米国とイスラエルが起こしたイランへの戦争によるホルムズ海峡危機、ロシアはエネルギーを契約を守って欧州へのエネルギー供給を止めたことがないのに勝手にロシアのエネルギーを欧州が自ら断ち切る、そして今年の欧州での強烈な熱波による「三重苦」で、ますます欧州では「脱炭素」とか二酸化炭素による地球温暖化神話に傾倒してしまって電気自動車が売り上げを伸ばしているようですが、今回、脱炭素、つまり脱化石エネルギーを進めることによって、事実上、中国が世界を制することになる ということを意味しているニュースをいくつかご紹介したいと思います。
まず、再生可能エネルギーの代表格である太陽光発電についてですが、これは すでに中国メーカーの太陽光パネルが世界シェアの80%以上を占めています。
そして、欧州では風力発電も多いのですけど、その風力発電でも中国が圧倒的に強く、世界シェアの80%以上を占めるようになっています。
一昔前は、「風力発電といえばデンマークやドイツ」というイメージでしたが、現在は中国が圧倒的な存在になっています。
なぜ太陽光発電だけじゃなく、風力発電でも中国企業がこんなに強くなってしまったかと言うと、まず中国国内で風力発電がどんどん増設されて、国内で技術を磨く→量産でコストを下げる ということが出来ていて、さらに鉄鋼、レアアース、発電機、電力制御装置、大型ベアリングなどの風力発電に必要な部品が全て中国国内で揃うので、欧州のメーカーよりも 何割か安い価格で納品できる為です。
そして、このように 太陽光発電、風力発電で作った電気を溜める蓄電池の分野でも 中国が強いです。
CATL(寧徳時代新能源科技)は世界最大の車載・定置用電池メーカーです。
CATL、BYD、Gotionはいずれも中国のメーカーですが、このうちBYDについては電気自動車(EV)のメーカー というイメージが強いと思います。
BYDはEVだけでなく蓄電池でも存在感を発揮しているメーカーということです。
そして、このように、太陽光や風力で発電した電気を中国製の蓄電池で溜め、EVに充電する というそのEVでも 欧州では 中国車に対しての補助金を下げる等して欧州メーカーと比べると差別的な扱いを受けているにもかかわらず、低価格の割に性能は良いというバランスで、中国製のEVがかなり売れています。
最後に、上の写真の記事のニュースをご紹介します。
(以下、上の記事の転載開始)
コラム:加速する中国車輸出、各国の対抗措置と全面衝突リスクも
[香港 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の自動車メーカーが、業界の混乱を加速させている。同国の月間自動車輸出台数は初めて7桁(100万台)の大台に乗り、衰える気配を見せていない。これは各国に保護主義の議論を再燃させることで中国勢の海外生産ペースが速まって世界的な競合他社の利益率を圧迫し、業界再編を促すことになる。その先に待っているのは新たな激しい通商摩擦だ。
中国のメーカーは6月に110万台の自動車を海外に出荷した。これは前年同月比で70%超の増加で、この勢いが維持されれば年間1000万台前後としていた当初の海外販売予測を、余裕を持って上回ってもおかしくない。
(上のグラフ:中国の月間自動車輸出は過去最高の100万台に達した)
こうした傾向を後押ししているのは、二つの推進力だ。中国国内の販売は不振で9カ月連続減少している。年初来の国内購入台数は2割ほど落ち込み、既に過剰な供給状態に拍車をかけている。一方、中国国外では買い手の意欲が旺盛だ。イランでの戦闘の影響で高騰した燃料価格が、手頃な電気自動車(EV)への関心を高めている。これにより、吉利汽車などのメーカーは、6月の海外輸出台数を2倍強に増やすことができた。
しかも、それは中国国内生産車に限った話ではない。コンサルティング会社アリックスパートナーズの調査では、中国の自動車メーカーが外国生産台数を、昨年の120万台から2030年までに340万台に引き上げる計画だ。先月の輸出を約90%増加させたBYD(比亜迪)は、ハンガリーの新工場が年内に稼働すると発表しており、既に欧州で2番目の拠点を模索している。
輸出と海外生産の加速は、業界の他社を圧倒するだろう。S&Pグローバル・モビリティーによれば、今年の自動車市場全体の世界的な成長率は約0.2%と、ほぼ横ばいになる見通し。つまり中国ブランドの拡大は、既存の国際的なメーカーからシェアを奪うことにかかっている。BYDの幹部、ステラ・リー氏は英紙フィナンシャル・タイムズに、同社は米国市場に参入しなくても、いずれトヨタ自動車を追い抜くと考えていると語った。
