カミングアウトしてくれた所さんに、
ズシっと重量級のメールを投げた。
足が不自由・・・
どの程度なのか、とかは
もちろん気になったけど、
私が一番知りたいのは
彼自身が、それをどう捉えているかってこと。
引け目を感じてたり、
コンプレックスを強く抱えているのか・・・
それとも、
本人はそれほど気にしていない、とか
大変さはもちろんあるけど、乗り越えているのか。
そういうメンタルの部分が知りたかった。
その上で、
彼が、今後わたしとどんな関係を
結ぼうとしているのか。
返事が届いた。
「息継ぎ、大事ですね。
水泳にも息継ぎは必要です。
あなたと
本当に楽しいメールのやりとりを
している中で、
いつかカミングアウトしなければならないと
思っていました。
意味?
私にとっては何の意味もないこと。
笑い飛ばせるようなことですよ。
ただ、今までの私のつたない
恋愛経験の中。
この理由だけで
シャッターを閉められてしまうこともありました。
そんな経験を積む中で
自分としては、ひとに優しい気持ちを
持てるようにもなったと思っています。
2キロノンストップ水泳も
自分のささやかな矜持の表れです。
あなたとは、
実際にお会いし、
一緒においしいものを食べ、
おいしいお酒を飲み、
たわいもないジョークで笑ったりして
人生に彩を添えられればと思っています。
お会いする前にお伝えするのが
やはり礼儀かと思いました。」
じーん・・・とした。
所さんは、やっぱり所さんだ。
こんな時にも
軽やかな笑いと、
丁寧で大人なふるまい。
そして、
「シャッターが閉められてしまう」経験。
そういうことも
あったにちがいない。
だからこそ、
いつ、どう私に伝えようか・・・と
楽しければ楽しいほど
チクっと痛みを抱えていたんじゃないかな。
でも
「笑い飛ばせるようなこと」
と言う所さんに、
芯の強さを感じたし、
私とちゃんと実際に会おうと
思ってくれていること、
それがとっても嬉しかった。
「お返事ありがとうございます。
前回は息継ぎなしで
勢いこんだメッセージを打って
ゼーゼーしてしまいました。
そのくらい、
私にとって
所さんの存在は大事なんです。
足が不自由なこと、
それは所さんにとって
笑い飛ばせるようなことなんですね。
それなら、よかった。
安心しました。
シャッターが閉められるようなこと、
そんなことがおありだったんですね。
でも、私と会いたいと
おっしゃってくださって、とっても嬉しいです。
私も、所さんと
これまでと同じように
楽しいメールのやり取りを続けたいし、
お会いして
おしいものを食べたり、飲んだり
笑ったりしたいと思っています。」
所さんは、
私の返事にとっても喜んでくれた。
「かっぱさんの素晴らしい人間性に
触れられて、
本当に幸せな気分でいっぱいです。」と。
おおらかに構えている所さんだけど
それでも、
カミングアウトしたら
私がどう思うか・・・
そこには不安があったんだろう。
健康面で今まで困ったことのない
私には計り知れない
さまざまな経験と思いが
彼には、あったにちがいない。
そして、私たちは急速に近づいていった。
所さんは
「かっぱさんのことが四六時中
頭から離れません」
と熱烈なメールを毎日くれて、
実際に電話でもお話した。
初めて聞く所さんの声は
思ってたより、よく響く低音で
セクシーだった。
私は初めておしゃべりするのが
嬉しくて恥ずかしくて
深夜にスマホで話しながら
ベッドでゴロゴロと動き回らずにいられなかった。
そして、私たちは、とうとう、
初めて会う約束を取り付けた。
(つづく)