無駄なものを省く方が良いのは
医療も一緒です。

しかし生命が最も大切であるという考えが
誤った方向に突き進むと、
とにかくどんな(苦痛な)手段を駆使しても、
そして患者がどんな状態であっても、生き続けるのが
正しく、そのために限界まで医療が提供されるべきと
そう考える一部の極論者が生まれ、それがゆえに
逆に患者さんの苦痛は増され、寿命は削られるのです。

僕は真摯に医療を行いたいと思っています。
ですから、はっきりと言わせて頂くこともよくあります。
「今までの治療とは大きく異なります。頻繁にしていた
採血や点滴は行わないです。それをすることで
何らかのメリットがあると考えられるときのみ行います」と。

終末期医療は特に引き算の医療が適している分野です。
余計な医療行為を行うと、患者さんの苦痛は増し、
寿命も短縮してしまいます。

「何もしていない」ように見えるのこそ
実は最も苦痛が少なく、寿命が長くなる治療なのです。

終末期医療の現場は、それまでの常識が覆される経験を
実感する場でもあります。
命を延ばそうと点滴をしても、それはむくみとなり、
あるいは全身に負担をかけ、逆に命を縮めます。
こんなに(点滴が)少ない量で大丈夫なんですかと、
そう驚かれる方も多いですが、それでも普通に苦痛なく
生活をされる様を見るとご家族も驚き納得されます。

この不要な医療の削り方に終末期を診る医者の
力量の差が如実に表れるでしょう。
とにかく終末期の医療では「引き算」を意識することです。