小学校に入学した私がまず初めに困ったことといえば、人の話を長い時間聞き続けることができなかったことだと思います。
いえ、正確に言えば、私自身はこの件で困っているという自覚はありませんでした。
ただ、周りの大人が、話を聞かない私に困っていただけです。
自閉症は脳の情報処理の仕方に違いがあり、耳(聴覚)で聞いた情報を適切に処理することは苦手です。
例えていえば、カタコトの英語力で英語圏で暮らしているような状態でしょうか。
カタコトの英語力で相手の話を聞くことは大変なことです。
相手の話を理解するためには、かなり集中して話を聞かなければなりませんし、話の意味を取り違えてしまうこともあるかもしれません。
自閉症にとって、耳だけで聞いた情報は分かりにくいのですが、それは全く頭に入らないわけではなく、カタコトの英語情報のように頭に入ったり入らなかったり、また間違えて入っていたりしているようです。
(その代わり、目(視覚)で見た情報を処理する力は速いのだそうです。)
私は、学校の先生から、「ちゃんと話を聞きなさい」とよく怒られました。
私は、自分が興味のある話であれば、聞きたいという気持ちが強いために集中して話を聞くことができるのですが、大半の話は、聞くことに意味を感じられず聞こうとすらしていませんでした。
この聞くことが苦手だという特徴を「困ること」として自覚したのは、大人になってからです。
どんなに話を聞くことに集中しようと、自分の耳だけを頼りに一生懸命頑張っても、なかなか集中力は続きません。
油断するとすぐに集中が途切れて思考が飛んでしまい、人の話はまるでBGMのように流れ去ってしまいます。
そして、情報の入力を間違えて、話の意味を取り違えていることも度々あります。
そんな時、スライドやパワーポイント、レジュメなど、話の内容を目で助けてくれるものがあると、話の意味が分かりやすくなり、集中も保ちやすくなるので助かります。
私は最近では、メモを取りながら話を聞くこともあります。
メモを取っていると、話の内容を目で見ながら聞くことができるので、相手の話が頭に入りやすく、また、後でメモを見直した時に、ビデオを再生するように話を思い出すことができるのです。
視覚的な手助けは、まるで補聴器のように私の聞く力を手助けしてくれています。
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