2008年にセルビアからの独立を宣言したコソボと、コソボの独立を認めていないセルビアとの間で緊張が高まっています。

 

もともとコソボはセルビア人にとって、古都で 日本で言うところの京都や奈良みたいな場所です。キリスト教正教会の古い歴史的な遺産もたくさんあります。今のバルカン半島に南スラブ人であるセルビア人が現れたのが7世紀頃と言われています。

しかし1389年、オスマン帝国がバルカン半島に侵略してきて、コソボではセルビアの王様が率いる軍隊をオスマントルコ軍が破り(コソボの戦い)、その後1913年に第一次バルカン戦争でバルカン同盟がトルコ軍を破るまでオスマン帝国に支配されたという長い苦難の時代がありました。今バルカン半島のボスニアやアルバニアにイスラム教徒がかなりたくさんいるのは このオスマン帝国に支配されていた時代にキリスト教からイスラム教へ改宗した人たちで、アルバニアという国が出来たのは第一次バルカン戦争の後なので、セルビアよりもかなり歴史の浅い国になります。

 

コソボは元々圧倒的マジョリティはセルビア人でした。ところが、1980年代になり、経済状況が悪く仕事のないアルバニアから、仕事を求めてセルビア南部のコソボ地域にパスポートも持たずに移民がたくさんやってくるようになりました。1992年にはアルバニアで国民の半分以上が「ねずみ講」に加担して経済破綻したこともあり、90年代になるとますますたくさんの移民がコソボに来ました。コソボには石炭等の鉱山があり、そこに行けば仕事があると思ったからです。 いわゆる不法移民です。日本で例えるなら、隣の半島から仕事を求めてやって来た応募工(いわゆる徴用工)みたいなものです。

 

セルビア人がマジョリティだったコソボに ムスリムであるアルバニア人がやってきて、アルバニア人家族は子供を平均して6人位作ってしまうものですから、アルバニア人移民がコソボにどんど増えていき、元々いたセルビア人を追い出して家や農地を奪ったりし始めます。そしてユーゴスラビア政府に自治権を要求し、ユーゴ政府も暴力的なコソボのアルバニア人に譲歩して暴力を沈静化させようと高度な自治権を与えたものだから、コソボ解放軍(KLA)なる軍事テロ組織まで作って、旧ソ連の衛星国やロシアの友好国をことごとく潰したい米がそのテロ組織のKLAを支援するようになり、警察を襲撃したり、セルビア人の殺害や殺害した後に臓器を取り出して密売する、中世に建てられた貴重な教会の建物を破壊する、違法薬物の密売等の悪事に手を染めていきました。まさにコソボ解放軍(KLA)はマフィアまたはテロリストと言ってよい武装集団ですが、これをセルビアのミロシェビッチ政権が取り締まろうとすると、「セルビア人がコソボでアルバニア人の民間人を迫害し、攻撃している」という嘘のプロパガンダ・キャンペーンが大手メディアの報道機関を使って世界中に流されます。

 

そして そのテロリスト集団、コソボ解放軍KLAのリーダーで、かつてはインターポールに犯罪者として登録されていたはずのハシム・サチが「自由の戦士(Freedom Fighter)」としていつのまにか、ヒーロー扱いされる という異常な事態となります。セルビアを爆撃した米国やNATOの後ろ盾によって2008年、コソボが独立を宣言し、アメリカのポチである日本が 歴史的に見ても アルバニア人に何の領土の正当性もない事が明らかな、セルビアの地域の一部であるコソボの独立を 世界で真っ先に承認する という、冷静に考えると、実に恥ずかしい外交的失態をやらかした と私は思っています。

 

そしてコソボの初代大統領に そのかつてテロリストのリーダーだったハシム・サチが就任。 また、自身の性的スキャンダルの「モニカ・ルインスキー事件」から有権者の目をそらす為に セルビアに空爆を行った、米の大統領、クリントン氏はコソボで銅像まで立てられるほどの英雄になりました。

 

 

 

 

ジャーナリストの山口敬之氏も言っていますが、コソボのテロリストが英雄になり大統領にまでなった経緯は 今のウクライナの状況に非常に似ています。

ウクライナで暴力革命を行ったりロシア系住民を大量に殺害してきたネオナチのテロリスト達、アゾフ連隊やエイダール大隊、右派セクター等、ロシアがウクライナで「特別軍事作戦」を開始する前までは 彼らは 「ネオナチ」や「ナチ」だと西側メディアまで報じていました。日本の公安調査庁も「国際テロリズム要覧」にアゾフ大隊のことを記載していましたが、ロシアに経済制裁をしたり、元ウクライナ大使のひとりが アゾフ大隊のリーダーと一緒に記念撮影したりしている写真がネットに出回っているため、アゾフ大隊のことを「テロリズム要覧」に記載したままではまずいと思ったのか、4/8に削除しています。

 

