☆カウンセリングで便秘が治った!漢方薬&養生の効き目
「人間は『気持ちの生きもの』だから、『気のせい』って大きいですよ」
ドラッグストア勤めの会社員時代、お客さまにはよくこう言っていました。
今日は、まさに「気のせい」を治したら、長年悩んでいた不調が治った方のお話をしようと思います。
以前、まつもと漢方堂の「はじめての中医学」に参加してくださった受講生さんが、「実は……」ということで漢方相談にお越しくださいました。
その方のお悩みは、「便秘」。
出ていない訳ではないのだけど、2~3日に1回しか、出ない。
スッキリ出ない。
便がコロコロと硬い。
割とよくあるお悩みではありますが、実際に解消するとなると、ひとりひとり、何をすればよいかが異なります。
よくよくお話をうかがうと、これまで地元の薬店で勧められた漢方薬を使っていて、
「効いてるんだか、効いてないんだか、よく分からなかったけど、服むのを止めたら出ないので、やっぱり効いてたのかなあ」
とのこと。
活血化瘀、血や物質の流れをよくして、淀みを改善する処方が出されていたようです。
この方、仮にBさんと呼びましょうか、Bさんは確かに、「脾」はものすごく丈夫ではありませんでした。
つまり、胃腸のパワーが弱めなので、便を押し出す力も弱く、元気よく排便できない。
日本人、とくに女性にはとてもよく見られる便秘の構造です。
こういう方は、漢方薬で脾を丈夫にすると同時に、食べるものをそのひとの胃腸のパワーで押し出せるような内容・量に調整することが必要です。
このお手当でBさんは、確かに、毎日排便があるようになりました。
ご本人も、喜んでおられました。
自力で快適な排便ができるように、胃腸の基礎体力を固めるため、漢方薬&養生をしばらく続けることにしました(これを「調理」と言います)。
ところが。
数週間経つうち、漢方薬・食養生を続けているのに、また出なくなってきたのです。
Bさんの排便頻度は、2~3日に1回に戻りました。
なぜ?
原因は、「職場のストレス」でした。
正確に言うと、
「ちゃんとしなければ……」
「時間に完了させなければ……」
「ひとから言われないようにしなければ……」
という、自分を追い立てる心のクセにより、自分に過度のプレッシャーをかけ、緊張状態を強いていることが原因で、腸がリズミカルな動きを失っていたのです。
自分を追い立てる心のクセ。
ただ真面目なだけでは健康は害しませんが、自分に過度のプレッシャーをかけ始めると、健康を損ないます。
ご相談の中で、Bさんとはこんな会話をしました。
―もうその業務は、Bさんにとっては充分に慣れたもので、別に気合いを入れなくても時間内に終わりますよね?
「はい、大丈夫だと思います」
―では、もし仮に何か突発事態が起こって、時間内に終わらない日があったとしても、それはBさんの責任の範囲ではないので、できる範囲でリカバーを心がけたり、同僚に助けを求めたりして解決できますよね
「そうですね~、もし同僚にそんなことがあったら、助けますよね。でも、自分のこととなると、助けを求めちゃいけないような気がしていました」
弱みを見せちゃいけない、自力でちゃんとやらなくては。
そんな根っこのところが、見えてきたのです。
この後Bさんには、「仕事」で過剰にがんばらなくてもよいこと、突発事態が起きたら周囲に助けを求めてよいことを納得してもらいました。
そして実際に職場では、「70%程度の力」の入れ具合でも時間内に終わるかどうかを実験してもらいました。
にらんだ通り、Bさん、70%の力で、充分通常の業務をこなせていました。
30%の余力があるので、突発事態が起こったときにそれを使えばいいことも分かり、気持ちに余裕が生まれました。
「70%の力でも、普通に時間内にできます」と報告してくれたご相談時、Bさんからもうひとつご報告がありました。
「便が、毎日、気持ちよく出るようになりました」
と。
ちょっと長くなりましたが、まとめますね。
Bさんにやっていただいたのは、実は「境界線」の引き直しでした。
つまり、「自分の業務の範囲」を確定させて、どこまでが自分の責任なのか、どこから先は会社が対処すべき問題なのかを明確にしたのです。
毎日のルーティンワークは、Bさんの仕事で、時間内に終わらせるのはBさんの責任です。
が、突発事態が起こって、その対応に手を取られて終わらない……という場合、突発事態が起こったのはBさんの責任ではないので、その結果仕事が終わらなくても、Bさんは責められる筋ではありません。
突発事態が起こって、Bさんの仕事が終わらなくても、冷静に考えれば、周囲にBさんを責めたりしそうなひともいないし、逆にみんな助けてくれそうでした。
ここまでBさんと一緒に整理していくと、Bさんが感じていた漠然とした恐怖、「ちゃんとしなければ」が消え、不要な緊張感が抜けたんですね。
境界線を整理して不要な緊張感が抜けると、腸はリズミカルな動きを取り戻し、毎日気持ちよい排便ができるようになったのです。
「カウンセリング」の効果により、それまで服んでいた漢方薬の効果がより増した、典型的な例だと言えます。
人間、「気持ちの生きもの」です。
だから、自分の回復力、漢方薬の助けが充分に発揮できる「気持ち」を整えると、身体は治ります。
この「気持ち」を整えること、これは「心の養生」と言えますね。
最近、「気持ち」を整えるお手伝いをすること、これがとても面白くなってきました。

