皆様告白します、
私はこれまでかの有名な
『七人の侍』を
観たことが
ございませんでした・・・!
北国の夜長を利用して
このたび
アマゾンから映像を入手。
「映画として非常に面白い」
「のちの作品に
多大な影響を与えた」等
噂だけは耳にしていた
こちらの映画でございますが
・・・まさに噂通りの傑作、
207分が全然
長く感じられません!
『七人の侍』およびその他の
黒澤時代劇については
わが父(イメージ武将:
石田三成)と
母(同:豊臣秀吉)が
「間違いなく面白いんだけど
セリフが聞き取れない」
と以前申しておりまして、
幼い私は「映画でセリフが
聞き取れなくて面白いとは
どういう状況だ、あり得ない、
さてはわが父母は大袈裟に
語っているのであろう」と
理解していたのでありまするが
・・・本当にあそこまで
役者の言葉が
聞き取れないとは
思っても見ませんでした・・・!
特に冒頭の農村の場面。
「それはいわゆる映画的
農村言葉、訛りの関係でなく?」
と首を捻ったそこのアナタ、
実際に映画を観ていただきたい、
そんなもんじゃない衝撃です。
でも!
でも面白いんです!
よく映画通ぶった人とか
外国語が多少できる人が
「本当にいい映画は言葉が
わからなくても面白い」とか
全世界の翻訳者に謝罪せよ的
短絡的な言葉を口にしますが
・・・黒澤のこれは確かに
言葉が多少通じなくても
映像で物語が伝わるというか・・・
まあ私は冒頭かなり
英語字幕の助けを借りましたが。
あれは録音技術の問題なのか、
わが夫(英国人)は
「この当時は役者さんも
無声映画出身って人が
多かったりしませんか。
発声法を習っていないのでは」
と申していたのですが、でも
当時はそれこそ舞台劇も
今より力があったじゃないですか、
そこらへんどうなんでしょう。
しかしそんな中での
志村喬の声の通り方は
群を抜いておりまする!
志村の声に慣れると
他の役者の言葉も
聞き取れ始める感じです。
いやこれしかし本当に
映画としてよくできていますよ。
リメイク作品が
どかどか作られたのも納得です。
西部劇が好きなわが夫は
農村に砂ぼこりが立つ場面で
興奮のあまり身を捩っていましたし
・・・そんな夫は前髪の若武者
勝四郎君が久蔵に心酔する場面で
「この役はゲイ・・・という
理解であっているんでしょうか?」
「いや、これは若者独特の
能力ある年長者に対する
憧憬の表現・・・ではないか?」
でも確かにそう指摘されると
勝四郎君はしのちゃんの
最初の露骨な誘いを袖にしていますし
「でもその後あの二人は
関係を持った描写があったし」
「持っていないかも
しれませんよ!」
・・・ああ、つまり
事あの場に及んでも
勝四郎君は不首尾に終わり
それを不満に思ったしのちゃんは
その後つれない態度となる
・・・名作に対して
下世話が過ぎますぞ!
(でも真面目に語れば私は
あの場面のしのちゃんの演技は
『事、成したり』を
意味していると思います)
(でも確かに勝四郎君は
それほど幸せそうではなかった)
下世話ついでに
追加で口走っちゃいますけど
私が驚いたのは
世界のミフネの演じる
菊千代の衣装(後半)で、
あれ、あの時代にあのミフネが
着こなしたから許されるだけで
今の時代に下手な映画で
下手な役者に
ああいう服装をさせたら
一部から『性的搾取』って言葉が
上がっちゃうんじゃないかな、と・・・
「何を言っているんですか君は」
「いやだって凄い
露出だったじゃないか」
いやわかるんです、
ほぼ素肌に具足をまとうことで
菊千代の侍に対する
憧憬ですとか反発ですとか
彼の野人性ですとかを
強調していることや、
他の侍たちの佇まいとの
対比を狙っていることは!
でも例えば『七人の女剣客』
みたいな映画があったとして
7人中6人は常に
襟元から足元まで肌を隠していて
決戦の時だけ股立ちを取り
膝下を出す、みたいな状態で
1名だけが
お尻から太腿から丸出しで
肩も腕も剥き身で
具足の隙間から乳首も見える、
という事態になったら
それはちょっと観客も
ぎょっとしません?
そこに必然性を
つけられるかどうかが
監督の腕、と言われたら
それまでなんですが・・・
例:この子は他の6人に比べ
貧しく生まれ無学で
常識・教養がなく
故にこうした姿の野卑さに
自分では気が付けない、
これが育ちの
違いというものです。
あっ駄目だ菊千代が
可哀そうになって来た。
ちなみに菊千代はこの映画では
コメディリリーフ的立場で
私はミフネがこんなに
芸達者とは存じませんでした。
芸達者というか・・・
この人はすげえね。
世界に愛されたはずですよ。
映画『七人の侍』、
あまりに有名な映画であるため
あらすじや結末は
『観ていないけど
知っている』人が
多いでありましょう、
オチの見えた話を何故
わざわざ3時間以上かけて
観賞しなくてはいけない、
という考え方もございましょう、
でもこれは観る価値アリです。
いや冒頭でも申しましたけど
207分があっという間ですから。
いい映画でございました。
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