ってナリゾウは工場に入ると、そこに水色のつなぎを着た青年がひとりだけいます。
「お、どうした? 雨宿りか?」
青年はナリゾウに気づきます。
「え、あ、うん、そう」
「ほら、早く入ってこい」
青年はナリゾウのことに驚くこともなく、自然と受け入れました。
「凄い雨だったろう」
「あ、うん、ねえ、あの大きい塊は何?」
ナリゾウは車を指さします。
「ああ、これは車っていうんだ、知らねえのか?」
「車って?」
「人を乗せて速く移動出来るものだよ」
「へー雲の上でいう親方の風来坊みたいなものかな?」
「雲の上? 風来坊?」
「うん、おいらカミナリの見習いなんだ、雲で降りてきた」
「マジかよ!? すげえな! カミナリの見習いって、ある意味オレと一緒だな、オレも整備工場ではまだ見習いみたいなもんだ。
オレはスズハラ、お前は?」
「ナリゾウ」
「ナリゾウかー、よろしくな」
まさかの人間のスズハラはナリゾウと仲良くなりました。
そこで外したばかりの車のマフラーをナリゾウは見つけると、
「あーそれ、もう古くて使わないヤツかなー」
とスズハラが言います。
「ねえ、だったらおいらにくれないかな?」
まさかのナリゾウは車のマフラーを欲しがります。
「いいけど、こんなもの邪魔になるだろう?」
「雲に付けたらどうなるかやってみたいから、ちょうだい」
「ええ? いいけどタイヤじゃなくていいのかよ」
雲にタイヤ……それもなかなかな誘惑でした。
「いいや、タイヤだと2つ以上ないとダメだからマフラーってのにする」
「そうかー、この雲に付ければいいのか?」
ナリゾウの雲にさっそくマフラーを取り付けてみます。
すると、さっそくブォォン……と音がし出して、ナリゾウが乗るとブォォォン……!
急発進してしまいます。
でも、ナリゾウは事も無げに乗りこなしました!
「わー! すげえ、ありがとうスズハラさあん」
スズハラは驚きながら、凄いスピードへ雲の上に帰っていくナリゾウに手を振って見送りました。
雲の上に帰って来たナリゾウは、このままにしておこうかどうしようか悩みます。
悩んだ末、
「そうだ、このまま親方の風来坊にまた連結しちゃえばいいんだ!」
なんと風来坊と再び連結することを思い付きます。
そしてマフラーは見えないように雲で一生懸命隠して……
「よし、マフラー見えなくなった、親方驚くぞ、速くなるだろうからなー」
最初ナリゾウは腹いせではなく、本当に良かれと思ってやったことでした。
でも、内緒でやったのはいけません。
ナリゾウは雷門の雷おこしと風神の風袋にいたずらしたことにより、雷組織委員会に呼び出されて、
「ぬしを風神族の株式会社タツ&マキに出向を命ず!」
と北大路さんみたいな雷神族の会長にそう言い渡されてしまいます。
ナリゾウは、これからどうなってしまうのでしょう?
本日はここまで。