このような状況は、ホンダやベトナムのビンファストのような赤字の競合他社をさらに厳しい立場に追い込み、他のメーカーの利益も減少させるだろう。ビジブル・アルファのデータに基づくと、主要自動車メーカー12社の平均純利益率は、中国の輸出が勢いを増し始めた5年前の約6%から、昨年は1%にまで低下した。規模を回復し、地位を固めるために、提携やパートナーシップを検討せざるを得ない企業も出てくるかもしれない。
自国の自動車メーカーを守ろうとする各国・地域の政策担当者は、既に関税や貿易障壁を設けている。しかし6月の輸出データは、これらの措置が今のところ供給の波を止めるのにほとんど役に立っていないことを示しており、より強力な対抗手段が準備されているかもしれない。
例えば欧州連合(EU)は、バッテリー式電気自動車(BEV)には追加関税を課しているが、ハイブリッド車にはまだ適用していない。ドイツ紙ハンデルスブラットは関係者の話として、欧州当局がこの方針の再検討に入ったと報じた。
中国の自動車メーカーの輸出台数が100万台の大台を突破したのはEVの普及という意味で好ましいのかもしれない。だが、そうした事態は中国車の輸出攻勢が外国の対抗措置と全面的に衝突する軌道をたどるリスクをはらんでいる。
●背景となるニュース *14日公表された中国の税関統計によると、6月の自動車輸出台数は前年同月比72%増え、初めて100万台を超えた。
(記事転載終了)
中国国内では 乱立したEVメーカーによる過当競争や政府の補助金の終了、EVを買いたい個人ユーザーはほぼすでに買ってしまったことや、景気減速、若者の失業率の高さ等によって、中国EVメーカーにとっては 中国国内はもう「儲かる市場」ではなくなっている為、余計に輸出に力を入れているのです。
ですから、今はそれが欧州市場になだれ込んでいるのであって、日本では まだ日本メーカーのガソリン車が圧倒的に強いので、中国メーカーが存在感を発揮する状況にはなっていませんが、あのヤナセが新たにBYDを販売し始める とか、オートバックス・セブンがチェリー と提携して全国の販売・整備網を提供する というふうに、まずは販売網、整備のサービス網を全国で構築しようという動きに出ているのです。
つまり、中国メーカーは 法的に完全に締め出されている米国市場とは違って、日本の場合は 販売網や整備拠点さえ整えれば、そこそこは中国製EVも売れる余地がある市場だと見ている ということです。
このように、前米大統領のバイデンがやったウクライナを使ったロシアへの代理戦争、トランプがやった国際法違反のイラン攻撃によるホルムズ海峡危機は 短期的には米国のシェールオイルやシェールガスを世界に販売する機会を拡大した とは言えますが、長期的には 太陽光発電、風力発電、蓄電池、EV等の分野で、米国の経済的なライバルである、中国企業の存在感をより世界市場で持ち上げることになった ということでもあるのです。
さらに言えば、ウクライナ戦争でも注目を浴びていますが、ドローンでもロシア、ウクライナ軍の両方が使用しているMavic等のドローンを作っている中国企業「DJI(大疆創新科技有限公司)」が世界最大のドローンメーカーで圧倒的に強いです。
かつて日本がGDPの2位にいたとき、日米半導体摩擦等で、ライバルであり属国でもある日本を 経済的に叩き潰した米国ですから、中国に並々ならぬ対抗意識を持っているはずですが、今やっていることは むしろ経済的には真逆で、中国の存在感を高めることになっている という、なんと愚かなことでしょうか。
しかし、自分の任期中の短期的な利益しか見ていないであろうトランプには 5年先のことなど、どうでもいいことなのかもしれません。
その辺が 選挙で政権交代のある国とは違って、「中国製造2035」とか、2015年に2035年までの20年先の長期ビジョンでハイテク産業・製造業の長期発展を考え発表できる中国共産党の強みではないでしょうか。
日本の保守の人たちの中には 20年位前から、中国経済や中国共産党がもうすぐ崩壊するかのように言ってる人がいますが、そういう予想はまったく当たってはいないですね。
だから私はそういった煽りは 全く信じていません。
中国を侮ってはいけないと思います。中国をパクリしかできない国であるかのように馬鹿にしている人もいますが、特に理工系の分野での彼らの優秀さは認めざるを得ないと思います。









