保護犬収容施設に長期滞在中の
引き取りたくてたまらない私と
イマイチ乗り気でないわが夫(英国人)。
乗り気でない理由を『嫉妬』まで
断言されてしまったからには
これはもう正面突破は諦めるべし。
陣を引いて全体を俯瞰するに
私がここで対峙すべき問題点は
1.夫の嫉妬
2.猫の嫉妬
3.引き取り時期
の3つであったのでございます。
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夫の嫉妬には
理性と理屈を総動員して
時間をかけて対応していくとして、
『2』の猫の嫉妬に関しましては
これはもう我が家の猫が
犬のことを受け入れられないようなら
それはその時点で
この話は御破算にするしかない。
そこは先住動物優先ですから。
うちの猫2匹もですね、もうじゅうぶん
辛い目にあって来ているんですよ。
これ以上無理はさせたくないんです。
まあそこで猫と犬の相性が
うまいこと合ったとして
次に考えるべきは引取りの時期。
いえ、もう本音としては
猫との対面がうまく行って
引取り申請が通ったら
その日のうちにでもボブを家に
連れて帰りたいところではあるんですよ?
しかしこの時、季節は11月。
私、12月上旬に南の島に
行く予定が入っていたんです・・・!
身寄りのない可哀そうな犬を引き取って
新しい家と猫を紹介して、で、数日のうちに
「じゃあ我々旅行に行くんで
1週間ペットホテル滞在よろしく!」なんて
そんなことは犬に言えない。
いえ、将来的には
ペットホテルを活用するつもりで
すでにいくつかそうした施設を
見繕い済みではあったんです。
でも新天地に犬がまだ慣れないうちに
そういう真似をしちゃうのは
どう考えたってよくないだろう、と。
すると最終決戦は旅行の後か・・・
それまであの犬、
施設に残っていてくれるかなあ・・・
あの犬のこれまでの経歴
(一般的に非常に不人気)からすると
残っていてくれる算段は高そうだけど
でもそこまで居残っちゃっているのも
犬にしてみたら悲しい状況なわけで、
ここで『12月中旬まであの犬に
引き取り手が現れませんように』とか
祈っちゃうのは人としてどうかと思われるし。
ともあれ、わかった、
ここは搦め手から行くべし!
保護犬施設のHPを朝夕覗いて
ボブが元気でいることを確認しつつ
夫と猫にさりげなく『犬のいる生活』の
利点売り込みをはかるべし!
しかし同じようなことをまた
わが夫も考えていたようなのでございます。
「・・・妻ちゃん、今度の休みの日、
しばらく行っていなかった
乗馬教室に行きませんか?」
・・・そうねえ、そういえばお教室には
もう1年近く行っていなかったわねえ、
それをまた何故この時期に突然・・・?
しかし馬に乗れるのは嬉しいので
ホクホクと予約を入れたところ
「乗馬というのも安くない趣味ですけど
でも自分で馬を買ってその世話をして、
という手間や経費を考えると、実は
良心的な価格設定だったりしますよね」
「うん、まあそうだな」
「馬だけでなく動物は全般的にそうですよね。
猫はほら、散歩をさせなくて済むので
そのぶん手間はかかりませんけど、
犬とか馬はねえ・・・雨の日も風の日も、
こっちの体調が良かろうが悪かろうが
必ず外に出て世話をしなくちゃいけなくて・・・
本当に大変ですよね、そういうのって!」
ほほう、そう来る?
「でも私のようなインドア志向の人間が
犬とか馬を飼うことでアウトドアに
目覚める可能性も高いよな。
だってそういう動物を飼育するなら
1日最低でも1時間は
外で活動することになるわけだし。
山や森の美しさに目覚めちゃうかもしれんよな」
「なるほど、そう来ましたか・・・」
またこの頃、我が家の猫はちょうど
獣医さんでの定期検診の時期でございました。
少々太り気味な他は何も問題なし、
元気ないい猫ちゃんですよ、と
太鼓判を押してくれた先生に対しわが夫は
純真無垢かつ作為的な笑顔を向けて
「ああ、よかった!ほら、ご存知のように
うちの子たちは途中で飼い主が
変わりましたから。そういうストレスが
体調面に影響を与えたらどうしよう、と
僕は新しい飼い主としてずっと心配だったんです」
「あらあら、そうですか、でも心配は無用ですよ!
どっちの子も健康ですし懐っこいですし、
それにお宅の飼育環境を聞くとそれはもう
猫にとってはある種の理想の桃源郷、
この子達はストレスフリーな猫だと思いますよ!」
「やっぱりあれですよね、
猫にはストレスはよくないんですよね?」
「ええ、それはもうよくないです」
「そうですよね。うん、そういう点は
僕たち飼い主が
よく気を付けてあげないと・・・」
なかなか技巧的な攻め口ねえ・・・
しかしそこで怯む私ではない。
「ところでドクター、つかぬ事を伺いますが、
犬の雄で時々こう股間がものすごく
主張する子っているじゃないですか。
ああいう犬って去勢をすると
見た目がすっきりするものですか?」
「犬種にもよりますけど、そうですね、
それは去勢前と後では
ずいぶん見た目は変わりますね」
「たとえばの話なんですが
雄犬で9歳くらいだと
そこで去勢に踏み切るのは
いい考えでしょうか、
それともよくない考えでしょうか」
「うーん、9歳、それは微妙な年ですねえ。
やっぱり外科手術ですからね、
年を取った犬には体に負担になるんですよ。
でも9歳なら・・・小型犬ですか?
それなら大丈夫かな、うん・・・
去勢をすることの最大のメリットは
発情期の雌を追いかけなくなることですが、
第二のメリットは癌の予防ですね。
いやこれ犬種によっては大事なことなんですよ」
「ははあ。ちなみにこの猫より
ふたまわりくらい大きい犬の去勢って
費用はどのくらいかかりますか?」
「体重次第なんですけど、ふたまわりですか?
すると200ポンドくらいかしら。
あら、何ですか、犬を飼う予定なんですか?」
「いえ、まだ決定はしていないんですが。
でもどうですかね、私は今まで
犬を飼ったことがないんですが、
私に犬飼いの資質はありますかね?」
「猫ちゃんたちを見る感じだとしっかり
責任を持って世話をなさっているご様子ですし、
そういう方は犬を飼ってもやっぱり
しっかりした飼い主さんになるんじゃないでしょうか」
あら、そうですか?やっぱり?
ふっふっふ、と微笑を浮かべて
診察室から外に出た私にわが夫は
「・・・君も諦めませんね」
うむ、まあな。
この醜い夫婦間の攻防は
3日ほど続いたのです。
続く。
Norizoさん!
そこは旅行より犬でしょ!
というそこのアナタ、
違うの、これはバカンスというより
医療行為なの!洒落じゃないんだ!
の魂の叫びに震えつつの
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