2/28からのイスラエルとアメリカによるイランへの先制攻撃は 彼らの目標を何一つ達成できなかっただけではなく、むしろ戦争以前よりも イスラエルや湾岸諸国の米の同盟国の状況は悪化していると言ってよいでしょう

 

今回、2/28に米とイスラエルの攻撃によって殉教されたアヤトラ・ハメネイ師の息子で新しい指導者になったモジタバ・ハメネイ師が4/30に興味深い声明を発表されていますので、それをご紹介したいと思います。

 

イラン最高指導者モジタバ・ハメネイ声明

(上の写真:カタールのTV局アルジャジーラが発表したモジタバ・ハメネイ師の声明。元のビデオはこちら)

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彼ら(イランにとっての敵国のこと)にはこの地域に希望はない。彼らにはこの地域に富はない。
もし彼らに居場所があるとすれば、それはペルシャ湾の深海だろう。
 

イラン国民は十分に強いことを証明してきた。
そして今日、イラン国内外の9000万人のイラン国民は、あらゆる能力、あらゆる技術力、政治力、ミサイル力、そして核兵器力を駆使して祖国を守る。

 

モジタバ・ハメネイ師とイラン国旗


我々は今日、ホルムズ海峡を支配することによって、イラン・イスラム共和国という祖国を守る。

 

モジタバ・ハメネイ師声明、ホルムズ海峡の船


我々はこの地域の敵を打ち負かす。イランは今、すべての国に利益をもたらす新たな均衡を築き上げた。ペルシャ湾沿岸諸国は収益を得るだろう。

 

モジタバ・ハメネイ師とイラン国旗

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このように、新しい指導者であるモジタバ・ハメネイ師は 亡き父の「核兵器を持たない」というファトワ(イスラム教に基づく教義)とは全く違う、「技術力、政治力、ミサイル力、そして核兵器力を駆使して祖国を守る」という方針を初めて発表したわけです。

 

これは 米国やイスラエルが2/28にイランに先制攻撃を行って以降、軍事施設のみならず、石油施設や発電所、学校や病院などの民間インフラまで攻撃して イラン国民が「今の米国とイスラエルこそがイランにとっての国家存亡の危機」と思わせてしまったことが 完全に逆効果となった形だと言えるでしょう。

 

ですから、父アヤトラ・アリー・ハメネイ師が2008年に出したファトワの「イランは核兵器を持たない」というのを完全に放棄して、今は「イランは核兵器で国を守る権利がある」という風に変わったわけです。

 

そして、ホルムズ海峡も イスラエルとイスラエルを応援する西側諸国に対しての[「圧力」のツールとして使えるので その「管理」を手放す気はない ということです。

 

 

そもそも、米国とイスラエルが イランへの攻撃を始めた理由が 

 

①イランの核開発を止める→完全に失敗(逆に新指導者は核兵器保有を宣言)

②イスラエルに届くミサイルを全て破壊するか、廃棄させる→明らかに失敗(ミサイルの多くは地下に保管されているので無傷)

③ヒズボラ等の「抵抗の枢軸」への支援をやめさせる→イスラエルがレバノン南部の攻撃を止めない限り、ヒズボラも戦闘を続けるのでこれも失敗

 

という具合に当初あった3つの目標のうち、何一つ達成できていないばかりか、今回のモジタバ氏の声明で、「核保有」を匂わす声明までも出てきたわけですから、米国とイスラエルの攻撃は完全に失敗、逆効果 と言えるでしょう。

 

今回、この件について、軍事評論家のダニエル・デイビス氏の番組にゲスト出演されたシカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授の見解をまとめたAIイラストをご紹介します。ビデオの和訳は1時間以上も長さのあるビデオなので、私の時間の都合上割愛して、要旨をAIイラストでまとめたもののみをご紹介します。

 

ミアシャイマー教授:イラン戦争に敗北

(上の写真:向かって左が軍事評論家のアフガニスタン戦争の従軍経験のあるダニエル・デイビス氏、右がシカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授。 ビデオのタイトルは「ジョン・ミアシャイマー教授:我々はイラン戦争に負けた。我々は窮地に陥った)

 

アメリカのイラン戦略における敗北

 

イラン情勢図:震源地と広がる影響

 

歴史的教訓: 懲罰は降伏を意味しない

 

米国の対イラン封じ込めネットワーク崩壊

 

米軍基地のパラドックス、インフラ破壊

 

アジアからの逆ピボット、中東への戦略資源流出

 

欧米の亀裂とロシアの利益

 

イランの支配力:エスカレーションの梯子

 

イランの非対称兵器、経済封鎖による米国敗北

 

以上、パワーポイント風のAIイラストでまとめてみましたが、米国は当初の目標を達成できずに、湾岸諸国の米の同盟国へのイランの攻撃からも守ることができず、米軍の兵器の在庫が心配なレベルにまで減ってしまっている時点で、すでにこの戦争に負けている とミアシャイマー教授がはっきり言える状況です。

 

さらに、イランはこの戦争に「勝つ」必要は全くなく、戦争が長引けば長引くほど、欧州のNATO加盟国や日本、韓国も含めた米の同盟国が 経済的にも苦しむことになります。

 

世界一の石油輸出国である米国内ですら、ガソリン価格は国際価格に連動して動いていますので、庶民が買うガソリン価格は近年ありえないレベルにまで高騰してしまっており、トランプ政権に対する不満は高まっています。

 

そして、トランプへの支持率の低下によって今年11月に行われる中間選挙では 共和党が下院で過半数を割る可能性が高い と言われていますので、そうなればトランプとピート・ヘグセス国防長官の弾劾向けての動きもあるかもしれません。

そして もし弾劾ができなくても、イスラエルべったりのトランプ政権が議会では法案を通すことができず、ただ大統領令を連発するだけの状態の「レームダック」化する可能性があり、「攻撃に耐えて負けなければ、イランは政治的にも勝てる可能性が高い」ということになります。