久しぶりの投稿!

今日は、
Closed loopシステムのLoopのAutomatic bolus(AB)とFiaspの二つを導入したのでその効果についてレポートをまとめました!

結論としては、LoopのABとFiaspの組み合わせ、サイコー!まじオススメっす!



Fiasp 3/16開始しました


LoopのAutomatic Bolus 3/29開始
夜間はTBに切り替えています。

略字は
TB= temp basal only
AB= automatic bolus





●結果
下記3つの組み合わせを比較しました。
Loop (v1.9 Temp Basal) x Apidra (2/15/2020 - 3/15/2020)

Loop (v1.9 Temp Basal) x Fiasp (3/16/2020 - 3/28/2020)

Loop (Automatic bolus) x Fiasp (3/29/2020 - 4/25/2020)





Loop (v1.9 Temp Basal) x Apidra (2/15-3/15)
Average:  126.9mg/dL
Median  121mg/dL
SD  35mg/dL
Time-in-range 
<70: 1.3% 
70-140: 68.1%
70-180: 90.5%
>=180: 8.2%


Loop (v1.9 Temp Basal) x Fiasp (3/16-3/28)
Average: 123.6 mg/dL
Median 115.0 mg/dL
SD 35.7 mg/dL
Time-in-range 
<70: 0.7% 
70-140: 73.9%
70-180: 92.0%
>=180: 7.3%


Loop (Automatic bolus) x Fiasp (3/29-4/25)
Average: 111.0 mg/dL
Median 105.0 mg/dL
SD 24.8 mg/dL
Time-in-range 
<70: 1.0% 
70-140: 86.2%
70-180: 97.3%
>=180: 1.7%


表にまとめました

血糖コントロール比較

Description

TB x Apidra

TB x Fiasp

AB x Fiasp

Average (mg/dL)

127

124

111

Median (mg/dL)

121

115

105

SD (mg/dL)

35

36

25

<70mg/dL (%)

1

1

1

70-140mg/dL (%)

68

74

86

70-180mg/dL (%)

91

92

97

>=180mg/dL (%)

8

7

2

一番右が現在使用中のFiaspとLoop ABの組み合わせ





●Percentile Chart
Loop (v1.9 Temp Basal) x Apidra
 (2/15/2020 - 3/15/2020)

Loop (v1.9 Temp Basal) x Fiasp
 (3/16/2020 - 3/28/2020)

Loop (Automatic bolus) x Fiasp
 (3/29/2020 - 4/25/2020)




●調査結果
ApidraからFiasp, Loop Temp BasalからLoop automatic bolusへの移行はともに血糖コントロールの改善しました。ABとFiaspの組み合わせが一番良好な結果が得られました。

これらの改善は、血糖値の平均値、中央値、Time-in-rangeなどすべての指標において見られました。

夜間はABは使用せず、Temp basalのみ条件下でApidraとFiaspを比較。ApidraよりFiasp使用した場合だと、振れ幅が大幅に低減され、より安定しました。







以下にデータにあらわれない使用感含めて考察します


●Fiasp関連
効きが早いのでBolus時は、待ちすぎに注意が必要です。高血糖でなければ待つのは10分までとする。食べるのと同時でもよいが5分まつようにしています。アピドラ使用時の待ち時間のだいたい「1/2」と考えると低血糖を防げます。(わたしはFiasp導入直後、待ちすぎて2回くらい昼食後に低血糖になりました)。

立ち上がりが早いと血糖値が上がり始めた段階(80-140あたり)でFiaspでBolusすれば180以内に収まる。

Fiaspは切れが速いので、IOBがかさなりすぎない。また効きが早くでるので、結果として、待てない、イライラからくる追加うち(いわゆる「Rage Bolus」)といったヒューマンエラーを未然に予防することにつながりました。

切れが早いと、IOBが低く抑えられている時間帯が多くなるので、その分、散歩など運動の自由度があがってQOLが改善しました。

切れが早いと、基礎を停止する効果も早く現れる。(!)

夜間はApidraからFiaspに変更したことで振れ幅が低減したので、結果的に低血糖リスク(<70)を増やすことなく目標血糖値を95mg/dlから85mg/dLに下げ、低血糖アラームも80mg/dLから75mg/dLに引き下げることができました。

睡眠時のTarget設定と実際の振れ幅
Apidra
Target 95mg/dL
振れ幅:79-125mg/dL(これはざっくりの数字です)

Fiasp
Target 85mg/dL
振れ幅:79-110mg/dL(これはざっくりの数字です)


●Automatic Bolus関連
TB使用時は、自動注入がおそいため人力ボーラスをする機会が多く手間がかかっていましたが、ABになってからは、自動注入にまかせておけるようになったので、CGMをみる時間が大幅に低下し手間が減らせるというClosedLoop本来の利点が得られるようになりました。

ABがアグレッシブな分、Override機能をひんぱんに上手に使いこなす必要が出てきます。TBよりも下がりやすくなるのでとりわけ外出中は気を付ける必要がありました。たくさんのoverride patternが必要になりました。

ABとFiaspのそれぞれのアグレッシブさの相性が高く、両方を同時に使用することによる相乗効果が大きい。

ABはより積極的にインスリンを注入し、Fiaspは早く立ち上がって早く切れる。予想以上にこの組み合わせることによるメリットが大きく、(overrideなど使いこなせれば)アグレッシブすぎるデメリットは感じていない。

