世の中、アル中&予備軍だらけだな。と思う件。

「朝の向かい酒」と「1週間禁酒への不安」。街に溢れる「自覚なきアルコール依存症」のリアル

 

 

元・精神科病院のソーシャルワーカーとして、アルコール依存症病棟を担当していた頃の話を少しさせてください。

毎週のAA(アルコホリクス・アノニマス)や断酒会への同行、そしてアルコールによって命を落としていく患者さんたちを、

私は何人も間近で見届けてきました。

現場を離れたいま、街やネットを見渡してつくづく思うことがあります。

 

「世の中、アルコール依存症と、その予備軍だらけじゃないか」と。

そして恐ろしいことに、その大半が「自分は絶対に違う」と信じ切っています。

「アル中=公園で暴れている人」という大きな誤解

世間がイメージするアルコール依存症は、「昼間から公園で缶チューハイを飲んで暴れている人」や「仕事も家庭も完全に崩壊した人」かもしれません。

しかし、実際の現場を知る者から言わせれば、それは最終段階(底つき)に達したごく一部の姿に過ぎません。

普通に会社に通い、家族があり、社会的な役割を果たしながら重度の依存状態にある「隠れ依存症(ハイ・ファンクショニング・アルコホーリクス)」が、この社会には大量に潜んでいます。

 

 

一線を超えている「2つの赤信号」

「酒好き」と「依存症」の境界線について、私が「もう完全に一線を超えている」と断言できる分かりやすい基準が2つあります。

1. 前日のお酒が残っているのに、朝から「向かい酒」をする

2. 「1週間まったくお酒を飲まない生活」に強い不安や恐怖を感じる

 

 

この2つに心当たりがあるなら、医学的にはすでに危険信号(耐性・離脱症状・精神的依存)がくっきりと現れています。

朝の向かい酒は、酔いを楽しむためではなく、体からアルコールが抜けるときの不快感や不安(離脱症状)を打ち消すための「投薬」です。そして「1週間飲まない自信がない」のは、脳の報酬系がお酒に乗っ取られ、自分でコントロールできなくなっている証拠です。

「休日の贅沢だから」「まだ働けているから」と本人は防衛機制(強力な否認)を働かせますが、プロの目から見れば、その背中には「底つきへのカウントダウン」がはっきりと見えています。

 

 

依存症へのショートカット「ストロング系」の恐怖

ここ10年ほどで一気に広まった高アルコール(8〜9%)の缶チューハイ、いわゆる「ストロング系」。

ジュースのような飲みやすさと、200円足らずでテキーラ数杯分に相当する純アルコールを摂取できる手軽さは、いわば「合法的な薬物投薬システム」のようなものでした。これによって、依存症へ転がり落ちるスピードが劇的に早まった人を大勢見てきました。

近年ようやくメーカー側も撤退や自粛の動きを見せていますが、一度狂ってしまった「お酒に対するハードルの低さ」は、そう簡単には戻りません。

 

 

最後に:あなたの「大丈夫」は本当に大丈夫ですか?

アルコール依存症は、「意志が弱い人がなる病気」ではなく、「誰でも条件が揃えばハマる脳の病気」です。

「自分は酒豪なだけ」

「ストレス解消に飲んでいるだけ」

そうやって言い訳をしている間にも、病気は静かに進行していきます。

 

 

もしこの記事を読んで、胸がチクッとしたり、自分の飲酒習慣に一瞬でも不安を覚えたなら——まずは試しに「今日から1週間、1滴も飲まない生活」にチャレンジしてみてください。

そこで強い焦りや恐怖を感じたなら、それがあなたの脳からのSOSです。