今日この記事の下書きを書いているのが2025.1.20なのですけど、いよいよトランプ大統領の就任式の日となりました。
日本からは就任式に岩屋外務大臣が出席されるそうですが、今日は新トランプ政権がどのような政権になりそうか、日本、EUやロシア、中国、その他の国々との関係はどうなりそうか等について書きたいと思います。
普段大手メディアの地上波TVはほとんど見ず、暇な時はニュース記事やYoutubeで、海外の政治情勢を中心に追っている「国際政治オタク」としての私の個人的な意見です。
1.日本との関係
これはトランプ氏が石破氏に会うのを「まだ就任前だから」という理由で拒否した時期に、その他の首脳(アルゼンチンのミレイ大統領やイタリアのメローニ首相等)にはマール・ア・ラゴであっていたことを考えれば、ゴルフ外交で親密な関係を築いた故安倍晋三首相と比べると、トランプ氏が石破氏のことを良く思ってはいない というのは明らかではないでしょうか。
石破氏に好感を持っていない理由は 石破がアメリカ寄りではなく、中国寄りだからだと思います。
まあ、別にアメリカにだけすり寄る必要もないですが、かといって中国にすり寄るのも すでに中国企業による日本の土地の買い占め、移民問題等、色々な意味ですでに「静かなる侵略」を受けている日本にとっては害しかありません。
2.EUや欧州のNATO諸国との関係
これは 確実に悪くなると思います。特にトランプ氏の側近になったイーロン・マスク氏がイギリスのキア・スターマーを強く非難しているので、イギリスとの関係は過去最悪レベルになるかもしれません。その他のNATO諸国についてはトランプ氏は以前からNATO加盟国に対して、GDPの5%の防衛費を要求していました。しかし、これを達成している国はNATO諸国の中にはなく(米国ですら3.5%程度)、ポーランド、エストニア、イギリスはGDPの2%の防衛費を使っていますが多くの国は2%を目指して防衛費を増やしている途中という感じです。
トランプ氏はあくまで「米国第一主義」あるいは「米国の儲け第一主義」で、「欧州がどうなろうと、知ったことではない」というのが基本路線の方なので、「グリーンランドをデンマークから買い取る。その目的の為なら武力の行使も考えるかもしれない。」とか、欧州のほとんどの国が反対するようなことも言っています。
3.ロシアとの関係
トランプ氏は本当は2016年の第一次政権の時も ロシアとは友好関係を築きたかったのでマイケル・フリン氏のように「ロシア通」と呼ばれる方を補佐官に起用していましたが、ネオコンの策略で「ロシア疑惑」をでっちあげられてロシアとは敵対せざるを得なくなった といういきさつがあります。
トランプ氏は 最大のライバルをロシアではなく、購買力平価で見たGDPではすでに米国を追い越した中国だとみなしているので、ロシアと中国の2か国を同時に相手するほどの軍事的、経済的余裕が米国にない以上、どちらかとは関係を修復せざるを得ないので、その関係修復へと持って行きたい国がロシアになると思います。
しかし、ネオコンは資源欲しさに、中国よりも 石油やガスが豊富なロシアをより敵視しているので、結局トランプとネオコンとのせめぎあいになるでしょう。前回大統領になった時は「ロシアゲート」を持ち上げたことにより、「ネオコンがトランプに勝った」と言えますが、今回はどうなるか、ウクライナ戦争での結果によってもロシアへの対応も大幅に違ってくると思うので、この点は要注目です。NATOの東方拡大によって生じた安全保障上の危機について「ロシア人の気持ちは分かる」というような発言もトランプ氏はされていましたので、私個人的には米露の関係改善を期待したいところです。
4.中国との関係
トランプ氏が最近発表した「パナマ運河を米国の管理下に再び置く。その為には武力行使も辞さないかもしれない。」という発言は明らかに中国への対抗を意識した発言です。中国はパナマ運河に多額の投資を行っていて、パナマは中国とのさらなる協力関係の強化の為に、台湾とは2017年に外交関係断絶をしています。
そして、グリーンランドについては 北極海の50%を支配していて60隻の砕氷船を持っているロシアへの対抗というのがもちろん大きいのですが、北極海とは何も関係がないはずの中国がちゃっかりロシアとの友好関係というのを利用して少なくとも4隻の砕氷船を運用しています。それに対して、米国は保有する砕氷船はたった2隻でそのうち1隻が壊れている(トランプ氏の話)ということで、今のままでは「北極海航路」はロシア、中国の支配する航路になってしまうことを懸念しているはずです。
