本日後半ナメー話満載
苦手な方はまた明日!
さてタイトルに『夏』とは書きましたが、
書きましたが、連日ストーブに
火を焚いている我が家です。
今年に入ってから
ストーブが必要なかったのは
5月から6月にかけての
1週間くらいだけだったような・・・
しかしスコットランドなので雨は降る。
すると朝はどうしても
冷たく湿った空気の中で
起床することになる。
「そのせいだろうか、過去に人にされた
嫌がらせや何やらを思い出して
そういうことをしてきた相手に対する
恨みつらみも一緒に思い返されてしまう。
こういうのは精神的にも良くないよなあ」
私の言葉に夫(英国人)は不安そうに
「妻ちゃん、君、大丈夫ですか」
「うーむ、なるべく明るく前向きに
物事をとらえ直そうと朝から
努力はしているんだが、その結果として
『あの人、軽めに不幸になっていて
くれないかなっ♪』みたいなことを
考えてしまっている自分がいる。
良くないことだとわかってはいるのだが」
「妻ちゃん、君、どうしたんですか!」
すべて冷夏のせいなんです・・・
一応念のため申し上げておきますと
私だって普段はそんなこと
滅多に考えたりいたしません。
他人の不幸が蜜の味かというと
そんなこともないのが
中年にもなるとわかってきますしね。
しかし話を聞いてみるとわが夫は
物心ついてからこっち
「あいつに天罰が下りますように」
みたいなことを願ったことはないそうで。
わが夫に足りないのは
暗さや陰湿さ、
そういうものだと思うんですよね。
「前から思っていたが、我々は死後
天国と地獄に居住区が分かれそうだよな。
君は間違いなく極楽のハスの葉の上で
カエルとともに幸せに暮らせると思うよ。
たぶん私の祖父もそっちにいるから
よろしく伝えてくれな。私は多分
地獄のほうの血の池か何かで
平泳ぎの練習でもしているだろうから」
「・・・君の地獄には池があるんですか?
僕の想像する地獄は業火に焼かれているんですが」
「あるある、業火もある。日本人の想像する
地獄は山あり池あり、風光明媚なのよ。
しかしほら、誰だっけ?昔の欧州の貴婦人で
処女の血が若返りに効くと信じていた殺人鬼、
ああいう人はたぶん血の池地獄には
入れてもらえないんじゃないかな、だって
『ひゃだ!驚異の美肌効果!』とか
喜ばれてしまったら元も子もないだろ」
「君、本当に大丈夫ですか?」
「いざという時は君、ハスの池のほとりで
蜘蛛を見つけて糸を下に垂らしてくれよな」
「天国と地獄と蜘蛛の関係性が
僕にはよくわからないんですが」
あら、これは失礼、と私は
芥川龍之介の名作短編『蜘蛛の糸』の
あらすじを夫に説明したのでした。
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「これでシステムは理解できたと思う、
いいな、そういうわけでその時は
蜘蛛のお腹をきゅっと軽めに押して
長く太い糸を垂らすようにしてくれな」
「そのカンダタという人は散々殺生をしながら
蜘蛛の命は助けた、という話ですけど、
君はあれですよね、掃除の時によく掃除機で
蜘蛛を吸いこんだりしていますよね」
・・・私は血の池地獄で
素潜り耐久選手権を
ひとりで開催するしかないのかしら。
心を清めるために庭に出たら
私の大事な鉢植えの花の様子が少し変で
「つぼみが花開く前に
萎れてしまっているのは
何がいけないんだろう」
私の手元を覗き込んだ夫は
「ああ、これ、ナメクジですよ。
この家の前の持ち主が置いていった
ナメクジ駆除剤がまだ残っていますよ。
あれを使ってみたらどうですか」
ナメクジ駆除剤は小さな青い粒で
それを3、4個植木鉢にふりかけて
数時間後に様子をうかがいに行くと、
それまでどこに隠れていたのか
土色のよく太ったナメーが1匹
植木鉢の中央に引っくり返り
そこらじゅうに
粘液をまき散らしておりました。
「何だこれ、薬の作用で
体内の水分が全部外に出ちゃうのか」
「しかも依存性があるみたいですね、
ほら、ナメクジはまだ動いているでしょ、
でも薬から逃げようとはせず、むしろ
近くに近くに這って行こうと
しているように見えませんか」
じゃあ何か、私はナメーに対し
依存性の高い致死性薬物を与え
利を得るというアヘン商人の様な
振舞いをしているということか。
「・・・しかし花のためだ、許してくれ」
「妻ちゃん、日本の多様な地獄の形態に
ナメクジ池地獄というものは存在しますか?
池の半分が無数のナメクジで占められていて
あとの半分がそのナメクジから出る
粘液で出来ている、みたいな。
いや、そこを泳ぐのはかなり大変ですよ」
「お前な、何を想像させるんだ!何を!」
「ナメクジ界において君は殺人犯ですからね、
万一本当に地獄行きとなった場合、
美肌効果のある血の池よりも
浮力に難のあるナメクジ池に優先的に
通されちゃうんじゃないですかね」
お釈迦様!
私は心を入れ替えます!
世界全人類が幸せになりますように!
いえいえ、私が個人的に
悪意を抱いている人なんて
この世に存在いたしませんとも!
むしろそんな方たちの今日の夕食が
美味しいことをこそ心から祈りたい!
色々鬱屈しているらしい昨今の私です。
だってスコットランドの夏はもう
終わってしまったらしいんだもの
連日16度とか18度とか
20度の壁を越えてくれないのよ
・・・いいんです、5月が暖かかったし・・・
「でも東京は30度って話ですけど
今の君が突然そんなところに行ったら
それこそ息の根が
止まっちゃうんじゃないですか」
夫の言葉ももっともです
可哀そうな感じに気候順応を
終えてしまっている私に
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