現代は価値観変動の

時代である、と

私は信じておりまして、

つまりこれまで長く

信じられていた『常識』に

挑戦・対立する人々が現れ、

賛同者・批判者を巻き込んで

その論は時に極論に至り、

その次に反動が来る。

 

この揺り戻しが

繰り返されることにより

どこかで着地点が見つかる。

 

トランスジェンダー問題が

一種の極に達したな、と

私が感じたのが2022年の12月に

スコットランドで

「法律上の性別変更手続きの

簡易化」法案が通った時です。

 

これにより法律上の性別を

変更するにあたって

それまで必要とされていた

医師による診断書が不要となり、

本人の自己申告だけで

性別変更が可能となりました。

 

診断書の提出を求めるとか

押しつけがましいじゃないですか!

という話だそうで・・・

ちなみに同時に申請可能年齢も

16歳にまで引き下げ。

 

この法案通過に

歓声を上げた人もいれば

非難のうめき声を

あげた人々もいて、

その人たちがその時

懸念として指摘したのが

「あの、これだとたとえば

男性犯罪者が性別変更を申告して

女性刑務所に入る、みたいなことも

今後可能になってしまいますよ」

 

これに対しトランスジェンダー

権利活動家およびその支持者は

「なんてこと言うんだ!

それはトランス差別だ!偏見だ!

真のトランスジェンダーは

そんなことは絶対にしない!」

 

社会活動に邁進する人は

純粋に心がきれいというか、

人の善なる部分を信じるがゆえに

運動に身を投じるところが

あると思うんですけど、

それは悪いことでは

ないんですけど、

たぶんこの時

こう言い切れた人々は

「トランスジェンダーとして

自分はそんなこと絶対しない」

「私の知っている

トランスジェンダーは

そんなこと絶対しない」と

心から信じてこその

発言だったと思うんです。

 

でもこの場合考慮されるべきは

トランスジェンダーが

どうこうではなく、

心根の悪い人間がこの法案を

悪用可能である、という点で。

 

年が明けて2023年の1月、

スコットランドは

グラスゴーの法廷にて

女性2人を強姦したとして

ひとりの男(31歳)に

有罪判決が下りました。

 

事件が起きたのは

2016年と2019年。

 

強姦事件が起きてから

裁判が始まるまでの間に

この強姦犯は性別変更を

申し立てていました。

 

そして法律的には

彼(アダム・グラハム)の

・・・いえ、彼女(イスラ・

ブライソンに改名)の

申告を退ける根拠はなく。

 

彼女はスコットランド最初の

『女性を強姦した

トランス女性』となり、

手続きにのっとり

女性刑務所に送られることに。

 

勿論世間は大騒ぎ。

 

しかし彼女の性別変更は

完全に合法的に

行われているのです。

 

女性刑務所に行きたいから

嘘をついているんだろう?

なんてことを言うんですか、

トランス当事者の

自己申告を疑うんですか、

それは差別です、

それこそ違法です!

 

でもまあ結局その時は

当時のスコットランド首相

スタージョンさんが

「強姦犯を女子刑務所には

入れられない」と判断を下して

イスラ/アダムは

男子刑務所に

移送されたんです。

 

それで問題は収束しましたが・・・

 

でもこれ、政府による

トランス女性の人権侵害と

いえないこともないですよね?

 

私は個人的には

トランス女性は女性用の

トイレや更衣室を

使っていいと思っています。

 

でもその

『トランス女性』の定義を

『自己申告』のみでよし、

ということにしてしまうと、

それを隠れ蓑に女性用スペースで

よからぬ悪事を

働こうとする男性を

初動の段階で

取り締まることが出来ない。

 

つまり女性用更衣室に入って

ズボンを下ろしている男を

見つけたら即座にそれを

異常事態と判断できるか否か。

 

我々が問題としているのは

『(男性)犯罪者』であって

『トランス当事者』ではない。

 

ここのところを

ごっちゃにしてはいけない。

 

『女性専用スペースを

トランス女性も

利用できるようにする』とか

『女性スポーツに

トランス女性の参加を認める』とか

理念的にはそれは間違っていないし

『いいこと』ではあるんですよ。

 

でも世の中どうしても

性善説だけでは

回らないところがあって

「トランス女性じゃ

ないけれどトランス女性の

フリをして女性スペースに

侵入を図る男性」とか

「トランス女性じゃ

ないけれどトランス女性を

自称して女性スポーツ界で

優位に立とうとする男性」とかが

出てくる可能性はゼロじゃない。

 

勿論世の男性の多くは

そんな真似を

しようとはしないんですよ。

 

ただそういう変な真似を

隙あらばしたがる馬鹿が

この世に存在しないかと言えば・・・

 

ちなみにこれを書いていて

本当に怖いなと思ったんですけど

こういう文脈だとどうしても

潜在的加害者・犯罪者の性別は

『男性』ってことに

なっちゃうな、という・・・

 

繰り返しますけど

すべての男性が

潜在的加害者だとか

そういうことを私は

言っているんじゃ

ありませんからね!

 

でもトランスジェンダーを

めぐる議論が一方的に

なりがちだった原因の一つは

これだな、とも思うんです。

 

本当に気を付けて

言葉を選ばないと簡単に

言葉尻をとらえられて

『反トランス』とか

『反フェミニズム』とか

『ミサンドリスト』とか

レッテルを張られてしまう。

 

故に保身に長けた人は

この問題に関して

口をつぐんできた。

 

 

そしてその行動の結果が

「女は我慢しろ」に

なってしまっていた。

 

今回の最高裁判決を聞き

私がここから

正念場だと思うのは、

この判決をもって

「トランスジェンダーは

我慢しろ」に結論を

持って行くのはそれもまた

正しくないという点です。

 

ただじゃあ具体的には

今後どういう施策が

求められるのかというと・・・

難しいですよね、これは。

 

違う立場の人間が

それぞれの意見に耳を傾ける

余裕と傾聴の姿勢が

大事になって来るのかとは

思います・・・が、それだと

『声の大きい人間(多数派)』が

有利になりがちなんですよね・・・

 

レッテル張りも

正しいことではないけれど、

少数派の最後の手段である

側面もあったというか・・・

 

誰も我慢をしないで済む社会が

一番望ましいのは間違いない、

でもそんなものは絵空事、

だから妥協点を探すしかない。

 

我々は変動の時代に

生きているのです。

 

頑張りましょう!

 

 

今回の判決を受け、

これまでその言動を

『反トランス的』と糾弾され

解雇されたり

批判されたりしてきた

「今、冷静に振り返れば

トランス差別主義者では

なかった人たち」の名誉が

回復されることを望みます

 

こういう望みもこの間までは

『反トランス的』と

言われていたんだから

やっぱりちょっと

怖い社会でしたよね

 

なお文中で触れた

スコットランド議会が承認した

『性別変更簡易化法案』は

その後イギリス政府が

法制化を阻止しました

 

スコットランド側

(主に与党SNP)は

猛反発しましたけどね

 

今回のこの最高裁判決は

スコットランド政府に対して

下されたものであります

(女性権利団体が

スコットランド

自治政府を相手に

訴訟を起こしたのが

そもそもの始まり)

 

今後の動向、現場にて

注視していきたいと思います

 

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