そして、グリーンランドの氷の下にはリチウム等のレアメタルが豊富にあると言われていますが、このレアメタルの採掘に中国企業が関わるという話もあって、米とデンマークが採掘権を中国企業に渡さないように要望している というのもあります。
下は上記の記事の一部抜粋です。
ですから、トランプ氏は中国を かつてのバブル期の日本のように「経済的に潰さなければならない最大のライバル」だと見ている可能性が高いのですが、核保有国の中国に対して直接戦争をするつもりはないはずです。
就任前に習近平氏に電話して会談を行っているくらいですから、中国との間で「経済戦争」は起こっても実際の戦争は起こらないだろうと私は見ています。
6.中東問題はどうなるか
これは何度か過去記事で書いてきましたが、トランプ氏は強烈なシオニスト支持者であって、歴代の大統領ですら二の足を踏んでいた「テルアビブからエルサレムへの米国大使館の移転」やイスラエルが不法に占領している「ゴラン高原をイスラエルの領土と認める」というような発言を行ってきました。ですから、イスラエルが目の敵にしているイランへの先制攻撃を認める可能性が出てくるのではないかと懸念されます。イスラエルはもちろん、米の協力なしにイランを攻撃することなどできませんので、もしイスラエルがイランを攻撃するとなれば、軍事支援を米国が行う形になるでしょう。
パレスチナ問題に関してもトランプ氏と彼が選んだ閣僚たち全員は かなりシオニスト寄りです。ガザでの停戦はトランプ氏の功績ではありますが、それがいつまで続くか分かりませんし、そしてヨルダン川西岸地区でのシオニストの暴力での入植活動は続くでしょうから、民族浄化を受け続けているパレスチナ人の方々の苦悩は 残念ながら続くと思います。ユダヤマネーを恐れずに国際社会全体がイスラエルへの抗議と制裁することが必要と私は思います。
7. ウクライナ戦争をどう「停戦」あるいは「終戦」させるのか
前政権のバイデンがとんでもない「負の置き土産」を置いて去って行ったので、これはトランプ氏にとって最大の難関になるでしょう。トランプ氏は選挙期間中は「24時間以内に」停戦させる と言っていましたが、その後、現実的な話で「6か月以内」というふうに変えていて、これに対し、ロシア政府は「妥当だ」と言っています。
つまり、戦場での状況を見れば、ウクライナ軍は もう部分的にはすでに崩壊していて、その崩壊が今後進むことはあっても、改善することは考えにくい為、トランプ氏の言う、「あと6か月」ほどでウクライナ軍全体が崩壊する という可能性も高くなっているのです。ウクライナ軍全体が崩壊する となれば、停戦させるのは 今よりもずっと簡単になります。
そしてウクライナ軍は6ヶ月後には全体が崩壊してしまっているので、「時間稼ぎ」の為にいったんは停戦したいと思っていても、ロシアはそれに応じるメリットがないのです。過去に2度のミンスク協定や2022年3月末の合意間近までいった和平交渉を裏切られたという、3度の裏切りの経緯もあって、「もう決して騙されない」というのがロシア側の立場です。
トランプ氏の側近(ウクライナ・ロシア問題担当特使となったキース・ケロッグ氏)が提案している「朝鮮戦争方式で現在のラインで停戦してそこに欧州の軍隊が配備される」という話も ロシアにとっては ウクライナと一緒になってさんざんロシアを攻撃してきたイギリスやフランス、ポーランド等の軍が配備される等、絶対に受け入れられない条件であることは明らかです。
そうなると、停戦の為には 最終的にはロシアの提示する条件を ほぼ飲むしかなくなる ということです。ロシアの提示する条件というのは 昨年6月にプーチン大統領が言っていたものですが、クリミア半島、4州(ドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソン)をロシアに割譲する ということです。(下の地図の二段目の一番右の地図の状態)

その4州のうちで100%ロシア軍が支配下に置いているのはルガンスク州だけなので、ロシア軍がまだ獲得できていない地域も含めた4州全体を割譲する というのが条件なのですが、これは飲まざるを得なくなるだろう・・・というのがジョン・ミアシャイマー シカゴ大学教授の意見です。
もしも その条件を飲まないで戦いを続ける となると、上の地図イラストの3段目のように、ウクライナは西側に向かってさらにより多くの領土を失うことになりますので、結果的には 飲んだほうが領土の損失が少ない ということになってしまいます。
ですから兵士不足となっているウクライナ軍が停戦に持ち込む為には このロシア側が現在提示している条件は飲まざるをえなくなる という話です。
このミアシャイマー教授の話にご興味がある方は下のビデオをご覧ください。

