バイデン氏よりもよりイスラエル寄りと言われるトランプ氏が1/20から大統領になるわけですが、トランプ氏が就任した後に起こるかもしれないシナリオは 米国の支援を受けての「イランの核施設等へのイスラエルの先制攻撃」です。

 

これはシリアのアサド政権が崩壊した直後に米のネオコンたちが「今がチャンス!」とばかりにイラン攻撃を主張していました。そしてイスラエルはシリア全土のシリア政府軍の弾薬庫や軍用飛行場、防空システム等を800回を超える空爆で破壊しつくしました。

 

つまり、イスラエルはシリア上空を何の妨害も受けずに心配なく飛べるようにする為にそうしたわけで、それはイスラエルが破壊したいと思っている最終目的国であるイランまでの安全な飛行経路を確保した ということです。

イスラエルとイラン、そして周辺国の位置関係が分からない方は下の地図でご確認ください。

 

 

イスラエルはイランやイエメンとは違って、イスラエルからイランに到達できる長距離のミサイルをほとんど持っていません。

ですから、イスラエル軍がイランを攻撃する場合にはF-35やF-16等の航空機で、米軍が占領しているイラクにある米軍基地周辺まで爆弾や短距離ミサイルを抱えて飛行し、イラク上空でそれを発射することになります。そして、戦闘機の帰りの分の燃料はイラクにある米軍基地で補給するか、空中給油しないと、イスラエルにまで帰ることができません。

 

イスラエルの隣国のヨルダンは元々親米国家で米軍基地もあるので今までも上空を侵害するイスラエルの無法行為を事実上見逃してきました。

そして、アサド政権がシリアで倒されて、NATO加盟国であるトルコが支援するHTS(シャーム解放機構)がシリアの主要部分を抑えてしまい、彼らはイスラエルと協力はしても敵対する意志は全く示さなかったので、イスラエルはシリア領土内で最も高い戦略的な高地であるゴラン高原を全て支配しただけでなく、首都ダマスカスにあと20kmというところまでシリア南部を占領し、南部の水源地も占領してしまいました。

 

(上の地図の緑色の部分がHTSの支配地域、シリア南部の青色の部分がイスラエルが占領した地域)

 

イスラエルがこの戦略的な高地を占領したのは レバノンをさらに孤立させ監視もできる ということがあるのですが、そのイラン、イラクのシーア派民兵勢力から孤立させられた と思っていたレバノンのヒズボラは イランからの武器の密輸ルートをすでに確立したようで、いざというときは 再びイスラエルと戦闘する準備も整っていると言っています。

 

そして、米国や英国が何度も激しく空爆をしてきたイエメンについてですが、米英イスラエルがこの「抵抗勢力」との戦闘で最も驚いたのはアンサール・アッラー(フーシ派)の予想外の能力でしょう。

おそらくイラン製なのでしょうけど、彼らが自前で作ったと主張している長距離の極超音速ミサイルは イスラエルのアイアンドームの防空を破って、何度かテルアビブに着弾しました。下はそのことを報じているインドのメディアのニュース記事です。

 

 ↓(日本語に変換したもの)

 

 

米英イスラエルが何百回とイエメンに空爆を行っていますが、無駄な努力だと思います。フーシ派のミサイル発射装置は移動式で地下施設にもたくさん格納されているからです。まさにサウジアラビア、UAEがフーシ派と2015年から戦争をしていて、米国の兵器支援の下に激しい空爆を行ってきたのに全く勝てる見通しは立たず、2022年についに停戦となったからです。

 

そして、イスラエルが目の敵にしているイランについてですが、もちろん、レバノン、イエメンとは比べ物にならないほどの強敵です。人口も8900万人と多く、先進的な科学技術、軍事技術もあります。広大な領土の上に山あり砂漠ありで、「地上侵攻」はまず無理なこと、上からの爆撃では、地下の要塞のようなところにある軍事施設は叩けないでしょう。さらにロシアとも最近、軍事行動も含めた「包括的戦略パートナーシップ協定」を結んでいます。

 

最後に、今回イランの革命防衛隊が 「地下のミサイル都市」のビデオを1/10に公開していて、そこから写真を何枚かご紹介します。

 

 

 

イランがこのようなビデオをトランプ氏が大統領に就任する直前に公開した ということに意味があると思います。

 

これはバイデンよりもさらにイスラエル寄りで反イラン的立場を取ると見られているトランプ氏への「警告」であり、もちろんイスラエルへの警告でもありますが、イランは米国+イスラエルが相手でも全く恐れていないということです。