高市氏「敵国条項はずせ」発言。一方米中首脳会談でトランプ氏は「米中は抗日戦争を戦った同盟」強調

「存立危機事態」に続き、高市首相の「日本を国連の敵国条項から外して」という発言が中国の反発を呼んでいます。米中会談でトランプ氏・習近平両氏が「米中は日本と戦った同盟」で一致、という思わぬ展開に。

 

(JIJI.COMより)

 「旧敵国条項は早急に削除されるべきだ」。首相は22日、国連総会の一般討論演説でこう強調。「70年間にわたり、国連に大きく貢献してきた日本の誇りと名誉に懸けて、強く申し上げておく」とも述べた。

 旧敵国条項は日独伊など第2次世界大戦の「敵国」に対し、安全保障理事会の許可なしに軍事行動をとれるとした規定。2005年に中国を含む加盟国が削除する方針で一致したが、いまだに実現していない。政府関係者によると、首相は自ら演説に加筆するこだわりようだったという。

 これに対し、中国外務省の郭嘉昆副報道局長は23日の記者会見で、「ファシズムや軍国主義が再び平和と安全を脅かすことを防ぐ重要な制度的枠組みだ。今日でも重要な現実的意義を有している」と反発した。

 

 

(テレ東BIZより)

習主席、夕食会で「日本軍国主義の侵略者と戦った」

アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席は24日、ホワイトハウスで会談し、AIをめぐる対話の継続で一致しました。一方、夕食会で習主席は第2次大戦で米中が共に「日本軍国主義の侵略者と戦った」と強調しました。首脳会談後に行われた夕食会で習主席は「80年以上前、中米両国の人々は協力して日本軍国主義の侵略者と戦った」と主張し、多くの犠牲を伴ったものの「血と炎の中で築かれた友情は世代を超えて受け継がれていく」と主張しました。一方、トランプ氏は「米中関係はかつてないほど良好だ」と強調しました。

 

(中央日報の記事より)

「共通の利益に集中」…トランプ氏、習氏の前で抗日「同盟」にまで言及

ドナルド・トランプ米大統領は24日(現地時間)、習近平中国国家主席と「安全保障、技術、超知能〔SI、トランプ氏が人工知能(AI)を指す言葉〕に関する喫緊の懸案を議論する」と予告した。また「共通の利益に集中すべきだ」と強調する中で、第2次世界大戦当時に米国が中国の抗日闘争を支援したことに言及し、これを米中間の「同盟」とまで表現した。

 

トランプ氏はこの日、ホワイトハウスで開かれた習近平夫妻のための国賓歓迎式典での演説で「今日われわれがこの分野で下す決定は、数十年にわたって平和と繁栄を増進することができる」と述べた。また「(習主席は)米国を2回目の公式国賓訪問することになった中国初の指導者」と今回の訪米の意味を強調し、「協力することで、われわれは両国が直面する懸案で大きな進展を成し遂げた」と両国間の協力に重点を置いた。「今年5月の訪中時にわれわれは貿易委員会を新設し、この全く新しいメカニズムを通じて信じられないほど大きな成功を収めた。われわれの実務陣は米国の農家と畜産業者のための新たな市場アクセス権を含め、より均衡の取れた貿易関係を構築するために努力してきた」と述べた。

 

特にトランプ氏は、米中には長い協力の歴史があるとして、第2次世界大戦中の1941~42年、中華民国の抗日戦争を支援するためルーズベルト米政権の承認の下で組織された米国人義勇パイロット部隊「フライング・タイガース」(中国名・飛虎隊)に言及した。「われわれが共通の利益に集中すれば、成し遂げられることは多いと確信している。歴史的に共通の利益の追求は、第2次世界大戦当時にはわれわれを同盟国にまでした」と述べた。

(編集部注:フライング・タイガースは1941年に第一アメリカ義勇軍として設立され、1943年に新たに編成された第14空軍の一部となりました。

彼らは日本軍と空中戦を繰り広げただけでなく、当時のイギリス領インドから中国の西南部の省まで、ヒマラヤを越えた輸送も確保しました。これは抵抗政府の拠点でした。

日本のために戦って亡くなった2,500人以上の軍人の名前が初めて公表されました。)

トランプ氏は「勇敢な米国人パイロットが中国の存立のために志願して中国にやって来た」とし、フライング・タイガースを「伝説的な部隊」とたたえた。続けて「米海兵隊が中国人と接した経験は、海兵隊が現在も使っている『Gung-ho(ガンホー)』という中国語表現を取り入れるきっかけになった」と説明した。中国語の「工合」に由来する言葉で、「共に働く」という意味だ。

(編集部注:米海兵隊が気合を入れるときの合言葉「ガン・ホー」をタイトルにした、こんなアメリカ映画もありました)

