「こーゆーのは
じぃじ が じょうず なのよ」
塗り絵の冊子を手に
じぃじの書斎へ駆け込むAOさん。
それまでは家中走り回って
次々と物を引っ張り出しては
遊び回っていたのに、
ぜーんぜん帰ってこない。
時折、可愛らしい声で
お話する様子が聞こえてくる。
トイ・ストーリーの塗り絵に、
切り抜いて組み立てると
簡易ジオラマになる
おまけページがついていたの。
お正月に雑誌の付録の
組み立て式ドールハウスを
じぃじが作ってくれてからは、
細かい工作系のお願い事は
じぃじにするのよね。
あんまり戻ってこないから
ちょこっとのぞいてみたんだ。
書斎の机で、まじめに
ちょきちょきしている父。
AOさんは、そのチェアの
肘掛にもたれかかって
じーっと、じぃじの手元を
真剣な顔で見つめているの。
「はい、ポテトヘッドが
できましたよー」
一体切り抜かれるごとに
AOは、わぁい!と小躍り。
じぃじも、ちょっと嬉しそう。
私はその様子を
ドアの陰から盗み見ていて
なんだか泣きそうになった。
(ほんっと涙脆いわー)
なんてことはない
ワンシーンなんだけどね。
AOさんを授かってから、
毎日毎瞬が愛おしくて。
同時に、自分の身体に関しては
いつまで生きていられるか
分からないなーと
以前より強く思うようになった。
出産は、持病の潰瘍性大腸炎が
急激に悪化することがあれば
最悪の場合母体がもたない
というリスクもあったのよねー。
そもそも子宮内膜症の影響で
妊娠自体の可能性は
実はとても低かったんだって。
全てが奇跡の連続で
今日も過ごすことができた。
最近、持病が多いというのは
私にとって大きなギフトだなぁ
と感じることが多い。
エネルギーを過剰に燃やして
身体に無理をさせる生き方を
長いことしてきてしまって。
持病は、いわば、抑止力。
無理できなくなって、
ようやく力を抜かざるを得ず
本格的にポンコツな自分を
そのまま認めることができて。
優しくなったもんなー。
自分に。
そして、一瞬一瞬を
大切にできるように
なったと思う。
少なくとも以前に比べれば。
今は、今しかないから
やりたいことをやるんだって
七年くらい前から言ってるけど
国内外飛び回って
エネルギーを使い果たすような
やり方をしていたっけ。
それもすごく楽しくて
生きている感覚が
濃ゆかったなー。
AOさんを授かってからは、
今無いものを取りに行って
やりたいことを満たすのではなく
今目の前にあるものの中に
やりたいことを見い出して
満ち足りる感覚を味わうような
そんな風になった。
なんてことのない日々の中…
今日の、じぃじと孫が仲良く
過ごすシーンを見たときや、
嗅覚を頼りに選んだ桃が
すごく美味しかったとき、
寝ているAOさんの額の汗を
そっと拭っているとき、
KAZの喜びそうなテレビ番組の
録画予約をしたとき、
窓を開けて入ってきた風が
とても気持ちよかったとき…
うわー私、生きているわー
ってしみじみできちゃうんだ。
今の自分、心地いいなぁ。
なんか、もしかしたら、
こういう感覚がどっぷりと
心身に染み込んだ頃に、
持病もあるんだかないんだか
みたいな状態になるかもね。
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