コソボでセルビア人を殺害していたテロリストのコソボ解放軍が「自由の戦士」へと米のプロパガンダ1つで変わったように、ウクライナでネオナチやテロリストとして認識されていた連中がまたもや ホワイト・ウォッシュされて「英雄」に祭り上げられたのです。

 

そのようにしてセルビアから武力で奪ったコソボに 欧州で最も大きな米軍基地が作られ、NATO軍が常駐しているにも関わらず、今でも何度も緊張が高まっている理由は コソボ側がセルビア側と紛争を起こさない為に、EUの仲介者も入って協定を結んだ内容を全く守らず、アルバニア人がセルビアを挑発し続けていることにあります。

 

コソボから多くのセルビア人が暴力や空爆で追い出されて今、セルビア人はコソボの中にわずか5%しかいません。その5%しかいない北部のセルビア人の居住区からまで、セルビア人を追い出そうと、度重なる暴力、正教会の建物の破壊、コソボ警察による正当性のないセルビア住民の逮捕を続けているのです。また、古くからの親ロシアの国であるセルビアにとことん嫌がらせをしたいのか、常駐しているNATO軍もアルバニア人の暴力やムスリムのアルバニア人によるキリスト教正教会の破壊の多くを見過ごしたままです。

 

今回の緊張の高まりは コソボ側が 車のナンバープレートをセルビアから発行されたものを付けたものは無効にする と言い始めて、それにセルビア人住民が抗議してバリケードを作ったりテントを作って非暴力の抗議を続け、コソボは軍隊を出して睨み合う という状況になったことが発端でした。いったんはナンバープレートの強制変更の件は1ヶ月延期されたものの、しょせん根本解決ではないですから、1ヶ月後にまた再度同じ問題で緊張が高まることになるかと思います。

 

2,3日前から米のアンソニー・ブリンケン国務長官がコソボを訪問してコソボの首相らと面会して彼らの姿勢を称賛しています。

セルビアはロシアに経済制裁をしないことで大きなプレッシャーを受けていますが、今回のコソボによるセルビアへの挑発も ウクライナでロシアとの代理戦争をしている米が その操り人形としてのコソボを利用して 親ロシアの国であるセルビアにさらに圧力をかけることが狙いだと思われます。

 

私個人的には コソボは 歴史的にどう見ても、セルビアの領土の一部だし、アルバニア人はあくまで移民として80年代から大量にやってきたのに そこをアルバニア人のために独立させる というのは 歴史的に見ても、全く筋が通らないと思っています。

 

これを日本に例えるなら、日本の古都の京都や奈良に 1980年代頃から朝鮮半島や中国大陸から不法移民が大量にやってきて一家族で6人とか、どんどん子供を作り、それで大きなコミュニティになったので「自治権を認めさせろ」と言い始め、自治権を認めてあげたら、今度は「独立させろ」と言って、暴動を起こすようなものですよ。

そんな無茶苦茶なことを アメポチ国家の日本も含めて100カ国ぐらいの米従属国、親米国が認めてしまったのがセルビアからのコソボ独立なのです。

 

ロシアのプーチン大統領も言っていますが、「セルビア政府からの迫害」を理由にして コソボの独立が認められるのならば、ウクライナで「ウクライナ政府からの迫害」によって独立を宣言したドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国の独立も認められないと、明らかなダブル・スタンダートになってしまうのであって、コソボの独立が良くてドネツク、ルガンスクの独立が悪い という論理は アメリカが行う軍事介入は”善”で、ロシアが行う軍事介入は”悪” だと言っていることと同じです。

 

しかも、コソボのアルバニア人は隣の国アルバニアからやってきた元々「移民」なのでセルビアの領土の一部に対し、主権を主張する歴史的正当性が全くないのに対し、ドネツク、ルガンスクにいるのは ソビエト連邦が崩壊した後もそこに残っているロシア人、あるいはロシア語をしゃべるウクライナ人だと自認している人たちなのですから、少なくとも コソボの独立のケースよりは正当性があると見ることができます。

 

だから、ロシア、中国はもちろんのこと、ヨーロッパ諸国の中ですら、スペイン、ギリシャ、スロバキア、キプロス、ルーマニアはコソボの独立を認めていません。

 

また1ヶ月後に再び緊張が高まり、もしコソボとセルビアで再び軍事紛争が起こるようなことになれば、それは間違いなく、ロシアとセルビアへの嫌がらせのために、セルビア人にとっての心の故郷であるコソボを奪い取ってアルバニアの為に”独立”させた米国とNATOの責任なのです。

 

旧ユーゴでの戦争、コソボ紛争は 私が国際情勢に興味を持つきっかけになった出来事で、下手なジャーナリストよりも むしろ私のほうがたくさんの記事を読んできたのではないか という位、国内外の記事をたくさん読んできましたので、今後も私のブログで、折に触れて色々な記事をご紹介していきたいと思います。