エジプト考古学博物館 アヌビス
古代エジプトで金狼犬あるいはこの首をもつ人体で表される神で、一般に死者の神、あるいは墓地の神とみなされる。

エジプト神話に登場する冥界の神で、リコポリスの守護神。「聖地の主人」、「自らの山に居る者」、「ミイラを布で包む者」などの異名を持つ。

神話ではオシリスとネフティスの子で、オシリスをのみ込んだといわれている。『死者の書』ではイプ・ウワト(道を開く者)とよばれ、死者をオシリスの前に導くものとみなされる。

また、紀元前1200年ごろ(第19王朝末期)に書かれた『二人兄弟』の物語では兄の名がアヌビス(原語でアヌプ)であり、神を表す記号がつけられているので、この物語は本来、地方神である弟バタとアヌビス神の争いを主題とするものであったかもしれない。

ミイラをつくる神といわれたアヌビス神の像。お墓の守護神でもあるといわれています。

王墓の玄室の入口に向かい合って置かれていた2つの像のうちの1つ。ツタンカーメンの身長と同じ1.7mの立像。
アヌビス神のカー(精霊)の像
カー(精神)
「カー」は、生者と死者を分ける霊的な精髄を指すエジプト人の概念である。カーが身体を離れる時に死が起きるとされた。他に「生命力」、「精気」、「活力」とも訳される。

古代エジプトにおいて全ての存在の内に一つあるいは、複数宿る行動を起こさせる共存者とされた。
地域により異なるが、ヘケトまたは、メスケネトが各人のカーの創り手であると信じられ、誕生の瞬間にカーを人間に吹き込むことで生者とすると考えられた。これは、他の諸宗教における精神の概念に類似している。

またカーは、墓の中の肉体に依存するものと考えられ、その肉体に戻って捧げられた供物を取り、その力を維持されるのであるとも信じられていた。
[この理由から死者にも飲食物が捧げられたが、ここで消費されるのは、供物の中の「カーウ」であり、物質的な部分ではないと考えられた。

エジプトの図像でカーは、しばしば王の2番目の姿として描かれており、このために初期の翻訳では「カー」は、「分身」と訳されていた。