猿橋へ
吾妻渓谷は、八ッ場ダムの建設によって全体の4分の1を失ってしまったが、主要な景勝地はどうにか守られた。
以前の遊歩道は、長野原町のJR川原湯温泉駅から右岸の遊歩道に入り、下流の鹿飛橋を左岸に渡って、スタート地点まで戻るという周回コースが普通であった。

ところがダム工事が始まったことによって様変わりした。
そもそも、八ッ場ダムの建設に当たっては、大規模な交通網の周辺整備を必要とした。

単に国道の整備に留まらず、住民の生活に重要な道路網の環境整備が行なわれた。
長野原・東吾妻両町の吾妻川右岸は、もともと日照時間が少ない為、未開発地区であった。従って鉄道・道路とも開発が比較的容易だったのである。

そんな訳で吾妻渓谷の観光設計も見直しが行なわれた。
いまや地方の移動手段は鉄道よりも自動車が主力である。

躊躇なく遊歩道の駐車場が鹿飛橋に近い場所に設置された。それが十二沢パーキングである。かつ、周回できる新橋も増設した。それが「猿橋」である。
吾妻峡の九十九折
九十九折とは、幾重にも曲がりくねって続く坂道のことを指します。

「九十九折」は「葛折」とも書き、つる植物の葛(つづらふじ)の蔓が絡み合っている様子を表しています。

また、「九十九」という言葉は、曲がっている回数が多いことを意味しています。
一般的に、九十九折とは、地形が急斜面であるために、道が何度も曲がりくねってつけられている場所を指すことが多いのです。

九十九折の道はなぜ必要?
特に山道や坂道で、安全で快適な通行のために工夫された設計なのです。

山の斜面をまっすぐ登ろうとすると、非常に急な坂道になってしまい、人や車が通行するのが難しくなります。

九十九折にすることで、道の進行方向を斜めや横向きに変えながら進むため、一つ一つの登りの標高差が小さくなり、全体の勾配が緩やかになるんです。

体力の消耗を抑える
登山道などでは、最短距離を行くと体力を大きく消耗したり、登りきれない場合があるので、九十九折が好まれます。

安全性の向上
勾配の道は転倒や転落のリスクも高まりますが、勾配が緩やかになることで、より安全に移動できるようになります。

建設コストを抑えるため
山を越える道路を作る際、急な勾配を乗り越えるためにトンネルを掘ったり、谷を渡るための長い橋を架けたりすると、建設に多大な費用がかかります。
九十九折の道にすることで、これらの大規模な土木工事を避けることができ、コストを抑えられる場合があるんです。
車両の動力性能を考慮するため
昔の自動車は、現在の車両ほど急な坂道を登る能力が高くありませんでした。
そのため、急勾配を直線で登るよりも、九十九折にして勾配を緩やかにする方が、車両の走行に適していました。
このように、九十九折の道は、地形的な制約がある中で、人々が安全かつ効率的に移動できるようにするための知恵と工夫から生まれたものと言えるでしょう。



