昨日3/28になって大きなニュースが入ってきましたが、ついにイエメンのフーシ派(アンサール・アッラー)がイラン側で参戦してきました。

イスラエルに対してミサイルを発射した とアナウンスしています。

 

イエメンのフーシ派、イスラエル攻撃を表明

フーシ派がイスラエル攻撃、イエメンの親イラン武装組織 緊張高まる恐れ

 

(以下、上の写真の記事の転載開始)

 

[28日 ロイター] - イ​エメンの親イラン武装組織フー‌シ派は28日、イスラエルを攻撃したことを認めた。イスラエルはこれに先立ち、​イエメンからミサイルが発射​されたのを探知したと発表して⁠いた。2月末に米国とイスラエルがイラ​ンを攻撃して以降、フーシ派がイス​ラエルを攻撃するのは初めて。イエメン国外を攻撃する能力を持つフーシ派の参​戦が明確となり、地域の緊張が​一段と高まる恐れがある。
フーシ派は、イラン、‌レ⁠バノン、イラク、パレスチナ自治区のインフラに対する攻撃が続いていることへの対抗措置として、ミ​サイルに​よる攻撃⁠を実施したと説明。すべての戦線における「侵略」が​終わるまで作戦を継続する​と表⁠明した。
フーシ派はアラビア半島周辺や紅海の海上輸送を妨害する能力を⁠持つ。​イランに対する攻撃​がエスカレーションすれば、直接的な軍事介​入を行う用意があると27日に表明していた。

 

(記事転載終了)

 

 

米・イスラエルによるイランへの攻撃が長引けば、フーシ派の参戦は絶対にあるだろうと予想されていましたが、案の定、その通りになりました。

現段階では フーシ派がバブ・エル・マンデブ海峡を通る船を攻撃しているとか、事実上封鎖している という情報はなく、フーシ派も「紅海を通る船舶は攻撃対象外」と今は言っていますが、もしもバブ・エル・マンデブ海峡まで事実上通れなくなれば、中東からのエネルギーの輸出はさらに壊滅的になります。

 

イエメンのフーシ派がコントロールする能力を持っているバブ・エル・マンデブ海峡の位置が分からない方は 下の写真でご確認下さい。紅海の入り口にあり、対岸には自衛隊の基地もあるアフリカのジプチがあります。

エジプトのスエズ運河を通る船はこの海峡を通過することになり、特に欧州と中東、アジアを結ぶ航路として重要です。

 

バブ・エル・マンデブ海峡の地図

 

下はイランが今管理しているホルムズ海峡、ペルシャ湾との位置関係が分かりやすい地図です。

 

イエメンの地図:紅海、ジブチ、サウジアラビア

 

湾岸諸国のエネルギー輸出国は 戦争前、アジア向けには ホルムズ海峡を経由してペルシャ湾のほうからエネルギーを輸出し、

EU向けには バブ・エル・マンデブ海峡から紅海、スエズ運河から欧州 というルートを通常通ったりもしていましたが、ガザでのパレスチナ人虐殺に抗議してフーシ派が船舶を攻撃し始めたので バブ・エル・マンデブ海峡が 中国船とか一部のイランの友好国以外は使えなくなってしまって欧州行きの貨物はアフリカの喜望峰を回る という超遠回りのルートで輸送コストが爆上がりしてしまった ということがありました。

 

この時、日本の船もフーシ派に拿捕されていて、2023年11月、日本郵船が運航する貨物船「ギャラクシー・リーダー」がイエメンの反政府武装組織フーシ派によって紅海で拿捕されています。(それは船の持ち主の一部がイスラエル国籍の実業家だったので狙われたというのもあったようです。)

 

NYK LINEの自動車運搬船と多数の車両

(上の写真:イエメンのフーシ派に拿捕された日本郵船の「ギャラクシー・リーダー」)

 

そして、この時も 米とイスラエルが連日イエメンを激しく空爆していましたが、現在のイランへの攻撃と同じで いくら空から空爆しても、イエメンの民間人や民間のインフラに多大な犠牲者を出しただけで、フーシ派(アンサール・アッラー)の壊滅には至りませんでした。

 

ペルシャ湾からのエネルギー輸入が 多くの国にとって絶望的な状況になっている状況では この紅海側からのルートの重要性というのがより高まっていて、日本も ペルシャ湾を通らない紅海側から輸出されたサウジアラビアの原油を初めて受け取った とのニュースがありました。

 

日本初!中東原油、新ルートで到着

 

(以下、上の写真の記事の転載開始)

 

アメリカとイスラエルによるイランへの軍事作戦が始まって以降、初めて、中東産の原油が日本に到着しました。事実上の封鎖が続くホルムズ海峡を通らず、別のルートで運ばれたもので、愛媛県今治市にある太陽石油の製油所の沖合に28日、タンカーが到着しました。

