前回の記事 ちゃんと話を聞きなさい・2 でも書いたように、授業中はずっと空想して遊んでいた私ですが、小学生の頃の空想の内容は、自分が読んだ漫画や小説の世界でした。
中学生になると、冒険ファンタジーや恋愛など、自分でストーリーを考えて空想するようになりました。
私にとってそれは、自分の内面だけで繰り広げられている世界とはいえ、とても壮大なストーリーでした。
自閉症の勉強を始めたばかりの頃、とても不思議だったのは、自閉症の想像力障害についてです。
自閉症は脳の特性のため、新しいことや突然の変更、予想外の出来事に遭遇すると混乱しやすくなります。
また、おままごとなどのごっこ遊びでは、他人と空想を共有して遊ぶことに困難があると言われています。
これは自閉症特性の一つ、想像力障害によるものなのですが、私にはとても壮大な空想力があるのに、なぜ想像力障害でごっこ遊びに困難を持つのか、それがずっと分かりませんでした。
この空想力と想像力障害については専門家の間でも様々な見解があるようですが、ここでは私なりに感じていることを書いてみたいと思います。
ちなみにgoo辞書の検索では、空想は、現実にはありそうにもないことを頭の中で想像すること、とありました。
文章にする上での便宜上、自閉症特性を想像力、私の内面の世界を空想力と、言葉を分けて書きます。
自分の内面の空想の世界とは、自分の思い通りになる、自分が完全にコントロールできる世界だと思います。
そこに私以外の他人が登場したとしても、相手の心の動きやセリフ、行動は全て私の思い通りに動きます。
それにひきかえ、現実世界のごっこ遊びは、全てが私の思い通りに動くわけではありません。
お医者さんごっこや学校ごっこ、おままごとなど、ごっこ遊びに参加している人全てに空想の役割があり、相手の突然のセリフや、行動、予想外の出来事にも、自分の役割を考えながら柔軟に対処して、ストーリーを作っていかなければなりません。
ごっこ遊びは、自分が一人で人形を動かしながら空想にふけっている分には何の問題もありませんが、そこに他人が加わった瞬間に、他人とのスムーズなコミュニケーションのやり取りが求められるために、他人と空想を共有して遊ぶことに困難が出てくるのではないかと思います。
私の息子は、最近名探偵ホームズのアニメを見て、「名探偵ごっこがしたい」と言い出しました。
学校の休み時間に友達を誘ってやってみたようですが、家に帰ってくると「面白くなかった」と言っていました。
結局、友達が自分の空想通りに動いてはくれないので、自分の思うようなストーリーの展開ができず、面白くなかったのだと思います。
自閉症児のごっこ遊びは、「一人でパターン的な再現遊びを繰り返す」、「他人に自分のやり方を押しつける」、「他人から指示された通りに遊びに参加する」など、独特なやり方であることが多いと言われていますが、コミュニケーションにおいて、相手の気持ちや立場を推し量りながら柔軟に対応することに困難があるために、ごっこ遊びにおいても、どうしてもこのような独特な関わり方になってしまうのかもしれません。
自閉症を持つ人の中には演劇が得意な人も多いようですが、おそらく演劇では登場人物のセリフや心の動き、行動、人間関係の枠組みなどがあらかじめ決められているので、相手の行動やセリフに次々と柔軟に対応していくごっこ遊びよりも、取り組みやすいのかもしれないなと思います。
私自身も、小さい頃はキキララの人形を使って1人でよくごっこ遊びをしていましたが、誰かと一緒にごっこ遊びをした記憶は全くありません。
結局、友達同士のごっこ遊びでは自分の壮大な空想力はあまり役には立たず、自閉症の特性である柔軟なコミュニケーションの難しさが、ごっこ遊びのやり取りを困難なものにしているのかもしれないなと感じています。
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