以前ご紹介した以下のブログ記事で,「離婚後共同親権になるかどうかについては,両親の間の協力関係が構築できるかが大切であるが,その協力関係が構築できない原因を作っている親が離婚後単独親権を主張しているような場合には,信義則上,離婚後共同親権としなければならない」という判決が出るのではないか,というお話をいたしました。

 

 

 

 

 

 

 

全員に公開 親子ネット講演会「家裁実務は変わった?変わってない?」に参加させていただきました2 | 弁護士作花知志のブログ

 

 

 

 

 

 

 

実は,そのような解釈論の根拠となる文献がありますので,ご紹介いたします。家庭の法と裁判の58号(日本加除出版株式会社,2025年10月),東京改正家族法研究会「改正家族法の要点と解説Ⅰ」(同書4頁以下)の8頁に以下の解説がされています。離婚調停や離婚訴訟の証拠としてとても有効な内容だと思いますので,御覧いただければと思います。

 

 

 

 

 

 

「ここでいう父母間の協力関係とは,夫婦関係が破たんした父母に緊密な関係を望むものは多くの事案で困難であることを踏まえると,頻繁な連絡や友好関係まで求められるものではなく,親権の共同行使のために最低限必要な意思疎通ができる関係があれば足りると考えられ,事案によっては,第三者を介して意思疎通をする程度の関係性であっても,安定的なやり取りが可能な状況なのであれば,協力関係を否定すべきではない場合もあり得ると考えられる。また,父母が,当初は高葛藤であったとしても,調停手続等の過程を通じて感情的対立が解消・緩和された場合は,そのような関係性の変化も考慮する必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

父母が協力関係を構築できていない事案であっても,専ら単独親権を求める親が,単独親権となれば自らが親権者と定められるとの想定の下,他方の親に暴力等のおそれや協力関係を阻害する言動がないにもかかわらず,あえて協力関係の構築を阻害しているような場合(例えば,子と同居している親が、正当な理由なく別居親との連絡や協議を拒絶し,父母間の協力関係が構築できないとして単独親権を主張している場合),そのことのみをもって協力関係の構築が期待できないとするのは,子の利益の観点からみて慎重な検討を要すると考えられる(注2:このような場合には,父母間の協力義務(新民法817条の12第2項)に違反するものと評価され得る場合もあると考えられる。)。」