http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20150518132101209
悪玉じゃなかった? エビ、卵、肉…「無罪」
厚労省「コレステロールと食事無関係」

▶︎ 血中コレステロール値を気にして食事を制限している人に朗報だ。
厚生労働省が今年改定した「食事摂取基準2015年版」で、食事制限との科学的相関関係が認められないことから高コレステロール食品の基準を削除。
日本動脈硬化学会も今月、これを容認した。
欧米の医療現場ではほとんど気にすることはないとされていたコレステロール値。
これで国際基準に一歩近づいたともいえそうだ。 (鈴木伸幸)
▶︎ コレステロールは、これまでの食事摂取基準では、18歳以上の男性で1日当たり750ミリグラム未満、女性は600ミリグラム未満としていた。
5年ごとに改定する「食事摂取基準」の報告書で、血中コレステロール値について「一定に保たれるようにフィードバック機構が働いている。摂取量がコレステロール値に反映されるわけではない」と説明。
コレステロール含有率が高い卵の摂取量と動脈硬化との関連が認められなかったとの調査結果から「十分な科学的根拠が得られなかった」と結論付けた。
日本動脈硬化学会も今月1日の声明で基準撤廃を容認し「動脈硬化を防ぐには、高コレステロールだけでなく、血圧や血糖値のコントロール、禁煙、運動など包括的な生活習慣の改善が大切」と指摘した。
米国でも同様の動きがある。
心臓病学会が2013年秋に、食事とコレステロール値の相関関係が証明できないことから、卵に加え、エビやロブスターなどの高コレステロール食品の摂取制限をしないと発表。農務省などの「食事ガイドライン」も今年、摂取制限を廃止する方針だ。
ところで気になるのは、日本では悪玉とされている「LDLコレステロール」と「中性脂肪」の「正常値」の国際格差だ。コレステロールは脂質の一種で、細胞膜や神経細胞、ホルモンなどの原料となる体にとって重要な物質。日本以外では悪玉とは表現されない。
数値は個人差が大きく、米国では異常とする診断基準を血液100cc当たり「190ミリグラム以上」、中性脂肪は「1000ミリグラム以上」としている。
これに対して、日本ではそれぞれ「120ミリグラム以上」「150ミリグラム以上」とはるかに低い。
▶︎ 以前は欧米でも日本と同様のガイドラインだった。
ところが「LDLや中性脂肪を下げても、病気の予防や治療に役立たない」とする研究結果が相次ぎ、基準は見直されてきた。
米国立衛生研究所(NIH)の委員会「コレステロール教育プログラム」は、04年からコレステロール値を下げる治療のガイドラインを出していない。「家族性高コレステロール血症」といった病的ケース以外では、人為的に下げる必要性がないとされているからだ。
▶︎ 米国では糖尿病や心筋梗塞の予防で一時、
高コレステロール食を避けていた時期があったが、心疾患は減らず糖尿病患者が激増。
NIHによると、炭水化物の摂取増が原因で、今では動物性タンパク質より穀物類が制限されている。
▶︎ 日本でも、LDLや中性脂肪の数値が高い方が長生きするという調査結果が明らかになっている。
脳卒中のリスクにしても「高脂血症の方が低い」というデータもある。
東海大医学部の大櫛陽一名誉教授は「一部の例外もあるが、総コレステロール値は高い方が死亡率は低く、がんや感染症にもかかりにくい。
健康で長生きするには、肉などをしっかり食べて、ご飯などの炭水化物を抑え、空腹時に運動をすることの方が効果がある。コレステロール値に過剰反応しないほうがいい」とアドバイスした。
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