時々、
「なぜ自分だけがこんな目に・・・・・・」
と思うような出来事に遭遇することがありますね。
やることなすことうまくいかない。
こんな状態じゃ絶対にうまくいかない。
もう絶望だ・・・
なぜ「自分だけ」が・・・と「みんな」が(笑)思うわけです。
でも、本当にやれることはもう何もない状況、なんてめったにないんです。
悪い面ばかりにフォーカスをあて、自分を可哀想に思ってあきらめてしまったほうが楽だからそうしているだけ、ではないでしょうか?
■漕げば前に進む
いろんなところに顔だしていると、面白い人とも知り合います。
ちょうど一年前、沖縄のゲストハウスでたまたま出会った出堀良一さんもその一人。
出堀さんは、自転車で10年間(!)無帰国で旅をしていたという日本記録を持った方です。
先日仲間の集まりで、出堀さんを招待して旅の話をしてもらったんですが、心に刺さるエピソードの数々、もう最高に面白かったです。
10年間も一人で旅をしていると、そりゃあ命の危機も1回や2回じゃない。
強盗に襲われボコボコにされたあげく、自転車ごと全てを奪われたこともあったそうです。(その時は仲間の暖かい支援で旅を続けられる事に)
ある時、人里離れた極寒の地で寒さに震え、性も根も尽き果て、意識も朦朧としてきた時、奇跡的に通りかかった知り合いのネルソンという同じ自転車冒険家に発見され、励まされることで危機を乗り越えた、ということがあったそうです。
その時にネルソンが言った言葉。
「漕げば前に進むんだ」
この言葉はその後も出掘さんの心の支えになったそうです。
そう、目の前の一歩を踏み出すことはいつだって、誰だって、どんな状況だってできるんです。
それがどんな小さな一歩であっても。
それがはるか先のゴールに対して、小さすぎる一歩であっても、進まない限りは近づきませんが、進めば確実に近づきます。
前に進むことをやめるのは、自分がそう決めただけです。
■盲目の画家
私のデスクの前にエム ナマエさんという絵本作家のカレンダーがあります。
ご存知でしょうか?
残念ながら昨年(2019年)急逝してしまった、「盲目の画家」です。
画家であり、絵本作家でもあったナマエさんは、たくさんの絵本で子どもたちに愛を贈り続けました。
わかりますか?
「盲目」の画家です。
しかも、病気で視力を失う前は売れっ子のイラストレーターとして活躍していたそうです。
37歳で完全に視力を失った時、どんな心境だったでしょうか・・・
画家が視力を失う。
自分が生涯を捧げるつもりだった絵はもう描けない。
一度はナマエさんも自暴自棄になり、何度も自殺を試みたそうです。
でもある日、一人の看護師さんと出会います。
彼女はナマエさんが画家だったことを知ると、
「なぜ絵を描かないの?もう一度絵を描いてみたら?」
と言います。
当然、ナマエさんは烈火のごとく怒り
「ふざけるな!目が見えないのにどうやって描くんだ!」
と怒鳴ります。
でも彼女は毅然とした態度でこう言ったそうです。
「確かに目が見えていた頃と同じ様には描けないかもしれない。でもそれがどうしたんですか?筆を握る手があり、紙と絵の具があれば、描くことはできます。上手じゃなければ絵は描いちゃいけないんですか?」
その言葉にナマエさんは衝撃を受けます。
確かに、以前と同じようには描けないが、描きたいと思えばいくらでも描ける。描かないという選択をしていたのは自分自身だった、という事に気が付いたんです。
そこから、看護師さんとの二人三脚が始まります。
頭の中のイメージを手探りでキャンパスに描き出し、看護師さんが目の代わりとなり見えたことを伝えて絵の具を渡す。
そうして描かれた絵は、以前のような精密さは無くても、暖かさや愛情が溢れ、他の誰にも描けない、いや、目が見える人には描けない素敵な作品となります。
その後は海外でも個展を開くなど、再び第一線に復帰してその後も数々の名作絵本を残し、昨年旅立ったのです。
決して他人の作品を褒めたことがないある画家がナマエさんの作品を見て、「これは天使が描いた絵だ・・・」とつぶやいたそうです。
人間には描くことができない、そう思わなければ、この技術を超越した絵を説明することができない、という最大級の賛辞でしょう。
今、私がふと顔を上げれば見えるところに、ナマエさんの2020年のカレンダーがあります。
残念ながら追悼作品となってしまったものですが、困難に直面して動き出せなくなりそうな時、私はナマエさんの絵を見ます。
画家が視力を失う、そんな状況から立ち上がって絵本作家になった人がいる。
それに比べて自分はなんて恵まれているのか、五体満足で、たかが数回の失敗で諦めようとするなんて・・・まだまだやれることはたくさんあるのに、世界で一番不幸な人間みたいに思って甘ったれていただけじゃないか・・・
と、勇気をもらっています。
■逆境とは
思い通りにいかないことは人生にはたくさんあります。
時に世界は不公平で理不尽なものですから。
逆境とは、単に自分の覚悟を試すための出来事、だと私は思います。
そこで諦める程度のものであればそこまで。別のことをやれば良い。
それでもやっぱりやろうと思えるならやれば良い。
本当に覚悟が無いことをだらだらと続けることが無い様に、段階に応じて現れる出来事、と思っています。
そうすれば、諦めるもよし、続けるもよし、少し自然体で受け入れることができるようになりました。
ただ、感情的になって自暴自棄にならず、客観的に自分を見るためのモノサシは持っておくべきです。
それは、歴史上の人物でも身近な人でも誰でも良いですが、自分にはできない、と思うようなことをやってきた人に触れることです。
是非、自分にとって逆境のモノサシとなる人を心の中に持っておき、時々思い出せるようにしてみて下さい。
きっと辛い時に力になってくれますから。
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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