「あ、今日は……お店があるっ!」
しいかはやっぱり驚く。
なんと引き返した時には空き地だったはずなのに、本日はまた突然そこに前からありましたよ~な勢いで普通に建っていて……!
「良かった~、何が何だか判らないけれど、あるのなら入ろう…」
躊躇(チュウチョ)することなく、しいかは自動ドアをくぐる。
「いらっしゃいませ、コンタクトレンズ バンジへようこそお越し下さいました」
あの時のイケ女店員が、しいかを同じように迎えた。
「あ、あの……電話で…コンタクトレンズを……着けたままで来て下さいと言われたのですけど…」
しいかは戸惑いながら言う。
イケ女店員は突然笑顔を止めると、
「コンタクトレンズをどうしたいのでしょうか? お客様、いえ、音名しいか様」
普通に名前を言われるのも慣れてきたしいか。
「え、あの……コンタクトレンズに頼ってまで自分を変えるのは……ちょっとそぐわなくて……」
「なぜ、音名様はそうお思いになりましたのならば、お棄てにならなかったのでしょうか?」
「そ、それは……」
しいかはハッとする。
イケ女店員の言う通りだった。
「……心のどこかでは、このままでも良いという気持ちがおありだったのでしょうね。
でしたら、その心に従うべきではなかったのでしょうか?」
「……でも……このままでは……」
「友達のことですね? その方はあなたにとって真の大事な方だったのでしょーか?」
何かイケ女店員から、鬼気迫るように問われるしいか。
喉をゴクリと思わず鳴らしていた。
「……どういうことですか?」
「コンタクトレンズをこのまま着け続けるか、それとも返却希望をするのか、
しばらくの間、誠にすみませんが、音名様はある条件をクリアするまで拘束させて頂きますので、ご了承下さい」
「え、拘束…って……!?」
途端、コンタクトレンズ バンジの店内はぐにゃりと空間が曲がってゆき、
「い、いや~~!」
慌ててしいかは逃げようとした時には遅く、ブラックフォールのような闇に吸い込まれて消えてしまった。