私は結婚何周年とかで、ジュエリーを要求しない。
かといって、何もいただかなくていいんですのよ、というしおらしい女でもない。
記念品皆無の年をいくつ分か集めて、ある時、ドンと家電を買う。
5周年。
それはタイに赴任していた時。
Seimensのエスプレッソマシーンを購入した。
帰任後も変圧器を使い、アメリカに来た今も変圧器を通し使用している。
しかし、その製品ももう10年が経過した。
コーヒーのスタートボタンを押すと、豆を挽き、適量を引き終えたらしかるべき場所へその粉が落ちる。お湯が注がれ泡とアロマを放出しながら淹れたての1杯がいただけるのだが、ここ最近は、豆を挽くだけ挽いておきながら、ごみ箱へ落とし、「豆がありません」と提示するようになった。
電化製品10年、人間でいうなら100歳くらいかもしれん。
船でゆられながら、国を変え、変圧器を通され、10年たった今も朝いちばんから働かされる。
本日、引退の時を迎えた。
丁度結婚15周年の今年。
Saecoのエスプレッソマシーンを購入することにした。
マシーンは最初、何度かお湯を通す作業をしてからでないと、コーヒーを淹れられない。説明書に従いながら、一つずつ済ませていく。いよいよコーヒーを入れる段階へ。コーヒーの濃さ調節が5段階あるため、試しに一番濃いもので試してみた。
真っ黒の液体が出てきた。、濃いやないかー、と旦那が言う。ほな、横のノズルからお湯を出して薄めるわな、と作業を始める。
お湯を出すマークを押した。
何も起きないので、顔を近づけて様子をうかがっていると、しゃーっと勢いよく飛び出し、慌ててコーヒーのカップをノズル下にあてがった。そのノズルからの”しゅあー”の圧がスゴすぎて、ばっしゃーとあちこちにコーヒーが飛び散る。
アカン、ちゃうねん
と言うも壁と床に、ほんで、顔から首らへんまでコーヒーまみれ。ビチャビチャ。
何してんの?と半笑いでこっちを見る旦那。
こっちが聞きたいわ。
それはお湯ボタンではなく、スチームミルクを作る゛しゃー″のヤツであった。
このSaecoちゃんがSeimensくんのように10年働いてくれた頃、子供たちは二人とも成人してしまっているのか、とふと思った。なんだかわからないが、コーヒーを飲みながら泣けてきたのである。
ポチっとおおきに。
