イランでの戦争は 当初は4~5日程度で終わる と予想していたトランプ大統領の想定とは 大幅に違う方向へ行っていて、すでに1か月を過ぎて、終わるどころか、ますますエスカレートする気配しかありません。
ウクライナ戦争でもそうですが、日本を含めた大手メディア、欧米メディアの報道は 彼ら西側陣営の「希望」や希望的観測に基づいたものが多く、実際の戦況とはかけ離れています。
私はウクライナでの戦争は2022年秋位から すでに「ウクライナが負けている」と自分のブログで言い続けてきましたし、今でもその流れは変わりません。
そして、今回のイラン戦争でも 「米国は負けている」というのは どちらが「主導権」を握っているか ということで、「米国が主導権を握っているわけではない」 とすぐに分かるわけです。
しかし、日本のメディアも欧米のメディアも 最高指導者を殺して、革命防衛隊の幹部を何十人か殺して、イラン国内を何万か所も爆撃して民間人まで大量に殺しまくっているのを まるで米国が戦いの主導権を握って勝っている、とか、イランが追い詰められている という感じで偏向報道しているのです。
そして、米国内のニュースは ますますバイアスがかかっていて、米国が圧勝しているかのように報じているし(特に保守系メディアのFOXニュースはそう)、米の国会議員も 「もう少しでイランの体制を崩壊させることができるのだから、地上軍派遣でその最後の一押しをやって、イランを体制を崩壊させるべき」という論調で話しているのです。
彼らは幻想にでも浸っているのでしょう。
そのような幻想に浸っている米の国会議員のひとりが トランプにイラン攻撃を進言した と自ら発言しているテッド・クルーズ上院議員です。
本日はテッド・クルーズのFOXニュースでの驚くべき発言をご紹介します。
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(上の写真の向かって右:3/23にFOXニュースに出演したテッド・クルーズ上院議員)
<以下、テッド・クルーズの発言>
この軍事衝突の最初の3週間は、信じられないほどの成功を収めました。
3週間で、イランの防空システムをすべて破壊しました。
短距離および中距離弾道ミサイルをほぼすべて破壊しました。
ミサイル生産能力、ドローン生産能力、ドローン製造能力も破壊しました。
海軍に対する我々の成果を見てください。イラン国内および海軍に対して8,000回以上の攻撃を行い、120隻以上の艦船を撃沈しました。これは第二次世界大戦以来、最大の海軍敗北であり、撃沈された艦船数も最多です。
これらはすべて3週間での成果です。さらに、我々は政権の首脳部を排除しました。
アヤトラ(最高指導者)だけでなく、47年間イランを支配してきた暴君をはじめとする軍の最高指導者たちも排除しました。
結果は、単純明快であると私は信じています。
私たちは、イランに、アメリカに死をと叫ぶ暴徒を率いる狂信的なイスラム主義者によって運営されるような政府ではなく、もっとまともな政府が樹立されることを望んでいます。
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最後に彼が言っている「狂信的なイスラム主義者によって運営されるような政府ではなく、もっとまともな政府が樹立されることを望んでいます。」というこの体制転覆が そもそもイランに先制攻撃を行った理由だったわけですが、最高指導者が殺害されようが、革命防衛隊の幹部が何十人殺害されようが、体制はそのままで、次から次へと新しい人物が就任してその穴を埋めるような強固な政治組織、集団指導体制が作られているのがイランなのであって、その当初の目標のレジーム・チェンジに失敗した時点で もうこの軍事作戦は失敗だった と認めないといけなかったのです。
というか、その前に1月上旬にイランで大規模なデモが起きた時もレジーム・チェンジが目的だったわけですが、それも ネット回線を遮断され、衛星通信のスターリンクも切られた程度でデモ隊が組織できなくなって失敗していた時点で、イランでのレジーム・チェンジは困難だと悟っていなければなりませんでした。
