(東京新聞より)

成田空港内の農地 明け渡し求め提訴 NAA、請求権の時効迫り

 千葉県・成田空港用地内で耕作している農業市東孝雄さん(76)に対し、成田国際空港会社(NAA)は、10年前に確定した判決に基づく土地の明け渡し請求権の確認を求め、千葉地裁に提訴した。1日、第1回口頭弁論があり、口頭陳述で市東さんは「空港会社から約10年間、明け渡しの催告や協議の申し入れがなかった」と主張し、NAA側の請求棄却を求めた。

 提訴は5月1日付。訴状によると、NAAは2008年、市東さんに土地の明け渡しを求め提訴。NAAと市東さんとの賃貸借契約の終了は有効として市東さんに2677平方メートルの土地明け渡しを命じた一、二審判決が16年10月25日、最高裁で確定した。その後も市東さんが耕作を続けている。10年間の時効期間に請求権を行使しないと消滅するため、NAA側は「再度確定判決を得て、時効を更新する必要がある」とする。

 一方、市東さんは、祖父の代から土地を借りており、地主がNAAに土地を売却後も賃借料を供託してきたと強調。NAAによる土地の取得には緊急性がないとし、「営農妨害目的だ」と訴えた。

 市東さんの耕作地は、空港用地内に2カ所あったが、そのうち1カ所は3年前、強制的に収用された。今回の訴訟でNAAが明け渡し請求権の確認を求めているのは、残る耕作地の一部。

 

解説

「国策」に翻弄され、今もいやがらせ裁判を起こされている成田農民、市東さん

NAAが「明け渡せ」と言っている土地は、元々成田農民市東孝雄さんが親子三代100年耕してきた農地。戦後農地改革で市東さんの畑になるはずだったが、父親の東市(とういち)さんのさんの軍隊からの復員が遅れ、その手続きができなかったため、形式上「小作人」のままで名目上の地主に賃料を払い続けてきた。

ところが、その「名目上の地主」が、長年耕作してきた市東さんに「隠して」空港公団(現NAA)に土地を「売却」してしまった。(農地法では、小作人の承諾なしに「名目上の地主」が土地を売却することは禁じられているのに…)

市東さん一家はそのことを知らずに、「名目上の地主」に賃料を払い続けてきた。

 

 

元々市東さんに耕作権があり、空港にとって必要ない土地なのに、農民へのイヤガラセだけで土地明け渡しを迫り、機動隊の「夜襲」で農地の半分を奪い取った国とNAA

市東さんは「天神峰」と「南台」の2か所で無農薬野菜を作り、「産地直送」で消費者に直接提供してきましたが、その「天神峰」の農地は2023年2月、機動隊の「夜襲」で奪い取られてしまいました。その土地、実は「空港にとって必要ない土地」なので、今も草ぼうぼうのまま放置されています。「空港に必要だから」という強制執行の理由はウソだったのです。

 

 

そして今度はもう一つの「南台(みなみだい)」の農地を明け渡せ、と言って2008年にNAAが提訴し、2016年に不当な「明け渡し命令」が確定してしまいました。しかしその後も市東さんが耕作を続け、10年が過ぎると「時効」。NAAの請求権が消滅し、市東さんの「耕作権」が確定してしまうため、「空港にとって必要ない土地」なのに、あわてて「時効の更新」裁判を起こしてきた、というわけです。

 

執拗に農民の「営農妨害」目的の訴訟を繰り返すNAA。こうした理不尽な「国策」に対する「農民」の不屈の闘い、今年で60年を迎えます。

 

そして国とNAAは、かつては反対同盟幹部だったのに現在は「利権屋」になってしまった、こういう人たちを使って、再び農民の土地を「強制収用」しようとしています。

「強制収用は二度とやらない」という農民との約束をふみにじって…

 

(農民に土下座して「もう強制収用はしない」と約束した江藤運輸大臣(当時))

1989年11月30日、江藤は、運輸大臣(今の国土交通大臣)として成田空港問題について「地元への不十分な説明が問題の長期化が原因」と答えて遺憾の意を表明する文書を郵送し、その旨を12月4日に会見で発表した。運輸大臣が公に成田空港問題について過去の誤りを認めたのはこれが初めてである。 江藤は1990年1月30日に現地を訪問している。江藤の来訪に気づいた老人が手筈通り道路に飛び出して土下座し「これ以上農民を苦しめないでくれ」と訴えると、江藤は自らも膝を地面につき、老人の手を取りながら話し掛けた。1時間半ほどの会談の中で江藤は「強制収用は念頭に置かず、誠心誠意やっていく」と話した。

2005年にはNAA社長黒野氏が「皆様の生活環境や人間としての尊厳を損なうようなことは二度とやらない」と謝罪しました。

 

(東京新聞より)

 成田空港の滑走路新設を巡り、成田国際空港会社(NAA)が早ければ12月にも、土地の「強制収用」が可能となる土地収用法に基づく事業認定を国土交通相に申請することが2日、関係者への取材で分かった。手続きを進める上で必要な事前説明会を今月28日から始めるという。

 

 

(海外のニュースでも取り上げられた市東さんの闘い)

 

(これまでの記事)

 

 

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