世代を超えて愛されている作品『ドラえもん』に,「あの日あの時あのダルマ」という作品があります。
のび太君が,なくし物をして困り果てます。その姿を見たドラえもんが「なくし物とりよせ機」をポケットから取り出して,助けたのです。
するとのび太君は,調子に乗って今までになくした物を次々と取り寄せるのです。するとその中に,古ぼけた小さなだるまがあったのです。
そのだるまを見て,のび太君は自分の幼いころを思い出します。のび太君が庭で転んで泣いていた時のことです。泣き止まないのび太君のところに,だるまが転がってきたのです。
そのだるまは,のび太君のおばあさんが投げたものでした。おばあさんは,人生の晩年を向かえて,病弱で寝こむことが多い日々でした。そんなおばあさんが,庭に下りてきて,泣いているのび太君のところに,だるまを投げたのでした。
涙目のまま「病気なんだから起きてきちゃだめ」というのび太君に対し、おばあさんは次のように言ったのです。
「だるまさんはえらいね。なんべん転んでも泣かないで起きるものね。
転んでも転んでも,一人でおっきできる強い子になってくれると,おばあちゃんはとっても安心なんだけどな。」
のび太君のおばあちゃんは,自分がこの世から離れた時のことを考えて,いつも泣いているのび太君を心配して,だるまさんと,その言葉を残そうとされたのでしょう。おばあさんは,それからしばらくして亡くなられたのです。
大きくなっても相変わらず泣き虫で,ドラえもんに頼ってばかりののび太君ですが,おばあさんの言葉を思い出す度に,少しずつ強くなっていっているのではないでしょうか。
皆さんも,お盆には自分に常に温かいまなざしを送ってくれていたおじいさん,おばあさんの思い出を振り返られたのではないでしょうか。そして,おじいさん,そしておばあさんが,自分がこの世を離れた後に残る幼い子にメッセージを残されたのは,のび太君だけではないと思います。
でも思うのです。亡くなられた方は,その方がこの世を離れた後で生きている私たちを陰で支えてくださっているのではないか,ということを。その意味で,私たち今を生きている者と,私たちのことを心配しながらこの世を離れた方々とは,心の中で寄り添っているような存在なのかもしれませんね。
お盆になつかしい古里に戻り,その古里の花火大会で,大きな花火をご覧になった方もいらっしゃると思います。
花火は,夏の夜空で七色に輝いています。その瞬きは,本当に夜空に花が咲いたようです。
お盆の花火は,喜びと悲しみに満ちた私たちの人生と,そんな人生を懸命に生きる私たちを,天国から,そして私たちの心の中で寄り添ってくださっている私たちのご先祖様の人生をも,照らしてくれているようです。