そして、この最高指導者が殺されたことをきっかけにイラン国内で大規模なデモが起こり、政府打倒にまでつながる という甘い見通しをもとに米国とイスラエルはイランへの爆撃を続けたわけですが、これは 民衆をより結束させることにつながりました。
今までイランの政権、宗教支配体制に対しては比較的反対やネガティブな意見を持っていた首都テヘランの若者層まで 逆に国家の下に結束、団結することにつながったのです。
そして、今米国が真剣に考えているのが 地上軍の派遣です。
この地上軍派遣には2つの選択肢があると報道されているんですが、その2つとも、あまりにも壊滅的で、こんな作戦に参加したい兵士など、いないのではないか?というほど、ずさんなものなのです。
その1つは 以前の過去記事でご紹介したイランの石油の90%がそこから出荷されている というカーグ島への上陸作戦です。
この作戦がどんなに無謀なものなのか、詳しくは下の記事をご覧ください。
そして、もう1つは さらに絶望的な、イランの核施設から濃縮ウランを奪い取る という作戦です。
もし大真面目にこんなことを考えているのだったら、本当に頭がおかしいと思いますが、いずれも米のメディアが報じているものですので、今回記事をご紹介したいと思います。
↓(日本語に変換したもの)
U.S. weighs sending special forces to seize Iran's nuclear stockpile
(和訳開始)
協議内容を知る4人の情報筋によると、米国とイスラエルは、戦争の後半段階でイランに特殊部隊を派遣し、同国の高濃縮ウラン備蓄を確保することについて協議した。
なぜこれが重要なのか:イランが核兵器を保有することを阻止することは、トランプ大統領が掲げる戦争目標の一つである。イラン政権が保有する450キログラムの60%濃縮ウラン(数週間以内に兵器級に転換可能)は、その目標達成の鍵となる。
全体像としては、この物資を押収する作戦には、おそらく米軍またはイスラエル軍がイラン領内に展開し、戦争の最中に厳重に要塞化された地下施設を攻略する必要があるだろう。
それがアメリカ主導の作戦になるのか、イスラエル主導の作戦になるのか、あるいは両国による共同作戦になるのかは、依然として不明である。
それは、両国がイラン軍がもはや関係部隊に対して深刻な脅威を与えることができないと確信した後にのみ行われる可能性が高い。
舞台裏:火曜日の議会ブリーフィングで、マルコ・ルビオ国務長官は、イランの濃縮ウランが安全に保管されるのかと問われた。「誰かが取りに行かなければならないだろう」と彼は述べたが、誰が取りに行くのかは明言しなかった。
イスラエルの国防当局者によると、トランプ大統領とそのチームは、特定の任務のために特殊作戦部隊をイランに派遣することを真剣に検討しているという。
米当局者によると、政権は2つの選択肢を検討している。1つはイランから核物質を完全に撤去すること、もう1つは核専門家を現地に派遣して希釈することだ。
この任務には、科学者たちに加えて、国際原子力機関(IAEA)の職員を含む特殊部隊員が参加する可能性が高い。
行間を読むと、この問題に詳しい2人の情報筋によると、こうした作戦は開戦前にトランプ氏に提示された選択肢の一つだったという。
NBCニュースは金曜日、トランプ大統領が特定の戦略的目的のために少数の米軍部隊をイランに派遣する構想について話し合ったと報じた。
セマフォー紙は、トランプ大統領のイラン対策には、核施設への特殊作戦による襲撃が含まれると報じた。
米当局者は、イランのウランを確保する上での作戦上の課題を次のように説明した。「第一に、ウランはどこにあるのか?第二に、どうやってウランにたどり着き、物理的に支配下に置くのか?」
「そして、それを物理的に輸送するか、施設内で希釈するかは、大統領と国防省、CIAの決定となるだろう。」
彼らの発言:トランプ大統領は土曜日、エアフォースワン機内で記者団に対し、地上部隊の派遣はあり得るが、「非常に正当な理由がある場合に限る」と述べた。
「もし我々がそんなことをすれば、(イラン軍は)壊滅的な打撃を受け、地上戦すらできなくなるだろう」と彼は述べた。
