ドイツで心配されていた「ノルドストリーム1」が定期点検終了後も再開しないのではないか という懸念は21日にガスプロムがドイツへのガス供給を再開した と発表したので、一安心という感じになりましたが、日本にとって心配なニュースが入ってきました。先日のG7で岸田総理が意気揚々と発表していた「ロシアからの石油の輸入価格を現在の半分程度に抑える」という、いわゆる『プライスキャップ』政策についてのロシア側の対応についてです。
これについて、ロシアメディアのRTから報じられているニュースを本日はご紹介します。
元記事はこちらです。
Russia won’t supply oil to ‘price cap’ participants — head of Central Bank
(和訳開始)
ロシアは「プライスキャップ」参加者に原油を供給しない-中央銀行総裁
エルビラ・ナビウリナ中央銀行総裁は、モスクワは石油供給を他の国々に振り向けるだろうと述べた。
ロシアは、石油の価格に上限を設ける国への供給を停止すると、同国中央銀行のエルビラ・ナビウリナ総裁が金曜日に発表した。モスクワは、価格上限は石油をより高価にし、ロシアの生産者を傷つけると主張してきた。
ナビウリナ氏は、ロシアは価格制限に従う代わりに、そのような制限を課していない国々に供給を振り向けるだろうと述べた。
ナビウリナ副首相は、ロシアのアレクサンダー・ノバク副首相が、ロシアのチャンネル・ワンに対し、価格上限によって生産コストよりも収入が低くなり、ロシアの生産者は「単純にマイナスの利益を得ることはない」と警告した翌日に、同様のコメントを発表したのである。
米国は、世界の石油コストを下げると同時に、ロシアの収益を拒否する手段として、6月のG7首脳会議で価格上限の可能性に合意した。参加国は、一定価格以上のロシア産原油の輸送や保険を拒否する。
米シンクタンク、ブルッキングス研究所によると、現在、ロシアの海上石油輸送の85〜90%を英欧企業が保険で賄っているため、少数の国の参加者が世界的な影響を持つことになる。
具体的な価格はまだ決まっていないが、岸田文雄首相は最近、価格上限の上限を現在のロシア産原油の市場価格の半値程度に設定することを示唆した。
ロシアは、人為的に石油価格に上限を設けようとすることは、西側諸国にとって逆効果になると警告している。メドベージェフ安全保障理事会副議長は、「市場に出回る石油は著しく少なくなり、その価格ははるかに高くなる」と述べ、価格上限が実施されれば、石油1バレルのコストが300〜400ドル以上に上昇する可能性があると予測している。
(和訳終了)
私が このロシア産石油の『プライスキャップ』が上手くいくはずがない と思うのは ロシアへの経済制裁に参加している国が少ないこと、海上保険にしても、ロシアの会社、中国の会社、インドの会社もあって、G7参加国にしか保険会社がないわけではないこと、設定されたプライスキャップよりも少しでも上の価格でロシア産石油を買いたいという国があれば、ロシアもその国に
売ろうとするわけで、こういった価格制限は 世界中の国が参加しない限り、意味をなさないと思うのです。
実効性がないと思われる政策をG7の場で意気揚々と発表する岸田首相は 今現在4%を占めているロシア産石油の輸入の代替購入先を見つけてから そのような発言を行ったのでしょうか?
全く 代替先は見つけていないようです。なぜならば、今現在4%のロシア産石油の依存度を時間をかけて「徐々に」依存度を下げてつもりだからです。
G7首脳の共同声明では、ロシア産の原油の輸入禁止について、「世界が代替供給を確保するための時間を提供する形で」行うと書かれていて、具体的な禁輸の時期については明示していません。
つまり、「時間をかけて」日本がロシア産石油の輸入をゼロにしようとするつもりなのが、今の流れでは ある日突然、ロシアから「敵対国であり、”プライスキャップ”に参加している日本に売りませんよ」となる可能性が高い ということです。
このような強硬な姿勢を発表するならば、事前に代替購入先を見つけてからすべきなのに、G7のその場の空気とかノリで発言してしまう岸田首相は国益を損なってばかりです。
総裁選から今までウォッチングしてきた個人的な感想ですが、岸田文雄氏って、基本的に 彼自身の政策ポリシーというのは
何もなく、敢えて言うならば、①広島出身だから核兵器を否定している、②財務省に親戚が多いので財務省からの緊縮財政の意見を重視する、という以外に、基本的に何もない人なのではないでしょうか。
だから発言がその場でコロコロ変わるし、総裁選では 行き過ぎてしまった株主資本主義を修正し「令和版の所得倍増計画」を行う と言ったのが、就任直後に株式投資への税率強化案を批判されるとコロッと変わって、今は投資を促す「資産所得倍増計画」にいつのまにか、すり替わってしまっています。
「資産倍増」だと、お金持ちが更にお金持ちに、中流以下はさらに苦しくなる という 現在の株主資本主義や格差拡大の推進なのであって、そのように その場、その場の空気を見て、自分の意見を変える政治家は とても信用に値しない というのが私の意見です。