 太陽石油によりますと、到着したタンカーには、サウジアラビア産の原油10万2000キロリットルが積まれています。

 今回の原油は、パイプラインで紅海に面するサウジアラビア西部のヤンブー港へ運ばれ、今月1日にタンカーで出航しました。その後、マレーシアで別のタンカーに積み替えられ、日本へ運ばれました。
 
 中東からホルムズ海峡を通って日本に運ぶ場合と比べ、海上輸送の期間だけでも4日程度長くかかったということです。

 29日に荷揚げ作業が行われ、その後、こちらの製油所で精製され、ガソリンや軽油、灯油などの石油製品として出荷される予定です。

 アメリカとイスラエルによるイランへの軍事作戦が始まって以降に中東産の原油が現地を出航し、日本に届くのは初めてです。

 

(記事転載終了)

 

 

上の記事の中にありますが、サウジアラビアは ペルシャ湾から紅海側へと石油を輸送するパイプラインを持っていて、紅海側のヤンブー港からも原油を出荷できるのです。そしてペルシャ湾が麻痺状態になっている今、その東西パイプラインがフル稼働状態になっていて、サウジアラビアは イラン戦争前の4割くらいまでですが、原油を輸出することができるようになっています。

 

サウジアラビア・UAEのパイプライン地図

(上の地図のペルシャ湾と紅海を結ぶ長い緑の線がサウジアラビアが持っている東西パイプラインで、その南東にある短い緑の線がUAEが持っているホルムズ海峡の外側のフジャイラ港へとつながるパイプライン)

 

上の地図がぼやけていて分かりにくいですが、ペルシャ湾側から原油の輸出が難しくなったサウジアラビアとUAEは パイプラインでの輸送を活用して、サウジアラビアは紅海側のヤンブー港から、UAEはホルムズ海峡までは入らなくて済む、その外側のフジャイラ港から原油を輸出している ということです。

 

しかし、問題はパイプラインの輸送能力であって、上のニュースの 日本がヤンブー港からの石油を初めて受け取った というのは前向きなニュースに見えますが、今回受け取った量10万2000キロリットルというのは 日本の石油消費量から見れば、たったの5時間分にも満たない、微々たるものです。↓はAIのGrokの回答です。

 

日本の原油消費量 50万kl/日

 

そして、この東西パイプラインの輸送能力自体が  7百万バレル/日程度なので、日本の1日の消費量の2倍ちょっとしかない ということです。

ですから、もしも日本や韓国や、その他アジア諸国がこのルートからの原油輸出を望んでも 明らかに容量不足になります。

 

パイプライン輸送能力と現状(2026年3月)

 

アジア原油顧客への影響と日本の現実

 

サウジアラビアは 油田があるのは 東側のペルシャ湾近くで、西側の紅海近くには そもそも油田がない、石油が取れないので、紅海側から原油を出荷する というのはパイプラインによる陸上輸送しかないのです。

 

そして、その東西パイプラインも フーシ派の参戦によって ドローンやミサイル攻撃を受けるリスクが高まります。

 

実際に2022年までイエメンのフーシ派とサウジ+UAEが戦争していたときは サウジのこの東西パイプラインへのドローン攻撃があったのです。そして、サウジはだんだんパトリオットミサイル等の防空ミサイルの供給も追いつかなくなり、サウジアラビアのほうからイエメンのフーシ派に停戦を持ちかけ、2022年4月に停戦協定が結ばれたのです。(事実上、フーシ派の勝利)

 

サウジ、迎撃ミサイル不足か 記事見出し

 ↓(日本語に変換したもの)

 

サウジアラビア、迎撃ミサイル枯渇の可能性

(上の記事:サウジとフーシ派がまだ戦争中だった2022年1月9日の記事で、フーシ派の攻撃でサウジの迎撃ミサイルが枯渇しそう ということを報じているカタールのメディア、アルジャジーラ)

 

下はwikipedia英語版の記事を日本語に変換したもので、サウジの東西パイプラインを2019年、フーシ派が攻撃したことが書かれています。

 

2019年アフィフ攻撃 フーシ派ドローン攻撃

 

 

つまり、今回のフーシ派参戦 というのは 単に紅海側のバブ・エル・マンデブ海峡まで船舶への攻撃で事実上通れなくなる というリスクが出てきた というだけでなく、今現在サウジアラビアの原油輸出の生命線となっている東西パイプラインもフーシ派のミサイルやドローンに攻撃されるリスクが出てきて、湾岸諸国からのエネルギー輸出全般に大きな打撃を与える可能性がある ということです。

 

そうなると、原油が今現在の水準の「1バレル100ドル」どころか、1バレル200ドル というところまで最高では行く可能性があります。

 

日本経済への影響はもちろん、壊滅的ですが、昨日のブログでご紹介した通り、おバカな日本政府は 隣国のロシアから直接原油を買わずに、インド経由で、インドの手数料が上乗せされた形でロシアの原油を手に入れようとしているのです。

 

京浜工業地帯の石油精製工場と男性