がん闘病中の森永卓郎さんがラジオで自身の痛みを明らかにされました。
「どうやら、本格転移が始まっちゃったんじゃないかなと、いう感じで、ものすごく痛いんですね。浸潤してきたところが。」と、明かしました。
続けて、森永卓郎さんは、痛みを、医療用の痛みを取る薬で「抑え込んでいるので、何とか起きてはいられるんです。これ、飲み過ぎると眠くなっちゃって、何もできない。」
がんの痛みはつらいものです。
しっかり緩和ケアを行うことが大切です。
そして、こういう事態に備えるためにこそ、早期から緩和ケア医が並行して関わる意味があるのです。
他の記事で、森永さんは医療用麻薬を使用していることを明らかにしています。
膵臓がんに関して一般的な話をしますと(森永さんの病態の解説ではありません。診ていないので確たることは言えないためです)、
膵臓がんは神経叢(しんけいそう。神経が集まっている部分)に浸潤することで、難治性の神経の痛みを起こすことがあります。
このような痛みは、医療用麻薬だけ症状緩和を図るのが難しい場合があります。
その時に、がんの痛みの専門家である緩和ケア医が関わっていると、適切な方法をより提示しやすくなります。
逆に、難治性の神経障害性疼痛に医療用麻薬だけで緩和しようとすると、増量しても痛みは取り切れず眠気も増えてしまうということになってしまうこともあります。医療用麻薬だけではなく適切な手段を併用することで、眠気があまり増えずに症状緩和に至ることもよくあります。
だからこそ専門家の関与と判断、適切な治療提示が重要となるのです。
がんの一連の経過を通してがんの痛みが生じないこともありますから心配し過ぎないで頂きたいのですが、やはり途中から痛みが出てくる場合もありますし、定期的に緩和ケア医が関与していれば早く痛みを緩和することにつながります。
がんの痛みは放置するとしばしば悪循環を来たしますし、心身に大きな影響を与えます。
だからこそ早く対応することが必要なのですが、「困ったら受診します(今はかからなくて大丈夫)」という定期受診をしない方法だと必要な対応がしばしば遅れてしまうのですね。
「今困っていないから早期からの緩和ケアは必要ない」と思いがちですが、まさにこのような事例があるので、早期からの定期的な外来受診が大切になるわけです。
そしてこのような難治性の神経障害性疼痛等が考えられるようなケースでは、専門家の見地から言えば、鎮痛補助薬という医療用麻薬以外の鎮痛に働く薬を併用したり、医療用麻薬でも資格を得ている医師のみ処方可能な特殊な薬剤を用いたり、あるいは神経ブロックという注射で行う鎮痛策を専門家の医師につないで施行してもらうこともあります。
このような引き出しの多さが専門家であるゆえんなのです。
薬もその他の手段も使いようです。
餅は餅屋。専門家にかかるからこそ、そして有事に受けられるメリットがあるための早期からの緩和ケアの定期受診なのだということがもっと伝われば良いと思います。
追伸;コメントありがとうございます。全てにお答えするのは難しいですが、また取り上げてお返事していきたいと思います。
