タイトルは梶井基次郎からでございますが

この週末わが夫(英国人)が

今季の苗の植え付けの前に

野菜畑の土の手入れをしようと

あちこちを掘り返していたところ

「・・・妻ちゃん、畑の中から

ニワトリが出てきたんですけど」

 

えっ、ごめん、

何を言っているのかよくわからない。

 

「ニワトリって生きたニワトリ?」

 

「畑の中に生きたニワトリが

埋まっているはずがないでしょ。

死んだニワトリ、ニワトリの死体です」

 

「・・・何故そんなものが畑の中に?」

 

「僕にもわからないから悩んでいるんです。

君はニワトリを植えた記憶はないですか?」

 

いや流石に私もそこまでの奇行は。

 

夫曰く畑の土の中で発見されたニワトリは

全体の羽毛が灰色をしていたそうで

「あれ、待てよ、毛色がわかるってことは

そのニワトリは最近埋められたってことか」

 

「ええ、埋葬からそんなに

時間は経過していない様子ですね」

 

「一応確かめるけど、そのニワトリは

この冬に我々が看取った我が家の

メンドリ夫人たちではないわけだよな」

 

「違います。あのメンドリ達は僕がちゃんと

木のそばに深い穴を掘って埋めましたし、

何よりさっきも言ったように色が違うんです」

 

謎の灰色ニワトリは我が家の

じゃがいも畑に埋められていたということで

「おいおい、それは間接的に我々は

得体のしれないニワトリのエキスを

この冬散々口にしちゃったってことか」

 

「いえ、じゃがいもは秋に全部収穫したでしょう。

だからこのニワトリを埋めた何者かは

その収穫後の

柔らかくなった土を利用したんですよ。

かなり深く埋められていました」

 

夫は当初我が家の猫、

次にキツネや犬を疑ったそうですが、

猫やキツネや犬が掘る穴は通常もっと浅いそうで

「すると何か?人間が埋めたってことか?

しかし君、誰がわざわざこんな田舎の

他人の家の野菜畑にこっそり入り込んで

その上で穴を掘ってニワトリを埋めるんだ?」

 

「そうなんですよね、これって割と

道徳心のない行為だと思うんですけど

そういう人が何らかの理由で

ニワトリの死体を持て余したとしたら

穴を掘ったりする手間をかけずに

そこらへんに投げ捨てるでしょうしね」

 

それにしてもいくら土が柔らかかったとはいえ

夫が言うところの『かなりの深さ』の穴を掘るには

それなりに時間もかかったはず、

そして問題の野菜畑は家の窓から

よく見える位置にある、

そんな怪しい人物の怪しい所業に

今日まで気付けなかったというのも

冷静に考えれば少々恐ろしい話。

 

この春は健康管理だけでなく

防犯にも気を付けていきたい所存です。

 

 

 

・・・ふと気が付いたんですが

これが呪術だったらどうしよう

 

犬神、猫鬼に並ぶ化鶏、みたいな

 

あ、でも呪術の場合、効果が表れる前に

その呪物が露見してしまったら

相手にその呪いが戻って行くんでしたっけ

 

なお怪しい灰色ニワトリはその後

しっかし土というか

灰に戻しましたのでご安心ください

 

それにしても不条理な恐怖です

 

防犯意識の緩い貴方も高い貴方も

お帰りの前に1クリックを

人気ブログランキングへ