さて、そんなわけで

グラスゴーの怪しいお店で

なんとか無事に

注文を済ませたところに

大きな水差しいっぱいの

水とグラスが運ばれてきて

それに続いてパンかごと

バターとオリーブの盛られた

小さなお皿がテーブルにのせられて

「こちら前菜を待つ間にどうぞ」

 

あら、どうも、と私がウェイターさんに

お礼を言っている隙に夫(英国人)は

とっととパンに手を伸ばし

「妻ちゃん!このパン、温かいですよ!」

 

「へえ、気遣いのあるお店だね」

 

「・・・しかもこのバター、

とても美味しいですよ!

これ、何が入っているんでしょう、

にんにくと、あとこれはクリームですかね、

それと・・・とにかく美味しいですよ!」

 

個人的には私にはそのバターは

ちょっと『こってり』感が

強すぎるくらいだったのですが

わが夫はその味にすっかり

食欲を刺激されてしまったらしく

もうほとんど『猛然と』という勢いで

パンかごの中のパンを平らげはじめ。

 

「夫よ、君の食欲が

旺盛なのはいいことだがな、

このあと前菜にフモスだの

なんだのが来るだろう?

そのパンはその時のために

取っておいた方がいいと思うのだが・・・」

 

私がそんなことを言っているうちに

フモスと『ナスとトマトの冷菜』が

『上の者』氏によって運ばれてきまして、

同時にウェイターさんが

「パンのお代わりをお持ちしましょうか?」

 

私が答える前にすかさず夫が

「ええ、お願いします」

 

それでまたこの前菜がなかなか。

 

私もトルコ料理のことは

よくわからないのですが、こう

『新鮮な』味がする、というのでしょうか。

 

「今日の我々はお酒が飲めなくて残念だな。

これ、ワインと合わせたら相当美味しいぞ」

 

「お酒なしでも十分美味しいですよ!

おかわりのパンもちゃんと温かいですし」

 

「・・・どうでもいいが、君、2皿目のパンを

そんな勢いで食べて大丈夫なのか?

メインのお皿はこれからだぞ?」

 

「メインもこの前菜と

同じくらい美味しかったら問題ないです」

 

そこにメインが登場。

 

運んできたのはまたもウェイター氏ではなく

我々の注文を取った『上の者』氏で

「はいこれ、メインね。どちらも美味しい、

途中でお皿を交換して両方味わうといいよ」

 

英国では『食事のお皿の交換』は

マナー的にアウトという話で

私も普段は控えているのですが

お店の人がそう言ってくださったんですもの、

これは遠慮なくその言葉に

従わせていただきたい。

 

というか、その一言の

心遣いが嬉しいじゃございませんか!

 

お味もサービスに劣らず良し。

 

お肉の焼き具合は申し分なく、

ムサカはジュウジュウ素敵な音を立てていて、

サラダの野菜は丁寧に小さく切ってあり

しっかりドレッシングが揉みこまれ、

つけあわせのピラフのお米の炊き具合も素敵、

そして何より温かいものは温かく、

冷たいものは冷たい状態で食卓に出すこの姿勢。

 

「夫よ、私はこのお店が気に入ったぞ」

 

「僕もですよ、今日ここで食べたものは

全部美味しいんですから当然です」

 

そこにウェイターさんが笑顔で

3皿目のパンのおかわりを持ってきてくれて

もう夫の目じりは下がりっぱなしでどうしましょう。

 

美味しい美味しいと

すべてのお皿を空にしたところで

「妻ちゃん、ところで僕たちは

ここまで美味しい思いをしておきながら

一人頭の昼食代は5ポンド未満ですよ。

こういうお店には僕はもう少し

積極的にお金を落とすべきだと思います」

 

「・・・君、デザートが食べたいんだな」

 

夫は何やら甘そうなデザートを追加注文。

 

私は温かい飲み物が欲しくてウェイターさんに

「飲み物のメニューはありますか?」

 

「いいえ、でも飲み物はあります」

 

「コーヒーはどんなものがありますか?」

 

「コーヒーはカプチーノとラテがあります」

 

「トルココーヒーはないですか」

 

「お客様、トルコ風の飲み物がいいですか?

じゃあトルコ式のお茶はいかがですか?

それなら僕が淹れることができます!

僕、今日、このテーブルに

ちゃんとサービスできていないでしょ、

注文を取ったのもメインを運んだのも他の人、

でもお茶なら僕が淹れて運んでこられる!」

 

「・・・じゃ、じゃあそのトルコ式のお茶で」

 

えーと、正直この『トルコ式のお茶』は

なんの変哲もない普通のお茶だったんですが

それを運んできた時のウェイターさんの

妙に誇らしげな笑顔がプライスレスというか・・・

 

ところでわが夫は会計時における

『チップ』には消極的な男でありまして

「配膳係には雇用者であるお店が

じゅうぶんな給与を払うべきなんです。

お客がチップを払って当たり前、という

考え方には僕は賛同できません」

というのが普段からの主張。

 

でも今日の我々はパンのおかわりだの

お水のサービスだの

注文時のあれこれだの明らかにお店側に

過剰に負担をかけちゃたしなあ、と

「夫よ、今日はちょっとチップを弾もうぜ」

 

「君の気持ちはよくわかります、

僕も同じことを考えました。

実は君が御化粧室に行っている間に

会計は済ませてあります、

請求額がこれだけだったので

(びっくりするほど良心的な額)

チップをこれだけ加算しておきました

(夫にしてはかなりの大盤振る舞い)」

 

・・・ありがとう、夫よ、

私の心を汲みとってくれてありがとう!

 

今度グラスゴーでお腹が減ったら

私は迷いなくまたこのお店に来るでしょう。

 

怪しい外観や通りの雰囲気が

いったい何だというのです!

 

そんなわけでそのお店の名前は

AGA Mezze Palace』、

クイーンズ・ストリートの駅から徒歩2分くらい。

 

とりあえず皆様もまずは

ランチの時間にお訪ねください。

 

この価格でこの内容!の

良心的サービスの驚異に

私と一緒に震えようではありませんか。

 

唯一の問題点は帰り道の自分が

かなりにんにく臭かったことくらいですね。

 

でもにんにくは体にいいし!

 

久々に大当たりのお店を

見つけた気がいたします。

 

 

そんなわけでタイトルは

『美味しいお店で怪しい目にあう』が

正解であったような気もする訳です

 

いや、私は今あのお店のことが

好きですよ、大好きですよ、でも

やっぱりあの道と入り口の佇まいは

なかなかに怪しさ大爆発だと思うんですよ

 

夫がこのブログのために

わざわざ携帯で

入り口の写真を撮ってくれました

 

 

・・・女性客が気軽に一人で

ランチを食べに入れるか、といったら

即答するのは難しい、というか・・・

 

まあ百聞は一見にしかず

 

グラスゴーにお越しの際は

皆様も是非一度こちらのお店の

怪しさと美味しさをお試しください

 

あ、でもパンのおかわりには

お気を付けください、

夫はあれで一気に体重が増加しました

 

そんなわけで今回のこれは

グラスゴー観光情報でございました

 

トルコ料理がお好きなあなたも

グラスゴーに恋するあなたも

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