狭い路地を向こう側から私と同じぐらいの背丈の
おじさんがやってくる。何か腹の立つことがあった
のか、そういう顔つきなのか、苦虫を食ったような
顔をしているので、チラッと目が合った時に
「怖そう」と思ってしまった。
そして、お互いにすれ違う時に、ちょうどバス停の
場所にさしかかったため、私たちが通る道筋が
さらに狭くなってしまった。
別にぶつかるほどではないが、二人とも体を少々
斜めにねじらないと通れない至近距離。すると、
すれ違う瞬間に、おじさんの口から聞こえたひと言。
「リンリン」

耳を疑った私は、おじさんのほうを振り返ったが、
先ほどと同じフツーの表情で、怖い顔をして遠ざかって
行く。だが、確かに彼はさりげなく、私に向かって
「リンリン」と言った!
もしかして、自転車のベルの音を真似した~っ(爆)?!
あの言葉がお笑い芸人のような面白そうな顔つきを
した人から出たのなら、私も驚かないが、あんなに
平然と、というより憮然とした表情で、「リンリン」と
言えるなど、かなりユーモアのセンスがある!
(少なくとも、私の目にはそう写った。)
再度、おじさんの後姿を見たが、やはり「リンリン」
言うタイプには見えない。
そんな後姿に、こちらはかなり笑わされてしまった。
一人なので大笑いは出来ないが、ニヤニヤ笑いを
してしまって、それが止まらない私。周囲には、私を
見て、さらに笑っていた誰かがいたかもしれない。
今も思い出し笑いをしてしまって、お腹の皮がよじれて
痛い。淡々とジョークを飛ばし、淡々と去っていく・・・
私もそういうユーモアセンスを体得したい。