サウスダコタ~パインリッヂ居留区オグララ・スーの聖地で過ごした魂の旅日記 PART 1
第十章 ここは火星!?~Sheep Mountain、Badlands~ 1部

サウスダコタ州といえば、バッドランズ国立公園が有名。しかし、国立公園になっていない範囲も含めてここはだいたいこんな景色の所ばかりだ。

 

ここが何より有名なのはケヴィン・コスナーの映画ダンス・ウィズ・ウルブスやアルマゲドンをはじめとするSF映画の撮影に使われたということと、ティラノザウルスレックスの化石がいくつも出ているという事だ。
 
ダンス・ウィズ・ウルヴスのどのシーンといわれてもうろ覚えの私が、アルマゲドンの彗星の撮影はバッドランズだと言われてさらに首を傾げた。彗星?車で向かう道すがら、彗星と言われても周りを見れば大平原・・・どこにそんな場所があるのか?と思った。というのもバッドランズがどんなところか全く知らなかったからだ。
 
ホワイト・サンダーが予定より大幅に遅れて甥っ子の家へと向かうのを見送りつつ、車は『シープマウンテン・テーブル』というバッドランズの南地区にあるその場所へと向かった。
もともと行く予定はなかったのだが、噂によるとダンス・ウィズ・ウルヴスの撮影はそこで行われたらしいということだ。ちなみに、そこはネイティヴ・アメリカン以外の人が立ち入ってはいけない場所なのだが、ホワイト・サンダーの計らいで行っていい事になった。これも不思議な事で、何度もここを訪れているTomoさんも全く知らない場所だったし、そんな場所がある事も知らなかった。

頑固な彼が、そんな大切な場所を教えてくれたのだから、不思議だ。

道中空を見上げると一匹のイーグルが旋回しているのが見えた。
「あ!!イーグル!!」
この季節は渡りに出てしまうため、ここで見られるのは稀とのこと。これはいいものを見た、幸先がいい!と喜んでいると、しばらくしてこんどはホークが車の前を横切った!
ホークの腹を間近で見るなんて動物園でもなかなかできないことで、ビックリしながら喜んだ。
これらはこの後にある出来事の吉兆でもあった。
 
 
さて、シープマウンテンだが、ひっそりと看板が一つ出ているだけで、道らしい道が無い。かろうじて轍が目印だ。
バッドランズは石灰と粘土質であるため、雨が降ればとたんにタイヤがスリップを起こして危険。国立公園の範囲はきちんと鋪装されているが、居留区内では鋪装されていることも稀。
 
がたがたと揺れながら進んでいくと・・・そこは確かに地球の情景とは思えない景色が広がった。
「なにこれ・・・火星?金星?」・・・いや、地球なのだが。

 

思わず目を疑ってしまった。よく見ればかろうじて植物が生えているところがあるが、正直どこかの惑星にきてしまったのではないかと思うほどの場所。
バッドランズ=悪い土地  
草木も生えないこの土地をネイティヴがそう呼んでいたのがよく分かる。さらに東から来た開拓者が西に行くための難関の一つだったということもあり、まさにバッドランズなわけだ。よくもまぁ車もない時代にこのような場所を通り抜けて西まで行ったものだと感心してしまった。
 
平べったい場所が広がったところで車を降りてみると、そこは地上数百メートルの絶壁。おそるおそる下をのぞいてみると、堆積した粘土質の岩が織り成す不思議な情景に見入っってしまった。自然の姿は本当に凄まじく逞しく、そして荘厳だ。
 
車のエンジンが止まるとヒュルヒュルと風が過ぎ去る以外の音はなかった。まるで時がとまってしまったのかと思うほど、静かで、そして雄大な情景が私を包む。
たとえ荒涼とした荒れ地であっても、そこに恐るべき母なる大地のパワーを感じずにはいられない。初めてセドナに立った時の衝撃をこえる壮大さ。天と地が目前にひたすら広がっていた。
 

 

この写真は帰国前に寄ったバッドランズ国立公園のものだが、どんな生物が生きていたのかが層になって分かるらしく、黄色い層は海藻の時代、赤い層はほ乳類時代、一番上の白い石灰層が現在だそうだ。ほかに化石の道とか展望台など見どころが多い。
 
国立公園だけで924平方キロメートル。約50万年かけて浸食によって出来上がった地形は大自然の芸術品。まだ緑が若干残る低い所ではコヨーテの巣やプレイリードッグの巣が見られるが、高いところではほとんど生物が生きるのは無理なのだそうだ。
猪の祖先や亀の祖先の化石も見つかっていて、だいたい3000万年くらい前の化石が多く見つかるらしい。

2部に続く