「生きたい」
「もっと曼荼羅を描きたい」
「生きたい」
「生きます」
「来年、また展示をしたいから」
「生きる。」
泣きながら言うのを、ただ聞いていた。
その「来年」は無いということを知っていても
こう返すしかなかった。
「うん、描こう。」
「息を引き取りました」
そう連絡がきて。
京都から福岡へ
まだ温かい
眠っているような身体に触れて
悲しい、というよりも
少しの安堵で泣いた。
良かったと。
あなたはもう苦しまなくていいのだなと。
生きることは苦しく
生きていることは喜びで
死は救いで。
遺志を継ぐとか
そういうことではなく
ただ、そのひとが生きた証を見てほしいと
生きていた証に触れてほしいと
死を恐れないでほしいと
生きるということを恐れないでほしいと
わたしたちの「いと」に触れてほしいと思った。
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(写真撮影:町野健さん)

