新居へ入居したのはいいが、電気もガスも、いわゆるお引越し前にやっておかないといけない事第1位を完無視して「住所が手に入ったぜ」という次元の違う喜びを噛み締めていた親子は、若い不動産屋さんに助けられながら、なんとか入居1日目の夜を迎えようとしていた。

そして気づくのだ。
せや、お風呂ってどうなるよ

ガスの立会いは翌日の午前中。ってことは、今宵は
水風呂デスカ...

思い出す。シカゴでボイラー破裂事件。春が来損なってまだ寒かった6月に湯を作れなくなった我が家にオーナーが水風呂を提案してきたあの一件を。(その話はこちら)

くぅぅ〜、水風呂はなんとか回避せんといかん。銭湯だ銭湯、近所の銭湯を調べよう、爆発的ではないが根強いファンと、芸人の銭湯ブームに支えられ、東京では洒落た銭湯もできていると言うではないか、と早速調べると、銭湯まで電車で20分。

ノーメイクで帰ってこれねぇじゃねぇか

諦めるか、と思っていたら、「あかーん」というムスコのガル男の声が聞こえる。

どうした!?と駆けつけると、トイレではにかむガル男。
「トイレットペーパーないのに大きいものを出してしまいました」


夕方に入居、電気ガス事件でてんやわんやで、その後夕飯を近くの弁当屋で買っただけで、買い出しに行けてなかったよなぁ、と。しかしその時、オカンは思い出したのである。

リノの家を出るとき、ガル男のリュックの内ポッケにポケットティッシュを3つほど突っ込んだのを

こうしてガル男は窮地から脱することができ、遠くの銭湯は諦め、しこたまかいた汗をまといながら、この日を終えることにしたのである。

翌日、ガスの立会いが10時過ぎに始まり、10分ほどで作業は終了。ガスおじさんが帰った後、我れ先にとシャワーを浴びたのである。


というのもその日は大学の部活チアリーディングの後輩たちと、ハイアットでシャレオツランチの約束が入っていたのだ。急いでシャワーを終え、メイクをし、鏡の前で立ち尽くす。

ドライヤーない...

家からハイアットまでは小一時間はかかる。どうする?時間と風を味方につけて、スーパーナチュラルドライでいくか?と思ったのだが、その時点でなかなかの濡れ髪。とりあえず手元にあるタオルの可能性にかけて拭きまくるも、依然濡れねずみ。

その時、気づいたのである。この家には浴室乾燥機が付いていることを。

スイッチオン。ぶおぉぉぉと風を吹き出す乾燥機。広めに飛んでくる風を集めるように髪の毛を乾かすオカン。

一心不乱に髪を乾かしながら、たった2日だが、うまく立ち回れていない自分に少しずつ嫌気がさしてくる。

なんやろう
ニッポン人がニッポンで上手に生きれていないこの感じ....。

そう、この感情が後にとんでもないことを引き起こすことになろうとは、この時は知る由もなく....




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