早期からの緩和ケアとは
がんの治療中から緩和ケアを並行して受けることです。
具体的には「緩和ケアの外来」です。
がん治療は、乳がんだったら乳腺科、前立腺がんだったら泌尿器科と、専門の科にかかって受けます。
ここを「主科」と言います。
この主科と同時進行で「緩和ケア科」にもかかるのです。
ただ問題は、相変わらず、これに対応できる医療機関は限定されているということです。
もちろん、表面上は、どこも並行してかかれますよと謳っています。
ところが現実問題として、患者さんの話を聞くと、断られたという事例が少なくありません。
誰もが知っている超有名がんの専門病院でもそういうことがままあります。
主科の先生の考えや判断によっても左右されるという難しい状況があります。
それでは、その(しばしば存在する)ハードルを乗り越えて、早期からの緩和ケアを受けるメリットが何か?と言えば・・・
いろいろなメリットがあります。
例えば生活の質が上がるとか、抑うつが少ないとか、先のことをよく相談できるとか、
そして近年の研究で非常に注目されているのが「生存」への影響です。
例えば下記の研究(ENABLE III研究)では進行がんの患者さん207人を無作為に割り振って研究しています。
早期に緩和ケアを受けた(初期の集中した受診後に月1フォローアップ)群の1年生存率が63%であったのに対して、遅く始めた群では48%と差を認めました。
このように数々の研究でその良さというのが示されているのです。
私も今年で医師経験25年となりますが、選択や決断はがん治療において非常に重要です。
それを誤ったために、ご本人の望みと異なる結果となってしまったという事例も残念ながらあるのが現実です。
時として孤独にそれを為さねばならないことががんの患者さんが抱える難しさの一つではありますが、
そこにがん治療の知識を有する緩和ケアの専門家がサポートして、より望みに近い結果になるように支援すること。
それが早期からの緩和ケアの一つのメリットだと思うのです。
しかしこれは大変残念ながら、知られていることとは言い難いです。
どうすれば伝わるのか?試行錯誤は続きます。
またここのところお伝えしているように、過去の研究でも、困ったら受診ではなく、
困る前から定期的に受診する、これが早期からの緩和ケアにとって重要なのですが、
なかなかここの周知が進まないこと、これも悩ましい問題です。
早期からの緩和ケア医としては、引き続き発信を頑張っていきたいと思います。