核物質を確保するために軍隊が介入する可能性について具体的に問われたトランプ大統領は、それを否定しなかった。「いずれそうするかもしれない。これまではそうしてこなかった。今はそうしない。将来はそうするかもしれない。」
ホワイトハウスの報道官カロライン・リービット氏は、ニュースサイト「アクシオス」に対し、トランプ大統領は「賢明にもあらゆる選択肢を残しており、可能性を排除していない」と語った。
興味深い点:政権当局者がアクシオスに語ったところによると、ウラン以外にも、イランの原油輸出の約90%を担う戦略的ターミナルであるカーグ島を占領することも議論されているという。
詳細:昨年6月に行われた米イスラエルによるイランの核施設への攻撃により、イランのウラン貯蔵庫は瓦礫の下に埋もれた。米イスラエル当局者によると、イラン側はそれ以来、ウランに手が届いていないという。
今回の攻撃でイランの遠心分離機はほぼ全て破壊され、ウラン濃縮が再開されたという証拠はない。
米国とイスラエルの当局者によると、備蓄の大部分はイスファハンの核施設の地下トンネルに保管されており、残りはフォルドゥとナタンズに分散して保管されているという。
開戦当初、米国とイスラエルはナタンズとイスファハンに対して攻撃を行ったが、これは物資の移動を阻止するため、おそらくは入り口を封鎖することを目的としていたと思われる。
より広い視点で見ると、米国とイスラエルは、イランが保有する450キログラムの60%濃縮ウランを深刻な脅威とみなしている。なぜなら、これを兵器級に濃縮するにはわずか数週間しかかからないからだ。
備蓄されている核物質全体の純度が90%に達した場合、それは核爆弾11発分の原料となる。
結論として、「トランプ氏が現地に赴くことと、それがメディアにとって意味することは同じではない」と、ある米政府高官は述べた。
「小規模な特殊作戦による襲撃で、大規模な部隊は投入されない」と別の情報筋は付け加えた。
「議論されている内容は、地上部隊の派遣という観点からは考えられていない」と、別の情報筋は述べた。「人々はファルージャを思い浮かべるが、議論されているのはそういうことではない」。
(和訳終了)
そもそも、イランの核施設3か所には 米国は2025年9月に数発のバンカーバスター(地中貫通爆弾)やトマホークミサイルを使って攻撃し、「核施設を完全に無力化した。」とその時点では言っていたわけですが、未だに60%に濃縮したウランが存在する ということを認めている時点で、「バンカーバスターでもイランの地下核施設の破壊には効果がなかった」と言っているのと同じなのです。
そして、イランは2025年9月の攻撃の直前には すでに濃縮ウランを持ち去って別のところに移してもいました。
ですから、その後でバンカーバスターをいくら使っても、出入口の近くを閉鎖する程度の効果しかなかったと思われます。
このバンカーバスターも「地下60メートルまで破壊する」と言われていますが、それは 綺麗に直角に当たった場合の最高の条件の時だけなのであって、実際は核施設は山地や丘にあったりするわけですから、当たったところが山の斜面で角度が斜めに当たってしまったら、地下60メートルなんて到底無理で、もっと浅いところまでしか届かない=イランの核施設が地下深いところだったら破壊はそもそも無理 ということになります。
そして、上の記事で大真面目にイスラエルと米国が検討した という「特殊部隊員によるイランの核施設からの450kgの濃縮ウランの持ち出し」というのは 成功確率は限りなくゼロに近いでしょう。
そもそも敵陣営の中に入っていく特殊部隊員ですから、「重装備」はできないわけですが、放射線防護服も必要になるし、鉛の遮蔽容器も必要でしかも、450kgもの重量をどうやって、何人がかりで運ぶのでしょうか?
敵陣営の地下奥深くの核施設に重機を持ち込めるのでしょうか?
本当に謎だらけの「作戦」ですが、「イランの核開発を止めろ」「ミサイルを全て破壊しろ」と、大声でワーワーわめいているイスラエルの為に、トランプは真剣に 核施設への特殊部隊員潜入作戦、あるいは カーグ島上陸作戦を検討しているのです。