データには反映されないQOLの改善も顕著だった。



●バイアス
バイアスとしては三点ほど記しておきます。

TB x Fiaspの期間が短いので、Fiaspに慣れるまでLoop設定が定まらなかった影響がでているかもしれません。

4月以降はコロナの影響で、外出が減ったため改善している可能性にあります。

またApirdaからFiaspへの移行による改善があまりにも大きいので、Apidraのインスリン抗体が知らない間にあがっていた可能性を排除しきれません。コロナがおさまって通院できるようになったらまた抗体検査をうけるかもしれません。


●将来展望
今後の展望も少し触れておきましょう。

今後の検討課題としては、Fiaspはなぜかいったん高血糖(180mg/dL)になると、追加うちしてもなかなか下がらないが、原因は、カーボカウントのミス、CGMの高振れ、切れが早いのでIOBが意外と重ならない、あるいは心理学的な錯覚など、原因を特定できておらず、引き続き検討中です。

Fiaspは、公表されている治験データから予想していたよりも、実際に使ったときの効果の大きさは驚きでした。つねづねいわれてきた「皮下注射の限界」という血糖コントロールにおけるガラスの天井は案外、薄いのかもしれません。

今後は、より一層立ち上がりと切れが早いLiumjevが登場すれば、さらなる血糖コントロールとQOLの改善が期待されるでしょう。

ABは今後、バグが取り除かれ、そのうちLoopの正式バージョン(v.3.0?)として導入されるでしょう。年内は厳しいかなあ。

Loop以外のクローズドループシステム二種(OpenAPS, AndroidAPS)には、SuperMicroBolus機能というABとは異なるアルゴリズムだが類似の積極的なボーラス機能が実装されています。

FiaspとAutomaticBolusの組み合わせの相乗効果を考えると、OpenAPS,ないしAndroidAPSとFiaspの組み合わせでも同様の結果が得られるかレポートが待たれます。







以下、マニア向け情報
●ABとFiasp導入に伴うLoopの設定変更
・Correction Range
Fiaspは立ち上がりが早く、かつ切れが早めなので、期待していなかった利点として、基礎を停止する効果も早く、振れ幅(SD)が小さくなります。結果として、睡眠時の低血糖を起こさずにTargetBGを95から85mg/dLに引き下げることができました。良質な睡眠を確保することを重視していますので、低血糖アラーム(75mg/dL)が鳴らさないことが大前提としていますので、振れ幅の小ささは重要です。

睡眠時のTarget設定と実際の振れ幅
Apidra
Target 95mg/dL
振れ幅:79-125mg/dL(これはざっくりの数字です)

Fiasp
Target 85mg/dL
振れ幅:79-110mg/dL(これはざっくりの数字です)

・Suspend Threshold
睡眠時は、AutomaticBolusではなく、TempBasalモードを使用しています。したがって、睡眠時の血糖安定の効果はApidraからFiaspへの切り替えが寄与しています。ただし、ABにより、寝るタイミングで血糖値がすでに低く、かつIOBも低いので、その結果がCarryOverしているのも寄与しています。

LoopV2.0までは70mg/dLにしていましたが、Fiaspの効きが早いので安全性向上のために79mg/dLに上げました。この変更は、デュアルウェーブっぽくABを機能させるには、低血糖リスクを減らせる点において有効だったと考えている。

・Delivery Limit
一食最大でせいぜい8単位なので、最大を6単位ほどに設定しています。残り2単位をABでいれると実質デュアルボーラスになります。Suspend Thresholdを引き上げたのも一気にABがいれすぎず低血糖を防ぐのに寄与しています。

・Insulin model 
Fiaspを選択。Walshを短くしたりもしましたが、素直にFiasp選択が一番うまくいきました。

なお他のインスリンで希釈は試していないのでわかりません。

Liumjev向けのインスリンモデルの必要性については、開発者も把握しているので、いずれ出てくると思います。状況としては、米国よりヨーロッパのほうが承認がはやく降りそうです。そのタイミングに間に合わせることになるのではないでしょうか。Nightscoutでは日本のプレゼンスがないものですから。

・Basal Rate
設定変更なし

・Insulin Sensitivity
設定変更なし。FiaspやAB導入当初は少し高めにして安全策を設けました。


●Loopバグ
・危険性を伴うバグは今のところ一切、経験していません。
・まれにCOBが計算に入らず、予想血糖値が-1000くらいになることはありますが、インスリンが止まるので危険性はないです。これはAutomaticBolus固有のバグというよりは、Loop ver.2.0で出るものと理解しています。通常はしばらくすると元に戻りますが、どうしても戻らないことは2回くらいありましたが原因不明です。なおポンプでデュアルをいれると必ず出現するバグですのでやめて、LoopのみでのBolusに切り替えました。


●使用セットアップ
インスリンポンプ:パラダイム722
CGM:libre sensor1 +MiaoMiao1
CGM reader app: Spike
Closed Loop system: 
Loop v1.9.2-spike
Loop v.2.1.0-spike x Automatic Bolus
Apidra
Fiasp(他のインスリン製剤で希釈はしていません)