 

トランプ氏がフライング・タイガースに言及したのは、米中間の対決ではなく協力に重点を置こうという趣旨とみられるが、敵対的な競争国の首脳を歓迎するため、現在の同盟国である日本を撃退しようと力を合わせた歴史的事例に言及した形となり、注目される。高市早苗首相の台湾海峡関連発言をきっかけにした中日間の対立が依然として深刻なうえ、中国が国際社会で日本を圧迫するためにたびたび持ち出す「抗日連帯」という歴史的叙事をトランプ氏が先に持ち出したとみることができるためだ。前日、トランプ氏が自ら空港に出向いて習近平夫妻を出迎えたことをめぐっても、他の同盟・友好国の首脳には見せたことのない手厚い待遇だとの声が出た。

 

これに先立ち2015年の習近平主席の初の国賓訪問時にも、バラク・オバマ元大統領が晩餐会の乾杯の辞で第2次世界大戦当時の両国間の協力に言及した。ただ、オバマ氏は「中国の村人たちが米国人パイロットをかくまい、食事を与え、負傷を治療した」とし、人道的な側面を強調した。

 

続く発言で習主席も協力の重要性を強調したが、競争の不可避性も同時に浮き彫りにした。特に守るべき競争の一線と軍事的危機管理の必要性を強調したが、すでに米国と対等な立場で戦略的覇権を争っているという認識を示したとみる余地が大きい。

 

習主席は「中米が競争に言及することを避ける必要はない。ただし競争は健全で一定の一線を守らなければならず、互いに先を争う競走であって、相手が負けて自分が勝つ格闘になってはならない」と述べ、「ゼロサムゲーム」を警戒した。また「米中双方は衝突せず、対決しないというマジノ線を守らなければならない」とし、「両国軍は定例対話を維持し、危機コミュニケーションおよび予防システムを改善しなければならない。『トゥキディデスの罠』は克服できる」と強調した。

 

 

習主席は特にAIの危険性を管理する必要性についても基本的な共感を示した。「両国にはAIを適切に発展させ、管理する能力と責任があり、AIが常に人間の統制下で国民に恩恵を与えるようにしなければならない」と述べた。ただ、その一方で「中国と米国はいずれもAI強国だ」と前置きしたが、米国とのAI開発競争で後れを取る考えはないという意思も明確にしたものと解釈される。

 

習主席は具体的な協力議題も提案した。「中国は麻薬取り締まりや法執行などの分野で米国との協力を強化する用意がある」とし、フェンタニル問題で協力できることを改めて確認した。このほか両国間の直行便の増便、今後5年間で米国の青少年10万人を中国に招待するなど具体的な事業も提示した。「ここでうれしい知らせを一つお伝えする。数日後には2頭のパンダ『平平(ピンピン)』と『福双(フーシュアン)』がアトランタ動物園の新しいすみかに到着し、米国国民と会うことになる」とし、ジャイアントパンダの到着も自ら伝えた。

 

習主席はトランプ氏がフライング・タイガースに言及したことについて、「第2次世界大戦当時、中国と米国はファシスト侵略者に対抗して共に戦った。両国国民はこれを決して忘れないだろう」と応じることも忘れなかった。

 

両国首脳は歓迎式典後、単独会談と拡大会談を続けた。国賓晩餐会の前にもホワイトハウスのイーストルームで両国首脳がもう一度発言する予定だ。この場でこの日の会談で成立した合意の輪郭が明らかになるとみられる。

 

(編集部注:この後の晩さん会で、習近平氏は更に日本を名指しで「中国と米国の人々は肩を並べて日本軍国主義の侵略者と戦った」と述べた。)

 

 

(編集部の解説:2つの「勘違い」)

①これまでの日本は「敵国条項は死文化したので無視」あるいは「憲法9条で戦争をやらない国になったのだから敵国条項をはずして」という立場だったが、高市氏は「安保法制、殺傷兵器輸出、などで米国などと一緒に戦争をできる国になったんだから敵国条項を外して」という真逆の主張。これが国際社会にどんな反発を引き起こすかわからない、という「勘違い」をしているようです。

②トランプ氏は「米中は戦争中同盟していた」と言っていますが、当時アメリカと同盟していたのは「中華民国(蒋介石の国民党政府)」。その国民党政府を戦後の「内戦」で倒して成立したのが現在の共産党政権ですね。共産党軍に負けた蒋介石軍は台湾に逃げ込み、そこを占領し、「中華民国」とした。今の台湾では、その蒋介石派も影響力を失い、「台湾は台湾人のもの」と考える人が多いようです。トランプ氏は、こうした史実を理解せず、大きな「勘違い」をしているようです。

 

 

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