アメリカの意思表示ははっきりしてる、というのは周知のこと。


今、毎朝、子供たちのスイムレッスンに行っている。娘の本気スイムチームは終わった。しかし泳ぎにはまった娘と、ばっちゃばちゃ音を鳴らす、やっかましい泳ぎ方から一向に成長しない息子が、もっと泳ぎたいということで、ワイワイスイムレッスンを申し込んだ。


市営プールは片方側が深さ170㎝。通常ならば、足が届く安心ゾーンで練習が行われるはずだが、男前の若いコーチ、なかなかの「S」のようで、深いところも泳ぎ切れと注文してくる。息子を見る。真っ青。

息子は泳げるが、すぐに立つ。ちょっとした距離が泳げない。


Kick board(ビート板のこと)使っていいですか?と聞く息子。


なしでいける、いける、とS的回答のコーチ。


ずっと、僕を見ててください。沈み始めて手を出したら助けてくださいね!と念押しする息子。


ははは、大丈夫、大丈夫とドSの笑みを浮かべるコーチ。


命がかかってると思うと次々に英語が出てくる息子。ちょっとおもろい。


息子、必死のパッチ。途中、息子の「Help!」という声が確実に聞こえたのに、コーチ、お前ならできると突き放す。息子のバタ足最速モードになる。めっちゃ進む。ほんでなんと泳ぎ切りよった。


Awesome! と褒めるコーチ。息子、ゼーハー言いながらハイファイブ。


こらこら、ワイワイスイムレッスンとちゃうんかいな。


そう思っていたところに、ここから1歩先は足が届かないという場所に立っている女の子がいた。コーチにこっちまで泳いで来いと言われる。するとその子が


イヤや。そっちは深いから絶対イヤ。足が届かへんもん。私はここから折り返すから、と言い放った。


ドSコーチ、OK好きにしな、と。


かたくなな意思をしっかり伝えると、たとえドSコーチであってもその意思を受け入れる。10歳そこらの子供がはっきりと自分の意思を伝える瞬間を目の当たりにし、アメリカというものを少し感じた。


息子かて、出来ることなら折り返して逃げたいところやったやろう。しかし目上のコーチに「イヤ」とかようゆわん。よって、息子が絞り出すさまざまな発言が、息子の意思、希望として伝わってしまう。ちゃうねん、うちの子ムリしてますねんで、と言いたいが、アメリカ育ちのアメリカ人のドSコーチには、そうは映らない。


最後、往復、好きな泳ぎで泳いでいいよ、とコーチ。そ、ならもう今日は終わりにします、とプールを出ていく女の子。引きとめも追うこともしないコーチ。どっちも強すぎてついて行かれへんわ。


でも褒めることも忘れないのがアメリカ。恐怖に打ち勝って泳いだ息子にグッジョーブと言ってくれるコーチ。Yeah!と答える息子。Yeah!ちゃうがな、あんた、真っ青やったやん、母ちゃん覚えてるで。


娘とは違う手段で、息子のスイムが伸びていくであろう。